(3)「中村まちバス」の利用手順
定時運行及び運行順路はなく、デマンド方式(呼出応答方式のバス)に応じてコンピューターの計算により最適(最短距離・時間)として導かれた経路に従って運行するシステムを有するが、実際は運転手の勘で運行している。
利用者がまちバスを利用するまでの流れを整理すると以下の順序である。
1. バスの利用者は予約センターに電話やFAXで乗車バス停・利用希望時刻・目的地などを伝える。
2. 予約センターのオペレータはコンピュータにその内容を入力し、コンピュータの計算によるバスの迎え可能時刻を確認して、利用者にバスの到着予定時刻を伝える。実際の運行ルートは運転手のカンによるところも多い。
3. 予約が成立したら、利用者は乗車予定時刻に乗車バス停で待って、バスに乗る。(おおむね中心部10分〜15分、市街地中心部から遠い「トンボ自然公園」でも15分〜45分以内でバスが迎えに来る)
(左)施設内のタッチパネルで予約をすると、(右)運転席でバス停が確認できる
(4) 国、自治体等からの補助金等
産業・社会情報基盤整備事業(通商産業省)運行費補助750千円
「こうち2001プラン」KoCoRo'99(地域ITS)実験事業(高知県)
委託料 12年度 4,035千円 13年度 13,772千円
この他、通商産業省からシステム構築のための初期投資が補助されている。
注)中村市はITS関連5省庁(通産省、警察庁、運輸省、建設省、郵政省)による自動車走行管理最適化システムの実験モデル地区に選ばれ、デマンドバスの実験運行が2000年4月10日から6月30日まで行なわれた。
(5)運営にあたっての留意点(工夫した点、苦労した点)
システム面では、バスの運行経路のショートカット方式の適用による待ち時間の短縮、FAX及びタッチパネルによる予約受付、回答、ITSを活用(コンピューター・アルゴリズム、GPS、携帯電話のパケット通信、インターネット、GPSを活用してのバス位置情報の取得及び提供等に取り組んだ。
施設面では、中村市内にバス停を57箇所設置(既存28、新設29)、病院、ショッピングセンター等と連携し、施設内(ロビー等)をバス待合所に設定しており、待ち時間をバスの位置をモニターで確認しながら施設内で過ごせるようにした。
降車場所は、目的施設そのもの、又はその近くになるので、タクシー感覚で利用でき、かつ移動費用は安くなった。
(6)事業の実績、効果
3ヵ月間の実験運行を行い、利用客が約5倍に増加、好評のため引き続き廃止代替路線として運行を開始し、乗務員も1名から2名に増やし、休憩等による運行不可の時間の設定をなくしたことにより、徐々に利用者が増加し、平均すると実験運行時の倍の利用者数になった。
利用者アンケート(東京都立大学実施)による利用理由をみると、「運賃が安い」と「乗りたい時間に予約して乗れる」が多い。
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図2-21 まちバスを利用している理由(高齢者・非高齢者別)
出典:金載  、秋山哲男(2002)「フレックス型の中村まちバスの利用特性とサービスの質に関する基礎的研究」土木計画学研究・講演集Vol.26
しかし、経費が過大になり、欠損額も大幅に増となることから、平成13年10月1日より乗務員を1名に戻し、時間を限定して経費削減となる運行を実施した。
また、平成12年11月15日から2週間商店街への乗り入れを実施した。
表2−36 一日当りの利用者数(人)
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H12.4〜6 |
H12.7〜13.3 |
最小 |
6.5 |
20.0 |
最大 |
59.0 |
100.5 |
平均 |
29.4 |
45.8 |
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資料:四国運輸局資料 |
1便当り平均乗客数、運送収入・運送費用は次頁の図のとおり
(7)今後の課題
FAX、タッチパネルによる予約システムの活用促進を図っているが、通信費が予想を上回っている。運行エリアを拡大すると予約機能がマヒする問題もある。
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注:運行回数: |
1運行時間帯(例えば8時30分〜11時)に1台の運行を1回とした。 |
平均乗車数: |
1運行時間帯(2〜2時間30分)あたりの平均乗車人員。 |
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図2-23 中村まちバスの運行回数、平均乗車数
資料:四国運輸局資料
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