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■代表者に訊く
諏訪 耕一さん
●浪合こころの塾代表
●団体の特徴
【神経症状者を中心とする専門施設とする】主に、学校や社会には行きたい、出たいという意志を持っているが、「行けない」ことで苦しみ、様々な神経症状を表している子供や青年に対応している。
【試練の施設にはしない】できるだけ条件を整えて、こころのリフレッシュを優先し、いわゆる躾に類するものは最小限にとどめる。
【入塾期間は6ヶ月以内】長期間生活を共にすればそれなりの効果は期待できますが、それによって私自身が甘えてしまう恐れもあり、また塾生にいろいろな方法で対応するよりも、私の得意な方法で短期間集中した方がいいと考え、6ヶ月以内と設定しました。また、効果のない場合には、別の方法や、他の施設へ移った方が双方にもプラスではと考えています。さらに、より早く帰宅させ、親子の努力による回復を図った方が、最も再発生率が低いように私は実惑しています。
【7割程度のリフレッシュで退塾】当塾から村の学校に通うのではなく、帰宅をして、親子が努力をし、試行しながらの登校を考えた方が再発の予防に有効であるというのが、私の長い間の体験からの考えです。
【親にも学習をしてもらう】入塾者は共同生活を通して何らかの変化、変容をしますが、親自身の変化がないと、本人はすぐに従前に戻ってしまいます。そこで、親も自ら学習をすることによって、子供の変容を受け入れられるように、親にも変容をしてもらうことを入塾の条件に設定しています。月に一度、名古屋と東京で親の勉強会を開催し、通えない親には通信で勉強をしてもらいます。
【合理性を求める】「あの人でなくては」(カリスマ性)とか「愛情で」(親に優る愛で)という、証明の難しい方法ではなく、「こう働きかければ、こう反応する」というような、他の人も検証できる対応をマニュアル化できないかと考えています。それを発表することで、悩んでいる多くの親御さんたちにも資することができればと思っています。
●卒設の基準
 義務教育の子供は、学校へ行けそうになれば70、80%回復してきた段階で家庭に帰し、その後は親のもとから学校に復帰できるように相談にのっていきます。また、精神的に親から自立ができ、自分の意志を親に伝えることができるようになれば、社会人の場合は働く意欲が芽生え、実践力がついてきたものと思われます。
●年代別目標
 [10代]義務教育の子供は学校へ復帰。それ以上は自己決定ができ、それを親に納得させられること。[20代]勤労意欲を持つこと。[30代]上記と同じ。
●施設における自立の定義
 親から離れて自分のことが自分でできること。自分の将来に向けて具体的に動きだすようになること。
●在籍生の就職状況とその支援体制
 社会人の場合はもとの会社に復帰できるよう、以前の上司や同僚に連絡を取り、協力を依頼する。
●在籍生のアルバイトの可否・その状況と支援体制
 治療的な意味でやらせることはあるが、ここでは職場があまりありません。
●作業(有償/無償)の有無・その内容と状況
 一切ありません。
●教科学習の必要性とサポート体制
 基本的には学習しないのが方針です。ここの役割は学校へ帰ることができるような状態までもってくることで、勉強は学校へ戻ってからすればいいと考えています。ただし、新聞のコラムを写すことは全員に課します。これは1時間じっと座っていられるトレーニングとしても役に立っています。
●在籍生の心理的サポート体制
 1ヶ月ぐらいは黙って様子を観察し、問題の所在を探します。それからそれぞれの塾生に必要と思われる刺激を与え、反応を見ながら示唆を与えたり、励ましたりして、70、80%回復した時点で親元へ帰します。その後は親と一緒に努力をしてもらいます。親としても、この体験をすることにより再発を防ぐことが可能となり、他の兄弟への波及(二人目の発生)が予防できます。再発率の低さは私の誇りです。
●外部医療機関との連携
 特にはないが、医療機関には知人がいます。
●在籍生の保護者へのサポート体制
 「最大の治療者は親であるべき」という考えから、親に勉強してもらうことに重きをおいています。月一度の勉強会には出席していただき、出席できない遠方の親には通信で勉強をしてもらっています。
 
▼団体詳細
団体名称●浪合こころの塾(ナミアイココロノジュク)
代表者名●諏訪 耕一(スワ コウイチ)
所在地●〒395−0501 長野県下伊那郡浪合村935番地1(シモイナグンナミアイムラ)
電話番号●0265−47−2105 FAX●0265−47−2165
URL●無し E−MAIL●無し
設立年度●1994年 在籍生平均在籍年数●3〜4ヶ月
入寮生数●男・・・―人 女・・・―人(平均年齢・・・―歳) 入寮定員●男・・・―人 女・・・―人
通所生数●男・・・―人 女・・・―人(平均年齢・・・―歳) 入寮定員●男・・・―人 女・・・―人
年齢制限●有り(10歳〜30歳) 性別制限●無し 相談業務●有り(5,000円/1h)
家庭訪問●無し 親の会●有り 会報発行●無し
特記事項●平均在籍年数は塾生のレベルによるために平均は出せないが、だいたい3〜4ヶ月で、半年以上の滞在は認めない。/宿泊定員は8名可能だが、本塾は重度の神経症の子が多いので1名から2名にしている。/親の会は東京、名古屋で月に一度開催して親に勉強してもらう。/会員人数は流動的で、人数の把握はできない。/会報は出していないが、各種報道機関にて活動状況を公表している。
スタッフ状況●日中・夜間・・・昼夜同じ体制を取っている。
スタッフ●正規・・・男3人・女・・・1人/ボランティア・・・男―人・女―人/その他・・・男―人・女―人
 
▼通所費・入寮費
通所生●―
入寮生●入塾費・・・300,000円(※活動費を含む)/月額負担金・・・150,000円(年齢が高くなるにつれプラスする場合がある)。
 
▼生活
日課スケジュール●[午前]7:30・・・起床/8:00・・・朝食/9:00・・・各自学習。ただし、全員に新聞のコラムを写すことは課す。/11:00〜11:30・・・昼食準備[午後]12:00・・・昼食/1:00〜4:30・・・自由時間。動ける子は近くを散歩したり、村の図書館へ行ったりしている。冬季はスキーをする。/5:30・・・夕食準備/6:00・・・夕食/11:00・・・消灯。
週末・休日●平日と同じ日課。
食事●塾生が多いときには塾生たちだけで、少ないときはスタッフと一緒に作る。
清掃●交代で場所を変えながら、皆で分担して行う。
年間スケジュール●決まったスケジュールは定めず、入塾している塾生のレベルに合わせてできることをする。ただし、12月中旬から3月まではスキーをする。







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