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ハート・テンプル
(旧リッツ・ライフ・スクール)
ハート・テンプル
 
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「禅」の教えが行き渡った寺院での生活
●報告―小川 隆司[トトロ学園代表]
 
 ハート・テンプルは美濃地方、岐阜県関市、鵜飼で有名な長良川の中流部にあり、気候温和な土地に所在する。関市は鎌倉時代の刀鍛冶から700余年の歴史と伝統をもつ、全国一の刃物産地でもある。代表の宮前心山氏が住職をしている玉龍寺(禅宗)と共同利用されている。寮生はそこで禅の修業に来る人々と共に生活をしている。
 生活の基本に「禅」「仏教」があるのだが、決してそれを強制されるわけではない。朝晩の坐禅も本人の自由意志に任されている。参加していない子ども達に直接聞いてみると「自立に関してはやらねば仕方のないこともあるが、ここには宗教の修行に来たわけではないから坐禅等はする必要はない」という答えが返ってきた。
 調査に赴いてすぐ食事を頂いたのだが、禅宗では食事も修行、食事中は食べることに集中する。シーンと静まった食事風景の中で、予備知識の全くなかった私は息の詰まる思いで頂いたが、そこは「郷に入っては郷に従え」。実際に経験すると、何事においてもその時その時で集中する事、全力投球が本来の姿なのではないかと思い至った。「やりきる」こそ「生ききる」につながるのだ。そう言う点では禅の教えが根底にあると思うが、それを自然におこなえる状況にありがたさを感じた。
 
ハート・テンプル(玉龍寺)の外観・・・元は廃寺だったものを宮前住職をはじめスタッフ寮生らの手で改修された。
 
食堂・・・食器と惣菜が一箇所に並び配膳は各自行う。食事のとき寮生は様々な場所から修行に来た人と食卓を囲む。
 
奥が台所で右側が本棚。今はスタッフが調理しているが、寮生も共に料理をさせたいと住職は望んでおられる。
 
[施設の変遷]1965年・・・洗心義塾・青少年健全育成活動/1981年・・・奥飛騨少年の国・不登校生を受け入れ開始/1989年・・・リッツ・ライフ・スクールと改称・共同生活型のフリースクール/現在、ハート・テンプルに名称変更し、活動をしている。
[代表者紹介]宮前心山老師は1935(昭和10)年、新潟県生まれ。同志社大学経済学部卒。20代でサラリーマンから脱サラを図り食品卸業・飲食店・鋼材運送業などを経営するがうまくいかず、大きな苦難を経験する。自殺寸前に、ふと読んだ『洗心録』が機縁となって31歳で発心。瑞竜寺の三井大心老師の弟子となる。その後、数々の名僧を生んだ岐阜伊深の正眼寺で梶原逸外老師に付き13年間修行。現在、国内外から集まる研修希望者の指導に力を注ぎ、さらにアメリカ、カナダ、ドイツなどの国々で坐禅指導を行っている。また、宗派仏教に代わる一般人向けの「在家仏教」の必要性を痛感し、独自の方法で根本仏教である無宗派仏教の普及に努めている。現在、玉龍寺住職。[調査日―2002.09]
 
居間はくつろぎやすいスペース、造りになっている。3時にはお供え物のお下がりをここでいただいた。
 
脱衣室兼洗面所は広く、ここには洗濯機も設置されている。
 
畑では有機農法をとっている。玉龍寺の境内にある畑では自閉症の寮生が主体となって作業をしている。
 
浴室・・・一度に3人くらいが入浴可能な広さだが夏場はほとんどシャワーで済ませるそうだ。
 
作業風景・・・土木機械、農機具、大道具、その他の工具が一通り揃っている。写真は大工仕事をしている風景。
 
毎朝卵を生んでくれるチャボたち。他にも野生から保護したいのしし、北海道犬、なんとツキノワグマまで飼う。







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