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それから航空の分野ですけれども、航空の分野でもいろんな空港、あるいは後方支援施設、いろんなプロジェクトに対してODA、技協、無償が出ております。一番新しいところで行きますと、いわゆる衛星を使った次世代の航空保安システムということで、これを日本政府が借款で援助しましょうということが動こうとしておりますし、ここに書いているのは毛色がちょっと違う話を書いているんですが、ご存じの方もいるかもしれませんが、日系企業による国際貨物航空。何のことかよくわからないというかもしれませんけれども、日比間でもどこでもいいんですが、貨物航空を考えたときにどうしてもアメリカの強さがひしひしと感じられてしまうというか、強いんです。日米間でもってきても、例えばフェリーで運ぶにしてもこのまま成田を通過してフィリピンに来てしまう。そういう動き方もできるわけで、日本はなかなか弱い。日比間をほとんどアメリカに牛耳られているというのが実情です。じゃあ、日本としてどうするかというのは、フィリピンは航空路線上も、海運でも同じことなんですが、路線上非常に好ロケーション位置にありまして、このロケーションを使った物流を考えない手はないでしょうと。
いわゆる海運なんていうのはインターナショナルプレーヤーなわけですから、もう飛行機だって今後当然そういうふうになるわけでして、オーナーがだれであれ、どことかそういうのは関係なく、例えばこういうロケーションを有した物流というのは当然考えられてしかるべきということでいこうとしたんですが、エストラーダ政権から、その前のラモス政権では何とか認められたんですけれども、エストラーダ政権の強硬な抵抗にあいまして、完全にストップしました。与えられた免許も取り上げられてしまいました。
これは何かといいますと、いわゆるPAL(フィリピン・エアライン)の経営問題がありまして、これが大きな問題だったわけなんです。PALをつぶすことは、1回つぶれたんですが、つぶすことは簡単なんですが、やはりPALのイメージというものがありまして、アジアで一番古い航空会社ですけれども、エストラーダ政権としては労働問題等もありつぶせない。ということで、ここに&クローニーとあります。クローニーは取り巻きということですけれども、ここにルシオタンさんという人が出てくるわけなんですが、超お金持ちで自分が幾らお金を持っているのかわからないような方ですけれども、この方がPALのオーナーに、なってくれと言われてなったんです。なってくれと言われたときに、もう航空分野はお前に全部任せるからというようなことを多分言ったんだと思うんですが、結局PALの不利益になることは一切このときから認められなくなりました。
PALの不利益というのがどういうことかといいますと、例えば日比間の路線の数、成田のスロット数であるとか、あるいは乗客の問題であるとか、PALが運ぶであろうベリーの貨物の話であるとか、そういうものは全部マイナスに作用しますので、まかりなりませんということで一蹴されて、なかなかこれができなかったわけです。現在何とかうまくいきそうではありますが、逆に今度は日本に入ってこれるかという問題もありますし、ウエットリースとかプライリースとか言いますけれども、日本当局がそんなの航空会社じゃないよというかもしれませんし、ただ、日本としてはこういうのをもうちょっと考えていかなきゃいけないんじゃないかなという感じがいたします。
それから、航行援助施設整備プロジェクトということでフィリピン全土いろいろナビゲーション関係を整備してきたわけなんですけれども、フェイズ1、2、3ということで、何でここに挙げさせていただいたかといいますと、これは円借款、通常円借なんです。ただし、1、2、3ともみんな日本が取ったんです。そういう意味では非常に歓迎すべきことなんです。
といいますのは、日本国内はご存じのように、例えばメーカーさんですと、東芝さんとNECさんしかいないということで、そういうかなりクローズドな世界なんですけれども、海外にいても取ることができる。ちょっと安く入れすぎましたなんていう話もありますけれども、トーメンさんによりますと、もうかっているかもうかっていないかは別にして取ることができたと。こういうことが重要じゃないかなと思います。やはり国際価格に比べると日本国内の価格はかなり隔たりがあるところもありますので、そういう意味で今後もっと改善していかなきゃいけないと。
ここの使用料というのはまた別の問題ですけれども、例えば上空通過というのがあります。日本から東南アジアに行くときにほとんどこの上を通っていくわけです。最近は上空通過というお金を取るようになりましたので、フィリピンにとってはもう願ったりかなったりなんです。ところが逆に、今まで払ってなかったお金を取られる、着陸料も航行援助施設料も取られる、ナビゲーションのフィーも取られてしまうとなると、今までここで暮らしてきた、例えばJALさんであるとかそういうところのビジネスモデルが狂ってしまうんです。とにかく急激な値上げはやめてくださいということで文句を言って、最終的にはそれなりのところに落ち着いたんですけれども、そんなようなこともございました。
それから一番新しいところではマニラ空港のアプローチレーダーというものがあります。ご存じのように空港に引っ張ってくるためにはこれがなきゃどうしようもないわけなんですけれども、これが老朽化していつ壊れるかわからない。ずっと前からそういうふうに言われていまして、何度か止まったこともあります。パーツがあるかといえばパーツがないということで、じゃあ日本から、時のJICA専門家が一生懸命頑張りまして、日本を駆けずり回って集めたやつも持っていったし、あるいはタイまで行ってもらってきたのもある状況で、非常に困ったわけです。ただ、困ったといっても、マニラはフィリピンで一番重要なゲートウエイですけれども、このゲートウエイで一番必須のこういうものですら政府がお金を出そうとしないというのはちょっと信じられなかったんです。逆に日本側の足元を見ているといったほうが結果的には正しいのかもしれません。そういう状況がありまして、最終的にはリハビリテーションで行くことになったということであります。
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それから港湾・海運ですけれども、いろんなオペレーターがあります。日本には港湾オペレーションということで、メガオペレーターなんていいますけれども、オペレーターはなかなか存在しないということですが、フィリピンにはそれなりのオペレーターはあります。インターナショナルに活躍されています。ワンストップサービスもやっています。それから内航海運もありますが、大手・中小含めていろいろやっております。昨今では中古船というのがありますけれども、日本からもっとシステマティックに持っていかなければいけないんじゃないかというのが非常に大きなテーマになっておりまして、今一生懸命頑張っているところであります。
それからROROのサービスをもっと充実させましょうということです。一昨年ですけれども、アンタイカーナッピングローというのがありまして、車の盗難を防止するためにROROに乗る前にちょっと検査が入るんです。そういうものがなくなったということで、そういう意味ではこれからROROサービスがもっと充実していくと思います。
安全性ということで、これは今JICAの専門家が入って一生懸命船舶の安全性をやっていますけれども、これも今後とも続けていかなければいけないということだと思います。
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それから、コーストガードですけれども、昨今非常に海賊事件というのが大きな問題になっておりまして、アロンドラ・レインボウ号事件というのがございました。これも新聞でもいろいろ出ていますのでご存じだと思いますけれども、7,000トンのアルミナのインゴットを積んでいたんですけれども、その半分がフィリピンのスービックで荷揚げされていたわけなんです。しかも、会社は変な会社、登録はアルミナのインゴットではなくて、アルミナのバーということで、だれが見てもインゴットだということなんですけれども、どうも船で入ってくるときには警察が護衛していたようだという話もありますし、よくわからない。いつの間にか入ってきて、いつの間にか消えちゃって、雲散霧消しちゃったわけなんですけれども、あるところで200トン相当のインゴットを押さえたわけなんですが、まさにロット番号も一緒、インドネシアから持ってこられたやつなんですけれども、形状も一緒、リメイン状もまるっきり一緒で、かつマークも一緒ということで、だれが見ても出所の確かなインゴットなわけなんですけれども、それは複製できるでしょうという司法当局の判断で、その方は無罪放免になったわけなんです。
結局海賊問題というのは海だけの問題じゃなくて、そういう陸の上での問題、それから法律面も含めたすべての問題が関係してきますので、なかなかこれも解決するのは至難の業だということです。そうはいっても、コーストガードは島嶼国にとっては非常に重要ですので、人材を育成していかなきゃいけない。これはプロ技が今度始まると思います。
それから船舶を配備していかなきゃいけないということで、特借も動くんじゃないかなと思います。
それから我が国といろいろやっていくということで、コーストガードに関しても鋭意進めていくということであります。
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それから船員。もうご存じだと思いますけれども、この辺は重要ですので、今後ともどんどんやっていかないといけないということで、フィリピンなくして本邦関係外航船は動きませんので、そういう意味でフィリピンの人材を今後どういうふうにしていくのか。あまりにもフィリピンに集中し過ぎるのはよくないんじゃないか。もうちょっとベトナムとかミャンマー、インドネシア、中国に分割したらどうだというふうに、現地のマンニング会社の人にも聞いてみたんですけれども、そうはいってもやはりフィリピンだということで、結局皆さんフィリピンを動こうとしないんです。少なくとも現地の話で、東京本社がどういうふうに思っているかは知りませんけれども、ということで、今後もこの状況はどんどん続くでしょうということだと思います。
そういう意味で、船員を今後ちゃんと国際的な条約、あるいは技術に乗っ取った形でフィリピン側がちゃんと教育できていけるのか、あるいは船員免状は本物かどうか、簡単なところもありますけれども、そういったものをほんとうにやっていかなきゃいけないんですが、フィリピンはどうも足並みがそろってないというのが現状だと思います。それで、プロ技実施?としましたけれども、当時プロ技実施しましょうということで動いてたんですが、政権が変わりまして頓挫いたしまして、これを今後どういうふうにしなきゃいけないか。こういうことを考えると日本としても積極的に関与していかなきゃいけないんじゃないかという感じがいたしました。
道路交通ですけれども、マニラ首都圏は排気ガスがすごいんですが、トリップ数のデータというのは極端な話あまりないんですが、唯一ミューティスというところで取ったデータがありますけれども、もう9割以上が道路交通ということで鉄道に至っては数%しかない、1%とかそんなものだと思います。
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一方で中古車両がどんどん入ってくる。バスも中古車両、トラック。乗用車は比較的きれいな乗用車が多いんですけれども、そういうものがどんどん排気ガスを出して、排気汚染の元凶の1つになっております。そこでもっと取締りというか車検をやりましょうということで、実は車検に関しては20年程前に無償で4つ整備いたしました。ただし、整備したといってもマニラ首都圏の近くだけですので、全国は当然カバーできませんし、今後これをどういうふうにしていくのか、フィリピンの人に聞きましたら、やはりこれはもうUTでやりましょう。民間が主体的に動くべきだというふうに、ここの方向で動くらしいんですけれども、今後どうなるかはこの辺もよくわかりませんし、車検をやるには車検のシステムだけではなくて、法律面もちゃんとカバーしていかなきゃいけませんので、この辺もちゃんとやっていただかないといけない。これはフィリピン政府にお願いしたいと思います。
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このような形で中古バス、もうちょっとほんとうはいい写真があると思うんですが、中古バスがこのように走っています。これなんかは多分横浜の市営バスだったと思うんです。これはトライシクルということで、いわゆるオートバイにこのようなものがっいている。もう1個ペディキャプというのがありまして、自転車にこれがくっついているのもありますけれども、皆さんどうも歩くのが嫌いで、ちょっと行くにしてもこんな乗り物に乗ってしまうということです。
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