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(4)補助用具と介助法
(1)松葉杖
腋窩(えきか)あて、握り手、支柱、杖先、杖先ゴムより構成されます。日本では木製の松葉杖が多く、軽い金属製の松葉杖もあります。
(a)使用法
常に腋窩より指が2〜3本入る程度の隙間を空け、指下の胸部の横側で持つようにして、上肢の伸ばす力で支持します。腋窩あてにぶら下がり、腋窩で体重を支えないようにします。神経麻痺を起こすことがあります。
(b)松葉杖を用いた歩行
小振り歩行、大振り歩行、4点歩行、2点歩行、3点歩行があります。桟橋や船上では、松葉杖は滑りやすく不安定なので、十分な注意が必要です。
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小振り歩行
両松葉杖を同時に出す。次に両足を同時に松葉杖の手前へ小さく振り出す歩き方。この歩行は、速度は遅いが安定性があります。 |
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大振り歩行
両松葉杖を同時に出し、その後に両足を同時に松葉杖を越えて大きく振り出す歩き方。小振り歩行が完成した方に用いる使用法です。 |
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4点歩行 左松葉杖を出した後に反対の右足を出し、次に右松葉杖を出し反対の左足を出す歩き方。安定性が良く自然の歩き方に近いといえます。歩行速度はやや遅いが、安定性があります。 |
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2点歩行
一側の松葉杖と反対側の足を同時に出し、次にその反対側の松葉杖と足を出す歩き方。歩く速度は4点歩行より速いが、安定性は4点歩行より劣ります。 |
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3点歩行
障害のある側の足と両松葉杖を同時に出し、次に障害のない側の足を出す歩き方。速度も速く安定性もよい歩行ができます。 小振り歩行〜2点歩行は、脊髄損傷などによる下半身麻痺に利用します。3点歩行は、脳血管障害などによる片側の下肢麻痺などの障害を持つ人が利用できます。 |
(c)応用
○上りや下りでの歩行
上り斜面では、左右の松葉杖の間隔を大きくして、松葉杖より先に足を出さないようにします。反対に下り斜面では、左右の松葉杖間距離を小さく狭め、松葉杖より先に足を出さないようにします。
○台への昇降
上り、下りとも松葉杖が足より先で、上りでは、最初に松葉杖を台に乗せて一つづつ足を乗せます。下りでは、まず松葉杖を台から下ろしその後に足を下ろします。
○階段
台とは反対に足を先に乗せ、上りでは足を先に乗せ、次に松葉杖を段に乗せます。反対に下りでは松葉杖を先に下ろし、次に足を下ろします。
(2)車いす
(a)手動車いす
背もたれ(バックレスト)、足置き(フットプレート)付きのいす、大きな後輪(駆動輪)2つ及び小さな前輪(キャスター)2つより構成されます。前輪は、進む方向に合わせて自由に向きが変わり、移動するときは、後輪の外側にある輪(ハンドリム)を握って、後ろから前に左右一緒に回せば直進します。標準型の車いすで重量はおよそ15kgですが、最近では軽量化が進みスポーツタイプではおよそ10kgです。
・手動車いすの各部の名称
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・手動車いすのたたみ方、ひろげ方
両側のブレーキをかけ、フットレストを持ち上げます。
シートの中央を持上げます(上に引き上げればいすは閉じます)。
完全に折りたたみます。
両側のブレーキをかけ、アームレストを持って少し外側に開きます。
手のひらでシートの両端を押し広げます(上から押していけば開きます)。 このとき指を挟まれないように注意!
人が座ってからフットレストを下ろします。座る前に足を乗せるといすが跳ね上がり危険です。
(b)電動車いす
モーターで駆動する車いすを「電動車いす」と言います。モーターはバッテリーで動くため、充電しておく必要があります。重量はおよそ40kg〜60kgで、日本では最高時速6キロまでに制限されています。一箱の車いすを使用することが困難な、下肢だけでなく上肢にも障害のあるような脳性まひや頚髄損傷など、重度の障害を持った人が使用することが多いです。ジョイスティックというレバーを行きたい方向に倒し、前進や後進、右や左へ自由に移動できます。軽い操作で動くようになっているので、誤動作に注意します。かなり重量があり、1人で自動車に積み込むのは困難でしたが、最近では軽量の折りたたみ式電動車いすも開発されています。
・電動車いすの各部の名称
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(c)義手
切断によって失われた部位の機能を代償するため、あるいは美容上の理由で使用されます。
義手を動かすために、体の一部を利用したり(例えば上腕切断では肩や肩甲骨を動かすことにより、そこから出ているケーブルが押されたり引っ張られたりして義手部の肘や手が動く)、小型モーターや炭酸ガス、筋電の力を用いることもあります。最近ではコンピューターの技術を利用して義手部に感覚が分かるためのセンサーを付けるなどの開発も進んでいます。
義手と体の固定は、肩の場合はバンドを使用し、上腕や前腕などではソケットを多く使用します。
以前は外形をあまり考慮せずに作業効率を重視した作業義手が使用されたりしていましたが(例えば義手の先端が、農作業用に「鎌」になっていた)、近年は機能とともに、形や色などの外観も重視されるようになりました。
(d)義足
義足は、足を失ったときにその代役をするものです。
義足には大きく分けて、従来からの足の形をかたどった形の「殻(から)構造」と、ステンレスやチタンなどのパイプを使った「骨格構造」と言われる2つのタイプに分けられます。
義足を足に取り付けるときは、ソケットというカップ状のものに断端を入れるようにします。ソケットと断端との適合(フィッティング)が大切です。最近はシリコンゴムなどを使うものもあり、これでしっかりと義足が固定され、簡単には外れなくなっています。
ショックアブソーバーやトルクアブソーバーのついた義足も開発されています。
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