日本財団 図書館


(16)
(16)―犬の吠え声で外を見守る子供たち。狼から家畜を守るためにどのテントでも獰猛な番犬を飼っており、よそ者が近づく時は細心の注意を払わなくてはならない。昼間はたいがい鎖に繋いであるが、夜間は離してあるために極めて危険。
 
(17)
(17)―吹雪の朝ヤクを放牧に出す。家畜が出たあと女たちの最初の仕事は、夜のうちに落としたヤクの糞を集め、平らなせんべい状にして壁などに貼り付け乾かすことだ。唯一の燃料である糞がなければこの地では生きてはゆけない。
 
(18)
(18)―厳冬の二月、祖父とともにテントで目覚めた二人の子供。遊牧民たちは裸になり毛皮にくるまって寝る。その方が暖かいという。外は氷点下二十度、吐く息が霜となって毛布に付着しているのを見ても、冬の厳しさが知れる。
 
(19)
(19)―初冬の夕刻、放牧から戻ってきた羊と、子供たち。一般に遊牧民は、高地にある夏の放牧地ではテントで過ごし、冬は寒さにそなえて麓の土壁の家で暮らす。そのため冬の放牧地では周りを金網で囲って、厳しい冬のために牧草を確保しておく。
 
(20)
(20)―鳥葬。十一歳の少女の遺体を解体する僧侶。場所は、東チベットのゴロク地方にある、経文を刷った無数の旗を張り巡らせた「ダチョ」と呼ばれる聖所の中。裏手の斜面にはすでに数十羽のハゲワシが飛来しており、切り分けられるのを待っている。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION