(2)ヤドカリのくらし
ヤドカリとイソギンチャクはなかよし
ヤドカリは、貝殼(かいがら)をせおっていても大きな魚やタコなどにかみくだかれ、食べられてしまうことがあります。そのような敵(てき)から身(み)を守る(まもる)ため、毒(どく)をもったイソギンチャクをはさみや貝殻につけるヤドカリがいます。別々(べつべつ)の生きものどうしが互い(たがい)を必要(ひつよう)としながらくらしていることを「共生(きょうせい)」とよびます。はさみにイソギンチャクをつけて共生している種類(しゅるい)には、トゲツノヤドカリがいます。貝殻にイソギンチャクをつけて共生しているヤドカリとして、イボアシヤドカリやケスジヤドカリなどが知られています。貝殻にイソギンチャクをつけるヤドカリの仲間は、引っ越し(ひっこし)するとき、いままでせおっていた貝殻についたイソギンチャクをじょうすにはがし、新しい貝殻につけかえます。
トゲツノヤドカリ Diogenes edwardsii とヤドカリコテイソギンチャク
Pycnanthus paguri (矢印)
|
イボアシヤドカリ Dardanus impressus ベニヒモイソギンチャク
Calliactis polypus (矢印)
|
ケスジヤドカリ Dardanus arrosor とヤドカリイソギンチャク Calliactis
japonica (矢印)
|
ホンヤドカリ科(か)のヤドカリの中には、貝殻(かいがら)をせおわない種類もいます。カンザシヤドカリの仲間(なかま)がそれです。この仲間は貝殻のかわりに、ゴカイのなかまがつくった、岩にはりついているかたい管(くだ)(棲管(せいかん))に入ります。ふだん、管の先端(せんたん)から顔やはさみを出してくらしています。他のヤドカリのようにいろいろなところを歩きまわることが少ないため、このなかまは小さな羽(はね)のような毛がたくさんついた触角(しょっかく)をふりまわし、流れてくる小さな餌(えさ)を集めて(あつめて)食べます。
ニシキカンザシヤドカリ Paguritta gracillipes (写真提供/鷲見美穂)
|