日本財団 図書館


今月の詩(3) 平成十五年度全国吟詠コンクール指定吟題から
【幼年・少年・青年の部】(絶句編)(3)
舟中子規を聞く 城野静軒
 
 
《大意》春も過ぎようとするころおい、京都から大阪に向かう、淀川を下る舟中から見わたすと、かなたの山は天王山か。山すそに眠る八幡・山崎を通過中かと思う折しも、血を吐くようなほととぎすの声、川面には夜目にもしるく落花が静かに流れてゆく。「一声は月に啼いたか」と思われ、一声は水中から発したようである。ほととぎすの声は実に聞く者を悲しませるが、まして故郷を離れて、夜半の舟中での感慨はひとしお痛切なものがある。
 
【一般一部・二部・三部】(絶句編)(3)
中庸 元田東野
 
 
《大意》勇気をたのみ、腕力をほこるものは、結局は粗暴と無分別によって身を滅ぼしてしまうものであり、ただ文明にあこがれる才子は、文明に心酔するあまり、わが国固有の美点長所を忘れて無節操軽薄な人物となりかねない。そこで、君にぜひ勧めたいことは、常に不偏中正の道をえらび、これに則した考えを持ち、行動をとることである。「中庸」にあるごとく、天下のあらゆることが起こる微妙な点は、すべてただ一つの誠によるのであるから、それを失わないようにしなければならない。
(解説など詳細は財団発行「吟剣詩舞道漢詩集」をご覧ください)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION