日本財団 図書館


(3)法定点検に加えて環境に配慮した独自の基準による点検・整備の実施
チェック項目
(拡大画面:12KB)
 
解説
 点検・整備に関する取組としては、法定点検の実施に加えて、自動車メーカーなどからの点検・整備に関する情報や車両の使用状況、日常点検の結果等を考慮して、会社として独自の点検・整備基準(走行距離、点検期間等についてのより厳しい基準)を設定し、自主的に点検・整備を実施することが望まれます。
 バス事業者の中には、車両の使用状況を考慮し、法定点検に加えて点検期間を短縮し、1ヶ月点検等を自主的に実施している例があります。
 
チェック項目
(拡大画面:15KB)
 
解説
 点検・整備記録や事故・故障記録は車両の状態を判断する重要なデータです。これらの記録をもとに、過剰な点検・整備を避けて適切な点検・整備を実施するために、車種や使用条件の違いを把握し、独自の点検・整備基準を作成することが望まれます。また、作成した点検・整備基準は定期的な内容の見直しが必要です。
 バス事業者の中には、点検・整備基準の見直しを毎年行っている例があります。また、整備や故障に関して他社と情報交換を行ったり、場合によってはメーカーに対して壊れにくい個所や壊れやすい個所などの情報を伝え、メーカー指定の基準の見直しを求めるなどの積極的な取組を行っている例があります。
 
チェック項目
(拡大画面:27KB)
 
(拡大画面:68KB)
 
解説
 このチェックリストで示した点検・整備個所は、環境保全のうえで特に注意が必要な個所です。自社の車両の運行状況にあわせて、点検基準や実施計画を策定し取組むことが望まれます。
 
 基準値は、自動車メーカーなどが公表しているメンテナンス・ノート等に記載された点検・整備の情報をもとに、車両の使用状況が標準的な使われ方なのか厳しい使われ方(シビアコンディション)なのかをそれぞれ考慮して、設定されることが望まれます。
 エアフィルタの清掃・交換や、燃料噴射系のオーバーホールや交換は黒煙対策に有効な手段です。
 エンジンオイルやエンジンオイルフィルタの交換は、車両を長距離にわたって走行させる上で欠かせない整備の一つです。エンジンのスムーズな回転を促すことによって、エンジン音の低減と燃費の向上が得られます。
 粒子状物質減少装置については、新たに装着が必要な装置であることを考慮し、メンテナンスの実施や黒煙測定に関する事項を設定してあります。
 タイヤの空気圧の点検にあたっては、日常の目視やハンマー点検だけではなく、空気圧計を用いた点検、調整も必要です。空気圧が100kPa(=1.0kgf/cm2)低いと燃費は約1.5%悪化するといわれます。
 エアコンフィルタが目詰まりしていたり、高圧空気が漏れる場合には、それぞれの装置の稼動効率が下がり、燃費の悪化につながります。
 また、トランスミッションやデファレンシャルのオイルの漏れや劣化も、走行抵抗の増加につながり、燃費を悪化させる一因となります。
 
関連資料
a. メーカーによる点検・整備基準
(拡大画面:15KB)
 
b. DPFの各方式に対する評価
 2001年5月に、環境省、経済産業省、および国土交通省による「ディーゼル車対策技術評価検討会」によって、各方式のDPFについて表のような評価がなされています。DPFの方式によっては、低硫黄軽油の使用やメンテナンスの実施などについて注意が必要です。
ディーゼル車対策技術評価検討会によるDPFの評価
方式 交互再生式DPF 連続再生式DPF
(NO2による酸化方式)
連続再生式DPF
(触媒による酸化方式)
間欠再生(バッチ)式DPF
軽油 現行軽油の使用が可能。 低硫黄軽油の使用が必要。 現行軽油の使用が可能。 低硫黄軽油の使用が望ましい。 軽油の制約はない。
走行条件 走行条件の制約はない。 排出ガス中のNOx/PM比の制約から短期規制以前車には適用が困難。 排気温度が一定以上となる走行が一定比率以上の走行条件を満たすことが必要。 この条件を満たさない場合には溶損する恐れがある。 排気温度が一定以上となる走行が一定比率以上の走行条件を満たすことが必要。 この条件を満たさない場合には溶損する恐れがある。 原理的には車種を選ばないが、1回の捕集量に限界があり、一度に長距離を走行する自動車には適用が困難。
問題点 取付けスペースの確保や高性能発電機への交換等の車両構造上の制約がある。 軽油の低硫黄化後に、走行条件を満たす一部の自動車に適用できる。 走行条件を満たす一部の自動車に適用できる。 1回の走行距離の短い一部の車種に適用できるが、使用者が管理を十分に担保できることが条件。
c. タイヤゲージ
 タイヤゲージを使用して、定期的に空気圧を測定する必要があります。特に大型車においては、扁平率が低いタイヤが多くなり、従来のように目視による点検だけでは、空気圧の不足に気付きにくい場合も増えています。
 タイヤゲージには、携帯が容易なものや空気の注入と空気抜きができるもの、また、測定値をデジタル表示するものなど様々で、価格もおよそ3,000円〜26,000円程度と幅があります。
 日常点検時にきちんと空気圧を確認するために、価格の安い棒ゲージをドライバーに配布し、使用しているトラック事業者もいます。
(拡大画面:33KB)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION