本になった中国文化の博物館 漢聲(ハンシェン)
掲載しました『中国の樺樹皮文化』蘇日台執筆と『中国の樺樹皮器物の装飾文様図録』は漢聲雑誌51号から転載しました。
ここで台北で漢聲雑誌を発行している漢聲と漢聲の本を紹介します。
漢聲の本は漢聲雑誌から派生した、中国文化の叢書です。創刊は一九七八年。
急速な近代化とともに失われていく中国文化の伝統を、誰もが目にすることのできる形で残したいという願いとともにスタートしました。
それから九年後の一九八七年、台湾人の中国里帰りが解禁となったのを機に、漢聲のスタッフは中国全土を訪ね歩き、多種多様の文化をつぶさに記録し、本にしていくことになりました。
すでに三十を越える漢聲の叢書は、中国各地・各時代の民芸から歴史建築、少数民族の文化、あるいは庶民や女たちの間で伝えられてきた技術など、バラエティに富んだ角度から中国文化を紹介しています。外の人間が足を踏み入れたことのない場所で見つけた品もあれば、稀少な骨董書を入手して学んだ技法もあります。博物館や美術館がそのまま本になったと言っても過言でないほど、量・質ともに充実した内容です。
漢聲の本が国際的に評価されているもう一つの理由は、アートディレクター黄永松(ホワン・ユンスン)の仕事にあります。一冊一冊のエッセンスが、本を見ただけで伝わってくるようなエディトリアル・デザイン。中国の民芸・工芸のポップな斬新さ、漢字の美しさなどを巧みに表現する黄のデザインはそれ自体、中国文化史に足跡を残すものとなるでしょう。漢聲=5-2, Pa The Road, Sec. 4, Lane 72, Alley 16 Taipei Taiwan Tel. 02-2763-1452 Fax. 02-2756-8712
杉浦康平[グラフィックデザイナー」
漢聲(ハンシェン)は「血気」盛んな叢書である。漢聲の「血」とは、いうまでもなく中国の伝統文化。それも、天の文化でなく、地の文化である。
中国の民衆の祝祭と、それを支える美の感受性。大地の豊穣を巧みにとりこむ生活術の哀歓。
六千年を越える民衆の叡智の色濃い流れが、そのまま、漢聲の「血」となった。
漢聲の「気」とは、文化の血脈を掬いとる視線の素早い動き。主題の巧みな展開力だ。現代が忘れかけた、生気あふれる表現技術を我がものとする。
大胆なレイアウト。鮮烈な色彩構成。意表をつく造本。いずれもが、漢聲の若やぐ「気」の発露となる。
「血気」盛ん。溌刺とした漢聲の活力が、私たちの胎内に眠るアジア文化の血脈をざわめかせ、目覚めさせる。
中国文化のキャラクター「虎」の、膨大なビジュアルデータベース
#110-111 両千虎圖・・・「論述篇」120頁(カラー24頁)、「十二生肖系列」120頁オールカラー。24.8cm×30cm。ハードケース入。 |
中国のイメージを変える、色とフォルムの絢爛
#99・100 剪花娘子庫淑蘭・・・上巻148頁(カラー84頁)、下巻156頁(カラー112頁)。24.6cm×29.7cm。豪華ハードケース入。 |
軒先で幸運を呼び寄せる美しい神様たち
中國門神
#98 中國門神・・・切り離して使える絵葉書47枚。薄茶色の厚紙、オールカラー。 |
漢字はアート表現のメディアでもあった
#87・88 美哉漢字・・・88頁(カラー24頁)。24.5cm×29.7cm。和綴じ製本、豪華ケース入り。 |
明・清時代の歴史的町並を徹底分析する
諸葛村郷土建築
#85・86 諸葛村郷土建築・・・「論述篇」144頁(カラー9頁)、「圖版集」88頁(カラー16頁)。24.6cm×29.6cm。ハードケース入。 |
クリエイティブな中国女性たちの、消えゆく伝承芸術
#81・82・83《失傳系列》陝北剪紙―黄土高原母親的藝術・・・全848頁。第1巻=オールカラー、第2・3巻=6色の色紙を使用。18.7cm×18cm。ハードケース入。 |
注目される客家(ハッカ)集落の、初の本格的資料
福建土樓
#65・66 福建土樓・・・「論述篇」164頁(カラー57頁)、「樓譜篇」172頁(オールカラー)。24.6cm×29.6cm。ハードケース入。 |
失われた時の技術を再現する
#63・64 中國民間肖像畫・・・368頁(カラー211頁)。17cm×30.7cm。ハードカバー、紐付き。 |
漢聾シリーズのベストセラー。中国美のデザインマニュアル
#61・62 老月分牌廣告畫・・・「論述篇」104頁(カラー60頁、綴じ込みポスター付)、「圖像篇」124頁(オールカラー)、付録「手記」2種類の美人画ポスター各10枚(オールカラー)。24.4cm×29.9cm。豪華ケース入。 |
協力―赤崎正一
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