日本財団 図書館


2.3.8 ボランティアC(T市・運転ボランティアの会)
 
(1)団体特性
運行拠点都市人口:9万人
保有車両台数:3台 登録運転者数:18名
 
 障害者の外出支援を目的として、昭和63年からサービスを開始。
 利用対象者は、車いす使用者、視覚障害者、聴覚障害者等(個人、団体問わず)。
 ボランティア登録者は現在18名(うち活動できるのは約半数、職業を持っている人が多く難しい)。平均年齢は59歳であるが、大型免許所持者も10名いる。
 車両は基本的に大型(市所有、20名乗車可)、リフト付バン(社協所有)、軽車両の3台保有。これにプラスαとして重度障害者療護施設(M荘)の車両を使用することもある。日曜日は行事使用などで大型車両が使われることが多い。
 
(2)利用状況
 利用申し込みは社会福祉協議会を通じて行う。
(拡大画面:5KB)
 
 ボランティアベースで運営しており、謝金は無し。大型の運転ボランティアは重労働になるため、昼食代程度は出した方が良いという意見もあるが、ドライバーが断るので無償である。
 燃料は使用者が満タン返し。活動資金、利用実績は下表のとおり。
 
表2−33 活動資金と構成
  割合
社協・身障連からの助成 38%
利用団体等からの謝金 20%
運転ボランティアの会会費 12%
寄附 12%
その他 18%
15万円程度
 
表2−34 利用実績(平成13年度)
  利用回数 利用者数 運転人員
車いす使用者 23 122 29
施設送迎(M荘) 7 18 18
身障連 5 82 5
その他団体 8 185 9
合計 43 407 61
 
<サービス提供の課題>
・依頼が多い時期があり、対応できない。
・運転ボランティアの多くが有職者のため平日のドライバー確保ができない。
・全ての依頼に応えられない。
<T市におけるボランティア輸送と利用者負担の関係(平成14年現在)>
・ボランティア(社会福祉協議会の委託):無償
・NPO:無償
・県身障福祉連合会市支部:半分有償
・タクシー:有償
 
(3)介護保険利用に関する意見
 70〜80%は介護保険を利用している。農山村からの通院が最も多い。介護保険を利用すれば、ボランティア団体(NPO)の採算は取れる。ヘルパーの月給は約10万円。利用者にとって、介護保険のメリットは1割負担で利用できることであり、デメリットは家族が介護、移送しなくなることと考える。ただし、介護保険は、限られた人だけの限られたサービスという制約があり、高齢者・障害者の外出環境の向上という本来の目的に適合していない。今後は、通院の帰りの買物、それ以外の目的での利用等、介護保険の利用範囲外も視野に入れた運行の工夫に取り組みたい。
 
2.3.9 自治体A(中村市・中村まちバス)
 
(1) 事業の概要
 中村市は高知県の西南部に位置しており、人口は約3万5千人(高齢化率:約23%)で、当該地域の中心都市である。
 自動車の普及が進み、バスの交通手段分担率はわずか2〜3%である。
 中村まちバスはGPSを活用してバスの位置を検知し、リアルタイムで運行情報を提供し、利用者は予約センターに電話(FAX)や専用情報端末を用いて予約し、利用できる自由度の高い方式のバスである。スウェーデンのフレックスルートが30分おきに出発地と目的地の方向を決めて運行しているのに対し、まちバスは一人一人の要望にこたえるタクシーに近いサービスを提供している。
 
表2−35 中村まちバスの概要
運行主体 中村市(運行委託:高知西南交通バス会社)
運行開始日 平成12年4月10日〜6月30日(実験運行)
平成12年7月1日から継続運行(本格運行)
運行時間帯 8:30〜11:00、12:00〜14:30、16:00〜18:00 (7hrs)
運賃 大人 200円 小人 100円 (均一料金)
乗車定員と車両等 24人乗りのマイクロバス、GPS、DoPa通信網
LED方向幕(行き先の表示)、車載機による制御
一日利用者数 平成14年度現在:平均26.3人/日(6〜49人)
以前の市内循環バス:平均7人/日(7便運行)
出典:金載、秋山哲男(2002)「フレックス型の中村まちバスの利用特性とサービスの質に関する基礎的研究」土木計画学研究・講演集Vol.26
 
中村まちバス
 
(2)運行ルート
 既存の免許ルート(循環バス路線)にある28ヵ所の既設バス停に加え、新たに市街地の主要道路のほとんどを追加免許区間とし、そこに公共施設などを中心に29ヵ所のバス停を新設した。その結果、「まちバス」は対象地区の全領域に渡ってきめ細かに対応できるようになった。下図はまちバスのルート図である。
 
図2-20 中村まちバスの運行ルート
出典: 地域ITS効果事例集(ver.2.0) 国土交通省道路局ITS推進室 ホームページ







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION