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第3章 各評価項目について
1. 環境保全のための仕組みの整備
(1)取組のポイント
○環境保全への取組についての意思表明と利用者への周知
○環境関連情報の収集・習得
 
 環境保全の取組を行っていくには、環境に配慮した運転を実施していることを表明すると同時に、利用者に対して理解を求めることが重要です。そのためには、車内にステッカー等を掲示することが望まれます。
 また、自ら環境問題に対する関心や環境に関する知識を持つことも重要ですので、所属組合等からの通達や研修会、講習会への参加等を通じて、日頃から情報を収集し、習得しておくことが必要です。
 
(2)チェック項目の解説と関連資料
(1)環境保全への取組についての意思表明と利用者への周知
チェック項目
(拡大画面:7KB)
 
解説
 環境保全への取組については、自らの理解や意識を高め、環境に配慮した運転を実施していることを表明すると同時に、利用者に対して理解を求めることが重要です。例えばアイドリングストップの実施により、冷暖房などで利用者に不便をかけることも想定されますので、利用者の理解を求める内容のステッカーなどを車内掲示することにより、取組内容や取組姿勢を伝えることが望まれます。
 環境保全への取組について利用者の理解を求める車内掲示用のステッカー等の内容として、次のようなものがあります。
 * アイドリングストップは、アイドルストップやエンジンカットと呼ばれる場合もあります。
 
○車内掲示の例
環境に優しい運転を心がけているため
アイドリングストップ(エンジン停止)をいたします。
このため、車内の温度調整が十分でない場合がありますが、
何卒趣旨をご理解いただき、皆様のご協力をお願いいたします。
 
(2)環境関連情報の収集・習得
チェック項目
(拡大画面:7KB)
 
解説
 環境への取組を行っていくには、自ら環境問題に対する関心や環境に関する知識を持つことが重要です。所属組合等からの通達や研修会、講習会への参加等を通じて、取組の前提ともなる環境保全の重要性や環境に関わる法規制、行政指導の内容等に関する情報を得ることができます。日頃から積極的な情報収集を心がけ、習得に努めます。
 収集する情報の主な内容としては、車両の走行に伴う環境への影響、運転に伴う排出ガスやCO2の削減の必要性、環境・安全に関する法規や行政指導の内容として大気汚染防止法や、自動車NOx・PM法、騒音規制法、道路運送車両法の環境保全に関連する事項等があります。
 
関連資料
a. 環境に関わる法律の一例
 環境に関わる法律の主なものとして次のようなものが挙げられます。また、法律以外にも、業界による行動規範や規制以外の指針等も重要となります。
  法律名(通称)
1. 環境一般に関する法律 ・環境基本法
2.地球環境に関する法律 ・地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策推進法)
・特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)
・エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)
3. 大気汚染・悪臭に関する法律 ・大気汚染防止法
・自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(改正自動車NOx・PM法)
・スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律(スパイクタイヤ使用禁止法)
4. 騒音・振動に関する法律 ・騒音規制法
・振動規制法
5. 廃棄物・リサイクルに関する法律 ・循環型社会形成推進基本法
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)
・資源の有効な利用の促進に関する法律(改正リサイクル法
・使用済み自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)
 
2. エコドライブの実施
(1)取組のポイント
○燃費に関する定量的目標の設定
○エコドライブ関連情報の収集・習得、エコドライブの実施
○推進手段としての装置の整備
 
 「エコドライブ」(省燃費運転)とは、急発進・急加速・急ブレーキを控える、経済速度で走る、タイヤの空気圧を適切にするなど効率的な走行によって、走行中の燃料消費量を抑える経済的な運転方法です。
 
 エコドライブを実施し、燃費の改善を図ることはコストの削減につながります。リッター当たりの走行距離が仮に7.5km/lから5%に相当する約7.9km/lに伸びた場合、年間で10万km走行する車両1台につき約4万円のコスト削減が見込まれます(LPG価格:70円/lとして算出)。同様に20%に相当する約9km/lに燃費が伸びれば、コスト削減額は約13万円にものぼります。
 また、地球環境保全の観点からはCO2の削減、沿道における大気汚染や騒音の低減にも効果があります。エコドライブへの取組を通じてドライバーの意識が向上すれば、安全管理や事故防止という面でも効果が期待できるため、タクシー事業者にとって重要な取組といえます。
 
 エコドライブによって燃費の改善や環境負荷の低減を図るためには、まず、日頃から燃費管理を徹底して行い燃費の現状を把握した上でそれをもとに燃費の改善目標を設定します。また、エコドライブに取り組みやすいような装置等の導入も望まれます。
 
(2)チェック項目の解説と関連資料
(1)燃費に関する定量的な目標の設定
チェック項目
(拡大画面:5KB)
 
解説
 エコドライブを体系的に進めるためには、まず燃費の現状を把握する必要があります。車両の走行距離や燃料の使用状況は、運転日報の情報や、給油時の伝票、帳票類などをもとに把握可能です。
 また、把握にあたっては、最新の1ヶ月間、1年間など、把握しやすい期間であればどんな期間でも構いません。
 
チェック項目
(拡大画面:5KB)
 
解説
 エコドライブによる燃費削減効果を活用して、燃料使用量の総量を削減するための目標を設定します。
 定量的な目標値は、燃費を経年で把握し、目標燃費の変化量や改善率などを、前年比、前年同期比といった形で捉え、年間や季節(時期)ごとに設定します。
 
○燃費に着目した目標設定
・目標燃費の設定:○○km/・ など
・改善率の設定 :○%改善 など
 
関連資料
a. エコドライブによるコスト削減効果
 仮に、年間の走行距離を10万km、LPG価格を70円/l、エコドライブによる燃費向上率を5%、10%、20%と想定し試算してみました。これによって、車両1台につき次のようなコスト削減が見込まれます。
 
  通常運転 エコドライブによる燃費向上率
5%向上 10%向上 20%向上
リッター当たり走行距離 7.5km/l 約7.9km/l 約8.3km/l 9.0km/l
年間の燃料消費量 約13,333 約12,658 約12,048 約11,111
年間の燃料費 約93万円 約89万円 約84万円 約78万円
コスト削減額 約4万円 約9万円 約15万円
(注)年間走行距離:10万km、LPG価格:70円/l として算出した。







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