カッコ制作
平成10年に、泊の船大工、舘喜代松氏が制作したカッコです。(当館依頼による)
制作工程は、目代氏が写真に記録しました。
今回制作されたムダマ(船底部材)は、接ぎ合わせのないものです。普通は材が足りない為、左右2枚を接ぎ合わせたり(チョウアワセ)、両端に材を付け足したり(ツケギ)します。
1枚のムダマは大変貴重です。
主要目
全長560.0cm、全幅82.0cm、高さ41.0cm
材料
■ムダマ・・・ブナ材
■カイグ(タナイタ)、ミヨシ、トダテ、トコ、化粧板、イタゴ、タカマ・・・スギ材
■シパント(アバラ)・・・ヒバ材(根まがりの材)
■クルマガイ・・・ヒバ材
材料の準備
カッコの標準的な大きさは、ムダマの長さで15尺で、船によって2〜3寸の大小があります。
他の地域で使われる船より、比較的船幅が狭いので1本の原木を中央で割り、2枚のムダマをとる方法が一般的です。このときムダマの幅が少し足りないと、両端に付け木(ツケモノ)をします。
今回のムダマは、接ぎ合わせがなく1枚です。
チョウナダテ(儀式)
現在、ムダマの原木は船大工が用意しますが、昔は漁師自身が山取りし、船大工の仕事は、アラドリしたムダマを仕上げることから始まりました。
その名残で、ムダマの整形前にこの儀式が行われます。船大工自身が供え物をして行います。
ムダマの整形
チョウナとモッタで内側を掘ります。
曲面を掘りやすくするため、道具の柄は湾曲しています。
ムダマの底部分を整えます。
まず余分なところを、マサカリで荒く削り落とします。
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