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高野山高等学校
コウヤサンコウトウガッコウ
 
代表者名●添田 隆昭[ソエダ リュウショウ]
所在地●〒648−0288 和歌山県伊都郡高野町高野山212
電話番号●0736−56−2204 FAX番号●0736−56−3705
URL●http://www.koyasan-h.ed.jp E−mail●koyasan@koyasan−h.ed.jp
 
宗教的な優しさが子供たちの成長を見守る学校
●報告―山田 三千代
[HRリーダー]
 
 「身のこなし美しく、口にいつもありがとう、心に思いやりの優しさあり」という校訓を掲げている高校は珍しいのではないでしょうか。朝8時半、玄関を入ったとたんに顔を合わせた、私より背の高い男の子達が、みな笑顔で「おはようございます」と挨拶をしてくれ、少し緊張していた気持ちを一度にほぐしてもらいました。授業の始まりや終わりのチャイムも美しい音色の音楽が鳴り、男子が殆ど(男女共学だが女子は少ない)の校舎内がとても穏やかな印象を醸し出しています。その後に校長先生から上記の校訓を教えていただき、気持ちのいい雰囲気の源を知り、納得した次第です。
 高野山高等学校は高野山真言宗により設立された仏教系の学校ですが、僧侶になる生徒たちのためだけの学校ではなく、いろいろな分野の科を設け、偏差値で輪切りにできない多様な能力を持っている生徒たちへの門戸を開いています。科としては、普通科、宗教科、スポーツWコースの3つがあり、普通科の中に、海外留学コース、総合コース(総合学力コース)、総合コース(国際福祉)があります。
 
立派な寺院の並ぶ右奥に高野山高等学校がある。車もあまり通らない静かな場所。
 
石造りのどっしりとした校門。
 
山の緑に囲まれた校舎・・・外観は鉄筋コンクリートだが、内部は木を多く使っている。
 
 中学校での不登校の経験を持つ生徒たちは、この学校で同級生から誰もそうとは気付かれないまま普通の高校生活を送っており、この変化には劇的なものがあります。その理由は校長先生の分析されておられるとおりだと思いますが、やはり宗教的な優しさが大きな役割を果たしているのではないかと感じました。卒業生の「今までの先生とちゃう」という手記を読ませていただきましたが、この学校の先生や寮監は、生徒はまだまだ成長過程にあり、失敗、過ちを繰り返して成長するもので、過ちの度に手を差し伸べて、気長く子供たちの成長を見守ってゆくという眼差しを持っておられるように見受けられました。また、高校入学後に不登校になった生徒に対しても、長期化を防ぐための細やかな対応策を考えて実施しています。
 現在の日本における宗教の役目は、お葬式か法事の時にお世話になるというだけで、心の問題をお寺に相談に行くという思いつきは、私自身にはありませんでした。しかし、宗教が持つ本来の意義は人の心の拠り所としての存在ではないかと思います。その意味で真言宗が設立した高野山高等学校が不登校児に大きく手を広げて受け入れようとしていることは大変に意義あることと嬉しく思いました。[調査日―2002.10]
 
朝礼・・・畳敷きの講堂で正座をし般若心経を唱えることから始まり、校長先生のお話を聞き、校歌を歌って終わる。
 
校舎と校舎を結ぶ木造で心地良い屋根付きの廊下。寮から学校へ雨に濡れずに通えるようになっている。
 
3人部屋・・・2人で使用し広々。1年に2回部屋変え有り。テレビは持ち込めないが、各階にテレビ部屋がある。
 
校歌は在校生のピアノ伴奏で歌う。
 
男子寮外観・・・集団生活で挨拶、敬語を学び、協調性などが育まれる。親元から離れ、自立心も芽生える。
 
摩竭魚(まかつぎょ)のねぶた・・・寮生がみんなで製作。弘法大師ゆかりのインド伝説の怪魚。







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