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(21)
(21)―ゴンカンと呼ばれる本堂脇の小堂で祈る僧。ドクロをかたどった仏具を前にして祈る僧の背後壁面は、地獄、鳥葬場といった凄惨な絵で埋め尽くされている。ギャンツエのパンコル・チョエデ寺にて。
 
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(22)(23)―五体投地でカイラス山を巡る男。一周五十二キロ、雪渓の残る標高五千六百三十六メートルの峠を越え、五体投地で巡るには約二週間を要する。カイラス巡礼の目的はひたすら罪を清めること、そして地獄や餓鬼道ではなく来世もまた人間界に生まれてくることだ。
 
(24)
(24)―カイラス山巡礼の基地、タルチェンの仏塔を巡る信者。真言を唱えながら手にしたマニ車を絶えず回し続けている。マニ車の中には経文が納めてあり、一度回転するたびに経文を読んだことになる。砂漠同然の西チベットでは、このようなゴーグルを付けた男としばしば出会う。
 
(25)
(25)―帰ってきた仏像。中国による略奪から二十四年ぶりに返された仏像がガンデン寺の一画に放置されてあった。価値によって分類された厖大な美術品、仏像が一九五九年以降中国本土に送り出された。これらの仏像たちは、溶かされ工業材料にされる運命にあったものだが、手違いで残され八九年になって送り返されてきた。







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