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【最新規制適合ディーゼル車:導入目標の設定と取組】
 現状では、燃料供給等のインフラ整備が遅れていたり、車両重量によっては該当する低公害車がないなどにより、トラック運送業界では今後もディーゼル自動車に依存せざるをえない状況にあります。このため、最新規制適合車の早期導入が期待されます。特に、「自動車NOx・PM法」の特定地域の事業者にあっては、代替え対象車を把握し、最新規制適合車を導入することが望まれます。
 
自動車NOx・PM法における車種規制
 車種規制とは、自動車NOx・PM法の対策地域(東京都とその周辺地域、大阪府とその周辺地域、名古屋市とその周辺地域で政令で指定された地域)で、ディーゼル車、ガソリン車、LPG車を問わずトラック、バス等に関して特別の排出基準(窒素酸化物排出基準及び粒子状物質排出基準)を定め、これに適合する窒素酸化物等の排出量がより少ない車を使うことが必要となる規制です。
 この規制は、平成14年10月1日より新車はもとより、現在使用中の自動車に対しても適用されます。
 
排出基準
種別 排出基準
(車両総重量区分)
ディーゼル乗用車 NOx:0.48g/km(昭和53年規制ガソリン車並) PM:0.055g/km(注)
バス・トラック 1.7t以下 NOx:0.48g/km(昭和63年規制ガソリン車並) PM:0.055g/km(注)
1.7t超2.5t以下 NOx:0.63g/km(平成6年規制ガソリン車並) PM:0.06g/km(注)
2.5t超3.5t以下 NOx:5.9g/kWh(平成7年規制ガソリン車並) PM:0.175g/kWh(注)
3.5t超 NOx:5.9g/kWh(平成10年、平成11年規制ディーゼル車並) PM:0.49g/kWh(平成10年、平成11年規制ディーゼル車並)
(注)このPMの値は、新短期規制(平成14年から実施)の2分の1の値です。
 
(注意事項)
○車種によっては、最新規制ディーゼル車でも自動車NOx・PM法の排出基準非適合車があります。
 
○ディーゼル車のハイブリッド車は自動車NOx・PM法の排出基準非適合車があります。
非適合車の型式:HA,HB,HC,HD,HE,HT,HU,HW,HX,HY(3.5 t以下)
 
○トラック・バス等についてはガソリン車、LPG車でも排出基準に適合しない場合があります。
非適合車の型式:H,J,L,M,T,Z
 
自動車NOx・PM法における規制対象車と猶予期間
 使用過程車については、車種及び車齢に応じて排出基準の適用が一定期間猶予されますが、猶予期間を越えると車検に通らなくなります。
 排出基準を満たしていない使用過程車に対する適用猶予期間は、表のとおりです。正確な期日については、車検証に記載される予定です。これらの情報をもとに、現在保有しているディーゼル車の規制区分を把握し、買い替え時期を把握しておくことが必要です。
 
排出基準を満たしていない使用過程車に対する適用猶予期間
種別 ナンバープレートの分類番号 初度登録日からの年数
普通貨物自動車 1、10〜19及び100〜199 9年
小型貨物自動車 4、6、40〜49、60〜69、400〜499及び600〜699 8年
大型バス(乗車定員30人以上) 2、20〜29及び200〜299 12年
マイクロバス(乗車定員11人以上30人未満) 2、20〜29及び200〜299(一部、5、7、50〜59、70〜79、500〜599及び700〜799) 10年
ディーゼル乗用車 3、5、7、30〜39、50〜59、70〜79、300〜399、500〜599及び700〜799 9年
特種自動車 8、80〜89及び800〜899 原則10年
 
 自動車NOx・PM法における使用過程車については、平成14年8月1日以降の車検時に、車検証の備考欄に、排出基準への適否、使用可能最終日に関する情報などが表示されます。
 以下に、排出基準を満たしていない使用過程車の使用可能最終日の一覧を示します。
 
排出基準を満たしていない使用過程車の使用可能最終日の一覧
種別 初度登録日 使用可能最終日
普通トラック    平成元年9月30日以前 平成15年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
平成元年10月1日〜平成5年9月30日 平成16年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
平成5年10月1日〜平成8年9月30日 平成17年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
平成8年10月1日〜平成14年9月30日 初年度登録日から起算して9年間の末日に当たる日以降の検査証の有効期間満了日
小型トラック    平成2年9月30日以前 平成15年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
平成2年10月1日〜平成6年9月30日 平成16年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
平成6年10月1日〜平成9年9月30日 平成17年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
平成9年10月1日〜平成14年9月30日 初年度登録日から起算して8年間の末日に当たる日以降の検査証の有効期間満了日
大型バス(定員30人以上)   昭和61年9月30日以前 平成15年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
昭和61年10月1日〜平成2年9月30日 平成16年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
平成2年10月1日〜平成5年9月30日 平成17年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
平成5年10月1日〜平成14年9月30日 初年度登録日から起算して12年間の末日に当たる日以降の検査証の有効期間満了日
マイクロバス(定員11人以上30人未満) 昭和63年9月30日以前 平成15年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
昭和63年10月1日〜平成4年9月30日 平成16年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
特種自動車(車検期間が1年のもの)  平成4年10月1日〜平成7年9月30日 平成17年9月30日以降の検査証の有効期間満了日 
平成7年10月1日〜平成4年9月30日 初年度登録日から起算して10年間の末日に当たる日以降の検査証の有効期間満了日
特種自動車(車検期間が2年のもの)   昭和63年9月30日以前 平成15年9月30日以降の検査証の有効期間満了日※
昭和63年10月1日〜平成4年9月30日 平成16年9月30日以降の自動車検査証の有効期間満了日
平成4年10月1日〜平成7年9月30日 平成17年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
平成7年10月1日〜平成14年9月30日 初年度登録日から起算して10年間の末日に当たる日以降の検査証の有効期間満了日
ディーゼル乗用車(車検期間が1年のもの)   平成元年9月30日以前 平成15年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
平成元年10月1日〜平成5年9月30日 平成16年9月30日以降の自動車検査証の有効期間満了日
平成5年10月1日〜平成8年9月30日 平成17年9月30日以降の検査証の有効期間満了日
平成8年10月1日〜平成14年9月30日 初年度登録日から起算して9年間の末日に当たる日以降の検査証の有効期間満了日
ディーゼル乗用車(車検期間が2年のもの) 平成7年9月30日以前 平成16年9月30日以降の自動車検査証の有効期間満了日
平成7年10月1日〜平成14年9月30日 初年度登録日から起算して9年間の末日に当たる日以降の検査証の有効期間満了日
※ 平成14年9月30日現在において、検査証の有効期間の残余期間が1年を超える自動車にあっては、「平成15年9月30日」を「平成16年9月30日」と読み替える。
 
 
【地域で定める低公害車等に関する制度への取組】
粒子状物質減少装置(DPF、酸化触媒)
 ディーゼル車から排出される粒子状物質(PM)を減少させる装置として、DPFや酸化触媒があります。
 東京都や埼玉県等では、粒子状物質の排出基準を満たさないディーゼル車が新車登録から7年経過した後、都内を走行するためには、DPFや酸化触媒の装着を条例で義務づけています。
 
○DPF(Diesel Particulate Filter)
 軽油を燃料とする自動車の排気管等に装着して、自動車から排出される粒子状物質を捕集し、粒子状物質の排出を減少させる装置です。
 捕集した粒子状物質の処理方法により、以下の方式に区分されます。
 
(1)捕集した粒子状物質を電熱線等により燃焼してフィルターを再生する方式(強制再生方式)
(2)捕集した粒子状物質を自動車の排出ガスの熱または触媒等の作用で酸化除去して連続的にフィルターを再生する方式(連続再生方式)
(3)自動車が稼働していないときに、フィルターを整備し、捕集した粒子状物質を処理する方式(非再生方式)
 
○酸化触媒
 白金などの触媒による酸化作用により粒子状物質を減少させる装置です。PMの減少率はDPFよりも低くなりますが、一酸化炭素および炭化水素を大幅に減少させるとともに、ディーゼル自動車特有の排気ガス臭を低減させます。
 
「七都県市低公害車指定制度」、「京阪神六府県市LEV−6指定制度」
 七都県市(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市)や京阪神六府県市(京都府、大阪府、兵庫県、京都市、大阪市、神戸市)では、自動車排出ガス対策の観点から、それぞれ「七都県市低公害車指定制度」、「京阪神六府県市LEV−6指定制度」を設けています。
 この制度は、NOx等の排出量が少ない(国の規制レベルを大幅に下回る)自動車を指定し、これを広く普及させることを目的としています。指定のための基準は国の「低排出ガス車認定制度」の認定基準とほぼ同様ですが、七都県市や京阪神六府県市では車両総重量3.5トン超のトラック、バスについても指定基準を設け、対象に含めている点が国の認定制度とは異なります。
 指定自動車に認定されると、地方公共団体が率先して購入するほか、指定自動車の購入者、使用者には、自動車取得税や自動車税の軽減、公的駐車場の料金の割引などのメリットがあります。
 また、指定自動車の購入に際しては、助成制度等の支援制度も設けられています。
 
問い合わせ先:「七都県市低公害車指定制度」
七都県市首脳会議環境問題対策委員会大気保全専門部会事務局(横浜市環境保全局公害対策部交通環境対策課)
TEL:(045)671−2490
「京阪神六府県市LEV−6指定制度」
京阪神六府県市自動車排出ガス対策協議会事務局
(大阪府環境農林水産部交通公害課自動車環境対策G)
TEL:(06)6941−6717(内線3898)







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