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(10)松本 孝
●造船はできない
年齢:昭和12年生まれ
経歴: 昭和28、9年頃16、7歳で五和造船(勝浦)に弟子入り、親方に5年習った。修業後は東京や横浜へも行き、昭和40年代に小湊造船に入り鉄船を造った。昭和47年から平成8年まで自らFRP専門の造船所を経営した。その後、現在の(株)船忠に入る。父親も船大工だった。
船種: 一丁漕ぎ(エビ網、釣り・長4.5〜5m、幅1.3〜1.6m、0.8トン・櫓)
ダルマ船(東京、横浜・ハシケ・長20m、幅7〜8m・動力付は機械ダルマ、動力無しもあり)
サンマ、サバ船(長20m、幅4〜5m、約30トン・動力は昭和40年代から)
小型漁船(用途多数・長10m、幅2m、3〜4トン・動力)
材料: スギ、ヒノキ、ケヤキ、ヒバなど、五和造船では木は山師に頼んでいた。
釘は鴨川の鍛冶屋から。タック釘などは広島の尾道方面から。
調査者:松田 睦彦
 
(11)岩瀬 三二
●造船はできない
年齢:昭和4年生まれ
経歴: 昭和20年頃16歳で叔父の鈴木造船所(大網白里町)へ弟子入り、19歳まで4年いた。その後、兵役に。帰ってから朝日造船(勝浦)、銚子造船(銚子)、船忠(大原)で仕事をした。64歳まで45年ほど。
船種: 鈴木造船時代 地曳船(地曳網・櫓)
船忠時代
アグリ船(アグリ網(イワシ)・長15m、幅2.8m、5トン・動力付)(長17〜18m、幅3m、10トン・動力付)
ナワ船(タイ延縄、エビ網・現在はイナケ刺網、遊漁船・動力付)
材料:東金あたりの山から、馬車で運搬した。
調査者:松田 睦彦
 
(12)川崎 朗
●造船は条件付でてきる。道具があれば。
年齢:昭和9年生まれ
経歴: 昭和25年頃16歳で川崎造船の親方・川崎喜十郎(分家・大正生まれ)に4年ほど習った。これまでの船大工経験は52年。川崎造船4年→小湊造船20年→三井造船9年。千葉市にある三井造船では内装をやった。あと船忠19年はFRP。
木造船は昭和41、2年頃が最後。
船種: 地曳船(地曳網・長10m、幅2.5m、3トン・5丁櫓)
タコ船(タコ壷、タイはえ縄・長10m、幅2.5m、5トン焼玉→ディーゼル)
サバ船(1〜7月は伊豆大島辺りでサバ、8〜12月は北海道方面でサンマ・洋式船=アバラを立てて板を張る・長20m、幅4.5m、20〜30トン・ディーゼル)
定置船(定置網・長22m、幅6m、20トン、焼玉→ディーゼル)
材料: 船材は大原や浪見の山で買う。
クギは大原や貝須賀の鍛冶屋。
調査者:松田 睦彦
 
(13)小宮 仁
●造船はできない
年齢:昭和12年生まれ
経歴: 昭和27、8年に15歳で父親・経治(明治28、9年生まれ)に教わった。株式会社小宮造船所の3代目。他の造船場に勤めたことはない。経験は40年。最後の木造船は昭和41年。
船種: 巻き網船(巻き網の本船、運搬船・長18〜19m、幅4〜5m・35トン)
小型一本釣り(縄船・タコ釣り、イセエビ網、はえなわ、刺し網、アワビ漁)
 大 長20m以上、幅5m以上・60トン
 小 長15、6m、幅3m・5トン未満
☆戦後はディーゼル
材料: 県内の山の木を見て歩き山ごと買う。伐採や製材の人夫は自分の造船所で雇っていた。
釘は大原、天津で仕入れていた。後は大阪あたり。
調査者:松田 睦彦
 
(14)荘司 義雄
●造船は技術者が集まれば、15、6トンのが造れる。
年齢:昭和7年生まれ
経歴: 昭和22、3年15歳で船大工だった兄や他の職人から5年くらい。親方だった兄が35歳の時に事故死して以来、会社を背負った。40歳で造船の作業からしりぞき、図面作成、材料調達、営業など経営者としての仕事をした。職人は通常10人くらい。九十九里から富津あたりまでがお得意で、主にアグリ船を造った。FRPになってからは定置船が多い。現在、息子が会杜を継いでいる。
木造船の造船は昭和47年頃まで。
船種: アグリ船(イワシアグリ網・長15m、幅2.8m、5トン・長17.8m、幅3m、10トン・ともに動力付)
ナワ船(タイの延縄、エビ網、現在はイナダ刺網、遊漁船・動力付)
材料: 船材は大多喜周辺の山から入手した。
マキハダは和歌山から取り寄せた。
釘は昔は県内で作っていたが、昭和30年代前半に洋船型になってからは尾道のブローカーから買っていた。大原には鍛冶屋が2軒あったが、洋釘に切り替えることができなかった。
調査者:松田 睦彦
 
(15)樋口 喜持
●造船できる
年齢:昭和6年生まれ
経歴: 21歳の頃、父・儀平(明治38年生まれ)に習った。29歳の時に結婚したがその頃父に山へ木を見につれていってもらった。相弟子が2〜3人いたが、30、1歳ころから相弟子といっしょに船を造った。父は昭和40年60歳で死んだ。
船種: テンマ(タイ釣り・シキ13.5尺、幅4尺・櫓→船外機)
 ☆和田はもちろん勝山、白浜などのを造った。
チャカあるいはモーター(1〜2トンの漁船・シキ20〜24尺、幅6.5尺、深さ1.5尺)
 ☆テンマとチャカ併せて200隻ほど造った。
材料: 地元産のスギ ミヨシはケヤキ
釘は昔は地元産だが後は尾道。
直近造船:平成13年に安房博物館にテンマを造船した。
調査者:石原 義剛







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