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参考資料4
タクシー事業における環境保全への取組に関するヒアリング結果の整理
  ※ヒアリングを行った取組事例のみを記入した。
※各社の事業概要については、末尾に記載。
区分 取組事例
1 環境保全に係る方針の展開
  環境方針 (全乗連の取組・見解)
・燃費を節約すれば企業経営に役立つという観点からアイドリングストップに取り組んでいる(自主行動計画:駐停車時のアイドリング削減等の徹底に努める)。
(E社)
・ISO 14001の環境方針(本社及び2営業所でISO 14001の認証取得)。
環境目標 (全乗連の取組・見解)
・衛星を利用した配車システム(GPS−AVMシステム)の導入を促進し、2010年(平成22年)の普及率60%をことについて述べている数値目標として設定。
・燃費の向上、電力消費量、廃棄物排出量等について定めている。
(E社)
・ISO14001の目的・目標(燃費の向上と排気ガスの削減、資源エネルギーの有効利用、廃棄物排出量の削減・リサイクル等)。
実施計画の策定 (全乗連の取組・見解)
・「ハイヤー・タクシー業界の地球温暖化防止に関する自主的行動計画」(平成10年)を策定。平成14年5月に改定し、数値目標を設定。
2 推進体制及び責任
  推進体制の整備・権限責任の明確化 (E社)
・ISO 14001の推進体制。
従業員に対する教育 (全乗連の取組・見解)
・事業所・事務所における対策(自主行動計画:整備管理者、運行管理者を通じて、技工員及び運転者に対し環境対策、燃費節減に係る環境研修を実施)。
(A、B社)
・整備管理者、運行管理者を通じて教育を行っているが、トップの意識が重要。
(C社)
・毎月1回、明け番教育集会を開いているが、事故防止や接客についての教育、指導が中心。
(D社)
・日常の業務を通じて始業点呼の際などに、管理職から伝えるよう心がけている。
(E社)
・ISOの認証取得が従業員の環境保全への取組の動機付けになっている。
3 燃費改善に向けた取組
  燃費の把握 (全乗連の取組・見解)
・タクシー車両の燃費改善(自主行動計画:タクシー専用車両への低燃費エンジンの導入を働きかけている)。
(A、B社)
・リッター当たりの走行キロを把握している。
・燃料消費量は日報でチェックしている。
燃費の把握 (C社)
・燃費は車両別及び営業所全体で把握。運転士ごとの燃費の把握は難しい。
・帰庫した際にメモリーカードをコンピュータに読ませることにより、走行距離、売上等と含めてコンピュータ管理を行っている。給油量と乗車人数は手作業。
(E社)
・燃費は車両ごとに把握している。
・燃費の良い順に整理し、順序が下方の乗務員を対象に個別指導を行っている。
燃費改善目標等 (E社)
・事業所ごとに燃費の3%向上
4 エコドライブの実施
  エコドライブに関する取組と結果の確認 (全乗連の取組・見解)
・適正運転の実施(自主行動計画:停駐車時のアイドリング削減等の徹底、車両の過度の冷暖房の防止、急発進・急加速の防止、休憩・仮眠・洗車時のエンジン停止)。
(A、B社)
・日報をもとに、エコドライブの実施状況について個人ごとに指導している。
・エコドライブコンテストは行っていないが、安全運転コンテストを実施している。
・冷暖房OFFについては、お客さんから苦情があるため、推進が難しい。
・光化学スモッグ発生時には、アイドリングストップに留意するように注意・指導している。
(C社)
・駅待ちをするか、流しをするかの選択も乗務員任せであり、営業に出てしまえば管理者の目も届かないので、タクシーではエコドライブの教育は難しい。
・出庫時や帰庫時の洗車の際にアイドリングストップについて注意をしている。
・地方では、駅待ちが多く、停車時間が長いので、アイドリングストップの燃料削減効果は非常に大きい。
・タクシーにおけるアイドリングストップの実施が難しい理由としては、エアコンの必要性、駅待ちの際の小幅移動等がある。
(D社)
・エコドライブの取組は効果的だが、呼びかけを続けないとすぐに効果が薄れる。
・迎車時の客待ちの際には、騒音問題からもエンジンストップを実施するよう呼びかけている。
・エコモ財団のエコドライブコンテストでの受賞によって、ドライバーにエコドライブを行う習慣が身に付いた。経費面からも効果が確認できた。また、営業所のある町内会でも好評を得た。
(E社)
・タクシー業界では、エコドライブ取組項目やこれによる効果などの情報が普及していない。
エコドライブ実施のための条件整備 (A、B社)
・エンジン回転数や走行状況が一目で分かることから、タコグラフは従来方式のものを採用し、デジタルタコグラフは別に分析解析をしなければならないことから使用していない。
(C社)
・アイドリングストップ装置については、装着テストを行ったところ、燃費が24%向上するという結果を得た。
(D社)
・タコグラフの装着は義務づけられていない地域だが、全車に装着している。
(E社)
・宅配便事業者が使用しているようなキー抜きロープを導入している。
・アイドリングストップ装置の導入は検討したが、その当時、まだいいものがなく、導入を断念した。
・磁石を巻くことにより燃費や排ガス成分が変わるといったようなものは、いろいろ装着試験を行っている。
5 低公害車の導入 (全乗連の取組・見解)
・2000年規制、2005年規制対象車を先取りするように、メーカーへ働きかけを行っている。
・ヨーロッパで開発されているLPGの液噴を、わが国に導入するための取組について協力している。
・地方の会社でハイブリッド車を導入しているところもある。ただ、山間部などでは効果が現れにくい。
・LPGは環境にやさしい燃料として認識している。
(A、B社)
・耐用年数が約5年であり、その間に☆認定車・☆☆認定車のタクシー専用車(トヨタ・クラウン・コンフォート、ニッサン・セドリック・クルー)に切り替えており、特別な低公害車を導入しなくても、低燃費化・低公害化が進められる。
(C社)
・保有車は全てLPG車であり、低公害車はない。
(D社)
・タクシーは全てLPG車、マイクロバスはディーゼル車。
(E社)
・タクシーは5年で代替えを行っている。
・ハイブリッド自動車は上高地等で導入していきたい。
・天然ガス自動車については、ガススタンドが北九州には1ヶ所しかなく、1回の充填による走行距離を考えると効率が悪い。
6 自動車の点検・整備 (全乗連の取組・取組)
・法定点検の実施率は他の業界と比較して高く、1ヶ月点検を現在も実施。
(A、B社)
・整備は自社工場で実施している。
・法改正後も1ヶ月点検を実施している。
・車両の性能が良くなっていてあまり見るところはないが、特に、空気圧のチェックを指導している。
(C社)
・日常点検は社内の整備工場、定期点検は整備会社(関連会社)がしている。
(D社)
・子会社に外注している。
・走行距離が長い(25万キロを越えた)車両については、適宜1ヵ月で点検することもあるが、原則は3ヶ月点検としている。
7 廃車・廃棄物の排出抑制、適正処理およびリサイクルの推進 (全乗連の取組・見解)
・循環型経済社会の構築(自主行動計画:産業廃棄物としての廃タイヤ等の適正処理)。
・代替フロンの回収(自主行動計画:地球の温暖化に影響を与える代替フロンの適切な回収)。
(A、B社)
・乗客・住民の苦情としては、車庫での騒音問題がある。
(C社)
・フロンは、自社で回収し、フロンの処理は、適正な業者に委託している。
・廃車・廃棄物の処理については、適正な業者に委託している。
(E社)
・廃タイヤ、廃バッテリは、タイヤ、バッテリを購入している業者に引き渡し、そこから処理業者へと渡ることになるので、引き渡した業者が適正な処理業者に委託しているかどうかを確認している。
8 運行の効率化 (全乗連の取組)
・運行の効率化、空車率の低減の観点からGPS−AVMシステムの普及率を目標値として設定(自主行動計画)。
(A、B社)
・GPSを機能させて乗車率を高め、空車率を低下させるような運転の効率化を図っている。
(C社)
・一部営業所でGPS配車を行っている。
・配車比率を上げていくことにより実車率を向上させ、走行距離と燃料の削減を図っている。
(E社)
・GPS配車は熱海ではじめに導入し、以降、各事業所で導入している。
・GPS配車導入の効果としては、配車完了までの時間が非常に短縮されること、お客さんに一番近いタクシーが配車されるので走行距離が削減されることが挙げられる。
9 タクシーの利用促進 (全乗連の取組)
・タクシーの利用促進(自主行動計画:運賃料金の多様化、乗合タクシーの促進)。
・輸送効率の向上という面で乗合バスが自主行動計画にあげられているあるが、空港などの拠点があるもの以外は集客が難しく、実際は減少しているのが現実。
(C社)
・新宿、吉祥寺で乗合タクシーを運行しているが、社会的使命は終えている。
(D社)
・老人、病人を大切にする営業方針をとっており、高齢のリピート客も多い。
(E社)
・ホテルと提携し、大規模の会議があるときは事前に人数と閉会予定時刻をFAXで送ってもらい、閉会時刻に合わせて自動車を集める(会議場から無線で呼びかける)というポーターサービスを行っている。
・商店街から深夜の乗合タクシーを走らせてほしいという話があり、北九州−福岡間で乗合タクシー(「親富孝エクスプレス」)を運行している。
・ホームヘルパーの資格を持った乗務員が病院への送り迎え等を行う介護タクシーのサービスを「安心サービス」として、平成11年5月から始めている。
・会社が費用を出してホームヘルパーの資格を乗務員に取らせ、現在、全国で250名以上のホームヘルパーの資格を持った乗務員がいる。
・介護タクシーは通常のタクシー車両を使用するが、これ以外に車イスや寝台がそのまま乗せられる車両(狭義での「福祉タクシー」)も用意している。
10 管理部門における環境保全への取組 (全乗連の取組・見解)
・事業所・事務所における対策(自主行動計画:事業所、事務所における冷暖房の温度設定を夏は28度以上、冬は20度以下)。
・循環型経済社会の構築(自主行動計画:リサイクル製品の積極的な購入等リサイクルの推進)。
(E社)
・本社において廃棄物の発生抑制、分別管理、リサイクルを行っている。
11 社会とのコミュニケーションの推進 (全乗連の取組・見解)
・地球温暖化防止キャンペーンの実施(自主行動計画:毎年8月15日のタクシーの日に車両のエコドライブ、アイドリングストップに関するキャンペーンを実施(ポスターや車両貼付用のステッカー)。
・協会が環境対策をステッカーなどでアピールしても、地域の協会まで徹底させることは難しい。
 
 
■ 各社の事業概要
【A社】  
・従業員数 :320人
・車両保有数 :160両
・本社所在地 :中央区
・営業所数 :2箇所
・整備工場 :1箇所
・自動車事業における事業内容:タクシー、ハイヤー
   
【B社】  
・従業員数 :265人
・車両保有数 :102両
・本社所在地 :荒川区
・営業所数 :1箇所
・整備工場 :1箇所
・自動車事業における事業内容:タクシー、ハイヤー
   
【C社】  
・従業員数 :280人(うち職員 23人)
・車両保有数 :本社営業所 65両  川越営業所 37両
・本社所在地 :練馬区
・営業所数 :2箇所
・自動車事業における事業内容:タクシー、ハイヤー
   
【D社】  
・従業員数 :125人
・車両保有数 :63両
・本社所在地 :松本市
・営業所数 :8箇所
・自動車事業における事業内容:タクシー
   
【E社】  
・従業員数 :約3,400人
・車両保有数 :約5,100両(グループ全体)
・本社所在地 :北九州市
・営業所数 :170箇所(グループ全体)
・自動車事業における事業内容:タクシー、ハイヤー







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