■エコドライブについての教育、指導
エコドライブについては、ドライバーの日常的な実施を促すための教育や指導が必要です。
エコドライブに関する従業員への教育・指導としては、研修の実施、情報の提供、従業員の意識を喚起するための各種イベントの実施、表彰制度など、次のような取組が考えられます。
○講習会等への参加
・省エネ運転研修受講計画の策定
・省エネ運転体験講習会への参加
・省エネ運転手法研修会の実施
○従業員への情報提供
・アイドリングによる燃費・経費の節減情報の伝達
・エコドライブ結果の社内報への掲載
・事業所別取組結果の公表
・省エネ資料・エコドライブ資料の配布
・営業所への啓発資料の提示
○従業員の取組への参加
・環境保護ステッカーの作成と車輌への貼付
・店所毎の独自のポスター、標語の作成
・ポスターコンクールの実施
・エコドライブへの取組に関する提案制度の実施
・イベントやキャンペーンの実施
○従業員の取組意欲の向上
・表彰制度(事業所別、個人別表彰制度)
・エコドライブの取組結果を人事考課に算入
■ 従業員教育のための教材
従業員教育のための教材としては、社団法人全日本トラック協会が作成した「エコドライブ推進マニュアル(トラック運送事業者向け)」や「省エネ運転マニュアル(トラックドライバー向け)」、交通エコロジー・モビリティ財団の「エコドライブ推進10項目」が役立ちます。いずれも各団体で作成、配布しています。
「エコドライブ推進マニュアル」と「省エネ運転マニュアル」
エコドライブ推進10項目
交通エコロジー・モビリティ財団では、「エコドライブ推進10項目」として、次の事項を推進しています。
車から排出される二酸化炭素の量を極力少なく抑えるために、
次の10項目を念頭において運転するように心がけてください。
これらは、安全運転にとってもきわめて重要な事柄です。
(1) 無用なアイドリングをやめる。(アイドリング・ストップ)
(2) 経済速度で走る。
(3) 点検・整備をきちんとし、タイヤの空気圧を適正にする。
(4) 無駄な荷物は積まない。
(5) 無駄な空ぶかしをやめる。
(6) 急発進、急加速、急ブレーキをやめ、適切な車間距離をとる。
(7) マニュアル車は早めにシフトアップする。
(8) 渋滞などをまねくことから、違法駐車をしない。
(9) エアコンの使用を控えめにする。
(10) マイカーの利用者は、相乗りに努める。
また、公共交通 機関が利用可能な場合には、できる限り公共交通機関を利用する。
■エコドライブ講習会
エコドライブ講習会は、各都道府県トラック協会、トラックメーカーやディーラー等により開催されている実技による講習会です。省エネルギー運転に効果があるといわれており、事業者が計画的にドライバーを参加させている例があります。
ステップ1:コース内にて実車(4トン・10トン車の積載車)を走行させ、10cc単位までの燃料消費量を計測し、現状の運転方法について把握します。
ステップ2:算出された燃費データをもとにして、ドライバー自身が省燃費運転についての目標を設定し、他のドライバーとの競争意識を持たせます。
ステップ3:ドライバー個々の測定データに基づき、インストラクターが同乗し現状にあった省燃費運転法を指導します。
ステップ4:研修受講者全員に目標を達成させるとともに、研修修了後も省燃費運転を継続・定着させるためのシステムづくりを目指します。
研修修了者にはエコロジードライバー修了証カードを発行し、研修修了後も継続して省エネ運転をすることにより事故防止にも結びついていきます。
出典:財団法人中部トラック総合研修センター資料 より作成
出典:(社)全日本トラック協会発行「環境基本行動計画策定調査報告書」(平成13年2月)
■ドライバー別の燃費管理
ドライバー別の燃費管理の結果をもとに、燃費の悪いドライバーへの注意や実技講習会への参加、燃費の優れたドライバーへの表彰等を行うとよいでしょう。
【アイドリングストップの励行】
アイドリングストップはエコドライブの取組のひとつですが、エコドライブの中でもとくに重要な取組であり、東京都をはじめとして、アイドリングストップの遵守が条例化されています。
アイドリングストップに関する取組状況をデジタコや運転日報への記載等によって把握し、取り組み状況が改善するように、ドライバーの教育、優良ドライバーの表彰等を行うと良いでしょう。
アイドリングストップによる経済効果
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出典:(社)全日本トラック協会発行「環境基本行動計画策定調査報告書」(平成13年2月)
【推進手段等の整備】
エコドライブの実施率を向上するためには、ドライバーの努力とともに、会社として、エコドライブが容易になるような機器等を整備する必要があります。一例として、デジタルタコグラフや、蓄熱マット、エアヒーター、キー抜きロープ、アイドリング・ストップ・システム等があります。
デジタル式運行記録計(タコグラフ)
デジタルタコグラフは、従来のタコグラフ(アナログ式)が円形のチャート紙にアナログで記録していた運行情報(時間、距離、速度の法定3要素)を、メモリーカードにデジタルで記録するものです。
記録された情報は、事務所側機器(読取装置、パソコン、プリンター)で以下に示す項目等について迅速かつ容易に解析できるため、「タイムリーな運転指導による交通事故の防止」「経済走行管理による燃料費の削減」「運転日報や各種帳票の自動出力による業務の大幅合理化」を実現します。
○運行速度(時々刻々の車速、平均速度、最高速度など)
○回転数(時々刻々の回転数、オーバー回転数、オーバー回転時間)
○アイドリング時間
○急発進・急加速・急減速回数 など
出典:(社)全日本トラック協会発行「環境基本行動計画策定調査報告書」(平成13年2月)
○蓄熱マット
寒冷地においてもアイドリングを行わずに仮眠が取ることができる蓄熱式の仮眠用マットです。表面温度は摂氏約43度で、約6時間保温できます(製品例)。
○エアヒーター
車両のエンジンとは別系統で独立して作動させる暖房器具。燃料タンクの軽油などを利用することにより、エンジンを止めた状態でキャビンを暖めることができるため、アイドリングによる燃費の節約や排出ガスや騒音の抑制に効果があります。
○キー抜きロープ
荷物の積み下ろし時などに、確実にエンジンの回転を止めるために、ドライバーとエンジンキーを結ぶロープです。
○アイドリングストップ・システム
アイドリングストップ・システムは、渋滞や信号待ちなどの停車時に、自動的にエンジンを停止し、排出ガスの低減や燃費改善を図り、発進操作時には自動的にエンジンを始動するシステムです。
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