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浪合こころの塾
ナミアイココロノジュク
 
代表者名●諏訪 耕一[スワ コウイチ]
所在地●〒395−0501 長野県下伊那郡浪合村935番地1
電話番号●0265−47−2105 FAX番号●0265−47−2165
URL●無し E−mail●無し
 
80%の回復で家庭に戻す
入塾期間は6ヶ月以内
●報告―山田 三千代
[HRリーダー]
 
 塾長である諏訪氏は、長年の中学校教員生活の中で、不登校に悩む多くの子供たちに接し、その子たちがリフレッシュし、元の人間関係に戻れるようサポートできる塾を作りたいという夢を抱き、それを下伊那郡浪合村に実現しました。
 諏訪氏の考え方には二つの特徴があると思います。第一は「学校」が子供に与えることができる大きなもの、それは「自由で平等な集団で生きる経験」、すなわち、いろいろな考え方、振る舞いの人と交わる体験は他では得がたいものなので、できる限り不登校の子供は元の学校への復帰を目指すという方針です。それは、生きる力は学力ではなく人間関係を構築する力であるとする考えです。第二は親を通じて回復へ向かわせることにより、親にも勉強してもらい、親子で共に努力することにより乗り切る手助けをすることです。そのことにより、親も子供のこころの動きに敏感になり、再発を防止することができるという考えです。
 
浪合こころの塾外観・・・豊かな自然に囲まれた長野県下伊那郡の浪合村に位置する。
 
玄関・・・村の「林業青少年研修センター」として作られた建物。現在は村から借りている。
 
諏訪氏の執務室兼相談室。
 
 例えば、先生の言葉に傷つき、恐怖を抱いて学校へ行けなくなった子供(A子)の場合では・・・親から子供への言葉のかけ方、話の聞き方などを親に勉強してもらう。一方では学校へ諏訪氏自身が出かけて行き、先生に会い、先生を通じて友達を作れるよう話をする。その子たちとA子の関係をまず作り、場合によっては先生にA子の家に行ってもらい、直接A子に謝ってもらい、徐々に学校へ戻る雰囲気を作ってゆく・・・というような形で、行き惑っている子供を取り巻く周りの環境を意識的に整え、子供が元の場所で楽に呼吸ができるようなスペースを作っていく。それが諏訪氏の仕事のようです。その手法は最後に挙げた氏の著書に詳述されています。
 また諏訪氏は、元の学校、会社、家庭というように、行き詰まった場所から離れるのではなく、その場所でもう一度人間関係を取り戻すことにこだわりを持っています。子供自身が生きる力をつけない限り、場所を変えることで一時的に凌ぐことができても、また再発する可能性が大きいと考えているからでしょう。
 調査員として、諏訪氏の試みは他の塾とは違う方向からのアプローチで、非常に興味を惹かれました。浪合の経験を基に、来春には岐阜県揖斐郡坂内村に「坂内新生塾」「坂内新生学園高校」が開設されることとなり、その準備も着々と進んでいるようですので、心より楽しみにしています。[調査日―2002.10]
※諏訪氏著書『だけど、学校をあきらめきれない』(図書文化)、『不登校理解のキーワードと指導の実際』(黎明書房)、『教師の禁句、教師の名句』(黎明書房)他
 
居室・・・ここで寝起きをすることになる。木造独特の温かさが感じられる部屋の造りになっている。
 
塾の庭から見える清流・・・それはそれは澄んだ流れで、自然の心地よさにこころはリフレッシュされる。
 
スキー場・・・塾から車で10分ぐらいのところにあるスキー場。冬には毎日スキーに行く子供も多いそうだ。
 
台所・・・子供たちがいるときは諏訪氏の奥さんに教えてもらいながら、子供たちで相談して献立を決め料理をする。
 
塾の裏窓から見える村の風景・・・村の人たちも塾の子供たちに気軽に声をかけてくれる。
 
よき協力者である奥様と諏訪氏。スキー場の上の馬の背にて。







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