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撮影:昭和52年
 
 丸木舟でアワビ漁を行なっています。アワビ漁は11月から2月まで行なわれます。
 口で箱メガネ(ガラス)をくわえ、片手でクルマガイを持って船を動かし、アワビを見つけると、三本ヤスで突き刺してとります。
 50年代になっても、主に丸木船が用いられていました。船体が小さいので、量のかさばるコンブやワカメ漁には向かないものの、使い勝手が良いため、アワビやウニ漁に、現在でも何隻か使われています。
 三本ヤスでとったアワビは傷がつきますが、昔は貝から身をはずして、塩を入れて煮て干したものを、中国などに干しアワビとして出荷していたため問題はありませんでした。しかし現在では生きたまま出荷する方が値が良いため、カギでひっかける方法、または素もぐりでとる方法に変わってきています。
 後ろにはイカ釣り漁船が陸揚げされています。
 
 
撮影:昭和51年
 
 
撮影:昭和51年
 
 
 ワカメ漁は5〜6月に行なわれます。コンブと違って根がしっかり張っているので、まず長い柄のついたカマで根カブを刈り、浮いてきたところをそのままひっかけてとったり、ネジリという漁具でからめとったりしました。また、ネジリの先端にカマがついたネジリガマという漁具も使われました。現在は、船でとるよりも、浜に流れ着いたものをひろったり、浅いところで刈り取ったりする方が多いといいます。
 昭和50年頃までは、わらで作ったカマスを敷いて座りました。
 丸木船は水漏れを防ぐ為にコールタールを塗っているので、とったえものに匂いがつくのをさけるため、この上にのせたり、日が当たって傷むのを防ぐため、ぬらしてかけたりしました。ムシロは大変使い勝手がいいものでした。しかし現在はなかなか手に入らないといいます。
 
 
撮影:昭和51年
 
 
撮影:平成7年
 
 
撮影:平成7年
 
 
 磯浜(波打ち際)で海藻をとります。5〜6月にはワカメを刈り取ったり、流れ着いたものを拾います。また、6〜11月には、自然に離れて流れ着いたコンブ拾いも行われます。
 ワカメやコンブは、船でもとりますが、この方法は、体力的な負担も少なく、女性向きです。
 ワカメは腰にぶら下げたヤツガリという網に入れました。
 船でとる場合は、ネジリ、グリンカイなどの漁具が使われます。これは鉄製で、巻いたような形をしていて、ワカメ、コンブが繁茂している場所へ降ろして、ひねって絡み付けてとりますが、大変体力の要る仕事です。最近はウニ漁、アワビ漁でも、磯浜でとったり、ウエットスーツの普及で、素もぐりでの漁が増えています。







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