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漢詩初学者講座
吟詠家に漢詩のすすめ(57)
四国漢詩連盟会長
愛媛県吟剣詩舞道総連盟会長
伊藤竹外
一、全国漢詩大会に期待する
 去る十月二十六日、鳥取県東郷市燕趙園において開催された国民文化祭全国漢詩大会は前日、東郷湖周辺の吟行及び同夜、全国よりの参加者による懇親会を経て翌日の本大会には受賞者入賞式、石川忠久先生の講演以下、入賞作品の吟詠(尺八、琴の伴奏の下)書道吟などが行われて興趣を盛り上げました。
 前年度の群馬大会、第一回の香川大会に比しては応募作が多少減ったものの全国から一、〇四三篇が寄せられ二百名以上の参加者を以って極めて盛会裡に終了しました事は更に平成十六年度の国民文化祭福岡漢詩大会に期待するところが大きいものと思います。
 吟詠界では年々、全国各地で何回も全国大会を開催して今日の隆盛をもたらしていますが、漢詩界も全国的な組織作りと協力態勢を以って更なる発展を望んでやみません。
 
二、石川忠久先生講演要旨
 当日、「詩の眼、詩の心」と題しての講演要旨を左に抜萃しておきますから参考にして下さい。
(一) 漢詩の法則を守ること、
(押韻、二四不同、二六對、四字目孤平などを無視しないこと)
(二) 和習は通らない。
(辞書に国訓とあるものは通らない)
(三) 作詩には着眼点が必要。
(同工異曲でなく意表をつく表現が大切)
(四) 主題に対する臨場感、迫真的表現を試みること。
(五) 故事を応用すること。
(六) 中国の古典の換骨奪胎を試みる。
(七) 日本の漢詩も決して捨てたものではない。
(八) 若い人達の勉強を期待する。
(九) 漢詩の良さを一般に認識させることが大切である。他、
 
三、「課題」癸未新年書感について
 凡そ漢詩家たるもの、毎年迎える新年の感懐を賦し、その多くは賀状などに誌して発表するところですが、前回の募集要項で「單なる新年作、口占、偶成でなく新しい年に対する感懐を表現のこと」と註記しておきましたが、これが実はなかなかむつかしいものと解りました。それは投稿詩が従来の常識的旧態依然たるもの、又内憂外患の世相を詠んでも理屈の多い作が多く詩的表現の悪いものが大半でした。
 
四、初心忘るべからず
 
(イ)平仄を間違えないこと
 両韻の字は意味によって異なりますから特に辞書を檢して投稿して下さい(上は作者、下が正)
 
(ロ)嘘字を書かないこと
 
(ハ)返り点を間違えないこと
 
(ニ)起承句と転結句は二句一章のこと
 
 服部承風先生は転句下三字は結句の七字に結びつくもので十字の脈絡が必要だと言っています。
 
五、添削実例
 
 
 
課題「癸未新年書感」
《秀作》
 
 
 
 
 
 
 
 
七月号作詩豫習(七)回答
 
作詩豫習(九)
(左の二字、二字、三字を元の絶句に復元せよ)
(締切り一月末、三月号発表)
 
平成十五年三月(四月号発表)
(註、桜、梅、牡丹その他花なれば何でも詠みこんで下さい)
●投稿用紙 官製葉書 (平仄、返り点、送り假名を付す。間違い多ければ。)
●投稿先 〒791-0804 松山市中一万町四−三〇 伊藤竹外
●締め切り 平成十五年二月二十五日厳守
(註)漢詩入門の手引き必要な方は右へ。







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