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視覚障害者ヒアリング【10】
ヒアリング実施日 H14.9.26
属性 年齢  
性別  
1. 障害の状況等について 全盲、一歳半の時、義眼を入れている 一種一級
2. 鉄道の利用状況について 都営新宿線瑞江駅 瑞江〜九段下〜高田馬場 ほぼ毎日
・都営新宿線〜JR小岩〜新宿 ・南行徳〜高田馬場
3. 外出前(外出計画時)の情報入手方法等について ・乗換、位置、発車番線等をパソコンソフトやホームページで確認している。
・駅の構造については、行ったことのある人や近くに住んでいる友人に確認している。(人により表現方法が違うので参考程度)
・駅に直接電話することはほとんど無い。
・駅に電話しても出なかったり、出ても“何でそんな質問するの”といった対応をされる。
・関東と関西を比べると、関西の方が駅員の対応が良い。
4. 鉄道利用時(平常時)の情報入手方法等について  
(1)駅構内(改札口付近) ・各駅の中にある機器の設置場所については、改札を通っている人の音などを聞いている。
・誘導板が敷設されている触知図案内板で、ボタンを押すと音声で案内してくれるものが設置されているところがあり、無人の状態でもチャイムを鳴らして、近づけば機械のある場所が分かるようになっているので、活用している。
・階段手すりの点字は役立っている。
・プリペイドカード系の残金が分かるようにして欲しい。
・自動精算機は経路を入れなくてはいけないので扱いが困難である。
・自動改札で日中に人手を減らしている時間帯に自分の買った切符が精算できず駅から出られないことがあった。
・テンキー付き券売機の音声が適切なボリュームになっておらず、音が大きすぎて恥ずかしい。また、音が小さすぎて聞こえないこともある。
(2)ホーム上 ・ダイヤに関する情報や待ち合わせ、行き先関係の放送は、駅員によってバラつきがあってはいけないと思う。
・乗換に関しても、快速と各駅列車が並行して走っているところでは待ち合わせ情報やどんな電車が来るのかを放送するべき。
(3)車両内 ・中長距離の列車を利用する場合、車両の中でも移動することがあるので、人に聞かないと自分の指定席を探せない。
・近寄ると電波で反応するような小さなブザーを自分の座席に付けておいて、トイレから戻ってきた時など電波が反応して見つけられるような物があると良い。席が近くであれば人に声をかけても見つけてもらえるが、10号車で見せた切符で自分が1号車だった場合に、その人に迷惑をかけてしまうので、ちょっとした目印があればいいと思う。
・中長距離では車両の号車表示を点字で手の届くところに付けて欲しい。
・車内の放送は駅名をはっきり言ってほしい。
5. 鉄道トラブル発生時(異常時)の情報入手方法等について ・どこの駅には何と何の乗り入れがあるかという事は、他の人に聞かれても答えられるぐらいに知識を予め持つようにしている。
・使ったことの無い路線を使って迂回しなければならないときは困る。
6. 総合的な評価について ・新しい機械などを開発する場合は、必ず視覚障害者だけでなく老人や子供などいろいろな立場の人たちのモニターを行ってから企画検討してほしい。
・営業セクションに障害者を雇ってその人が教育人になればいいと思う。安全確保の裏側にいろんな人たちがいるというのを意識してそういう人たちをフォローするにはどうしたらいいのかというのを、もっと生身の人間を使って仕事をさせればいいと思う。
・各社がやっている安全確保のためのマニュアルは健常者を対象にしたものなので、それと同じレベルで老人、子供、障害者用のマニュアルも作成すれば問題がクリア出来ると思うので、やはりスペシャリストが各会社にいるべきだと思う。
・駅構内の案内として比較的前もって準備をしておくと対応してくれるが、たまに過度な対応があり、足が丈夫で普通に歩けるのに車いすで移動されたりした。
 
視覚障害者ヒアリング【11】
ヒアリング実施日 H14.10.11
属性 年齢 68
性別
1. 障害の状況等について 全盲、光覚なし、20歳くらいから
2. 鉄道の利用状況について 西武池袋線中村橋駅 西武池袋線中村橋駅〜池袋駅 週5回 中村橋〜大江戸線練馬駅
3. 外出前(外出計画時)の情報入手方法等について ・知らない駅の場合は、駅に電話して何号車に乗ればよいか確認する。
・知っている人に情報を聞く。
・駅に電話しても話し中の事が多い。
4. 鉄道利用時(平常時)の情報入手方法等について  
(1)駅構内(改札口付近) ・パスネットやイオカードを使うようにして、切符は殆ど買わないことにしている。
・改札がいくつもあるところでは、入れる改札口と入れない改札口の区別がつかないので、周りの人が気にならない程度の小さい音や何かで上手く案内する方法があったら良いと思う。
・池袋駅では改札でキンコーンという音が鳴っているので、遠くにいても分かる。
・有楽町線は出口と入口が完全に分離しているのは良いが、両方ともキンコーンという音なので片方はキンキンなど音を変えた方が良いと思う。
・誘導ブロックは4本線になっているが、トイレに誘導するものは例えば2本線にするなど工夫があれば安心して入れると思う。
(2)ホーム上 ・エスカレーターに点字表示の誘導がないことは問題である。
・交通バリアフリー法により、階段がエスカレーターに変わった箇所があり、階段まで迂回する必要が出た箇所がある。かえってバリアになっている。
・案内放送は近所に迷惑にならない程度の音声で明確にして欲しい。
・電車の通過時に放送が聞こえないことがあるので必ず2回連続で同じものを流してほしい。
・編成が決まっているところでは、柱や階段に何両目ということを何らかの方法で表示すべきである。編成の分からない駅でも、どの辺から何メートルというような表示など配慮が必要だと思う。
・電車の中に車両番号とドア番号を表示していても、駅のホーム側にも表示がなければあまり意味がないと思う。
・上りの電車が女性の声で、下りの声が男性の声というのは非常に良いと思う。
・「何番線から電車が出ます」という放送だけでは、行き先や急行・各駅の違いがわからないので、怖くて乗れない。
・階段の上に注意喚起のブロックが一列に付いているが、誘導用ブロックが交わるところに、さらに左右にもう一枚ずつブロックが余計に付いている。サインというのは単純なのがいいので、かえって方向が分からなくなってしまう場合がある。
・ホームゲイトがあると安心して歩けるので、付けられる限りどこにでも付けて欲しい。
(3)車両内 ・車両番号とドア番号の点字表示は便利である。
・車掌の肉声による放送は不明瞭である。放送器が悪いせいもあるし、話し方も事務的で、分からせようという意識が感じられない。機械放送の方が明瞭でわかりやすいし、英語も付いるので良いと思う。
・ドア番号の点字表示について、営団地下鉄では、座席の横の握り棒についているが、多くの人が掴まるところなので触ることができない。内容も横書きのものを縦に貼ってあるのでわかりにくい。また、ドア番号が左右で奇数、偶数になっているため、例えば向かい合わせのドアの番号が1−1と1−2となり、奇数・偶数に分かれていることを知らない人にとっては分かりにくい。
・ドアの合わせ目の左側の下から160cmぐらいの所に、5−3(5号車の3番目のドア)という点字表示を付けている車両が、もう少し低い位置(140cmぐらい)にした方が、背の高い人でも背の低い人でも子供でも読めるようになって良いと思う。また、ドア番号が向かい合ったドアで同じ番号になっているため、自分が車両内のどの位置にいるか把握しやすい。
・どの席が空いているか分からないので、目の前に白い杖を持った人に立たれるとそわそわしてしまう人もいるのではないかと思い、席が空いていてもドアの横に立つようにしている。
5. 鉄道トラブル発生時(異常時)の情報入手方法等について ・混んでいるときは人に押されて自分が何番線にいるのかどこを向いているのかさえ分からなくなることがある。
・人身事故のため別の路線に迂回した際に、放送があったため何とか目的地にたどり着くことができたが、耳の聞こえない人にとっては非常に大変だと思う。
・新型車両の中には、次の駅の状態や階段の位置、前の電車がどこにいるかなど実に様々な情報が表示される装置があるようだが、放送でも同じような情報が提供されると良いと思う。携帯電話で同じ情報を音声で聞けるようなものがあると良いと思う。
6. 総合的な評価について ・乗員の対応について、差がある。
 
視覚障害者ヒアリング【12】
ヒアリング実施日 H14.10.11
属性 年齢 32
性別
1. 障害の状況等について 全盲(先天性) 左目は2歳から、右目は7歳から
2. 鉄道の利用状況について 大江戸線練馬駅 行)練馬駅〜東中野駅〜(総武線)〜中野駅〜国立駅 帰)国立駅〜新宿駅〜(山手線)〜池袋〜(西武池袋線)〜桜台〜高円寺 ほぼ毎日 たまに実家のある西武新宿線東大和駅まで行く
3. 外出前(外出計画時)の情報入手方法等について ・出かける時はあまり調べるほうではないので、行き当たりばったりのことが多い。
・電話で聞いたりすることもある。
・どういうルートで行ったらいいか全く分からない時はインターネットで確認することもある。
・本数がなさそうな電車に乗るときは何時台は何分発がありますか?ということを電話をかけて聞いている。
4. 鉄道利用時(平常時)の情報入手方法等について  
(1)駅構内(改札口付近) ・知らない駅で改札の位置を探すときには券売機の音で探します。
・カードがなくなりそうになったときは駅員さんにいくら残っているか調べてもらっている。
・改札に入るときに困るのは、出る方と入る方が分かれている所で自分が流れに逆らってしまった場合、動けなくなってしまうということがある。漠然と改札口の位置は分かるがどちらに入ればいいかというのは分かりにくいので、音などでわかるようにして欲しい。
・切符を買うときは点字の表示でいくらかを探すのは大変である。
・人がたくさん並んでいるので券売機があることは分かるが、なかなかそこに行けなかったりする。
・ボタンで切符を買うときの音が大きすぎるので自分がいくらの切符を買っていますというのが分かってしまって恥ずかしい気がする。
・情報が必要な時は、その場にいって駅員さんに聞いたりすることもある。
(2)ホーム上 ・停車位置で「整列乗車してください」という時に、どの電車のどの位置に並べばいいのか、急行や各駅などがあるので分からない。
・乗り換えの時間が非常に短いことがあり、乗りたい電車に乗れないことがある。お年寄りや足の不自由な方でも連絡待ちの時間をある程度とらないと危険だと思う。
・あまり本数のない駅では、どれに乗れば早く着くのかという途中での乗り継ぎの説明を詳しく放送してもらえると助かると思う。
・最近、階段手すりの所に点字表示があるのはとても助かっている。
・ラッシュ時に電車がどのくらい混んでいるかわからなくて、電車に乗り降りするときに転んでしまったりすることがあるので、駅員が誘導してくれると助かる。
(3)車両内 ・車掌による車内放送は何を言っているのか分からなくて隣の人に聞いたりすることがあるので、機械放送の方が良い。
・乗り換え等でしばらく止まっている電車が発車する場合に、ホームでも車両内でも行き先を言ってくれない場合があるので、定期的に両方で流してもらえると良いと思う。
5. 鉄道トラブル発生時(異常時)の情報入手方法等について ・音の情報だけが頼りである。振替輸送がどうなっているか、何番線から何行きの電車が出るのか等案内してくれるので、それを頼りに何とか動きがとれる。
・ラッシュ時にトラブルが発生した場合は、人混みで大変なので、駅員さんを多く配置して、声をかけたり、誘導して欲しい。
6. 総合的な評価について ・あまり使ったことのない機械の使い方を駅員に確認したい時などに、有人改札に行っても駅員がいないことがある。設備の機械化・自動化に伴い、駅員の数が減っており、サービスが低下していると感じる。有人改札には常に駅員がいる状況にして欲しい。
・視覚障害者にとって、人による対応は絶対必要である。







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