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11. 沿岸警備隊は、沿岸警備隊の海上安全情報システムの後続システムである海上安全ネットワークを、航路の利用者が現在の船舶安全の経緯を判断し、その知識を船舶と関わる場合に応用できるよう、一定部分へのアクセスができるように開発すべきである。

措置
:この勧告に賛同する。一般市民が適切な海上安全ネットワーク(MSN)データにアクセスするということが、MSNの開発するにあたっての考慮事項のひとつであった。すでに沿岸警備隊では、船舶の経歴の一部を一般向け資料として提供するポートステート情報交換(Port State Information Exchange:PSIX)を導入している。MSNの発展に伴い、ポートステート情報交換(もしくは後継システム)経由で入手できるデータも増加する。
 
12. 沿岸警備隊は、事故現場の保護および調査にとって極めて重要となる証拠の保存を目的とした、迅速かつ効果的な方策を講じることの重要性を強調するために、海洋安全マニュアル第5巻1.G節および3.A節を改正すべきである。

措置:この勧告に賛同する。長官(調査分析課;G−MOA)は、勧告にしたがって海洋安全マニュアルを改正する。
 
13. リベリア共和国は、Bright Field号の免許技術者に対し、その者たちの免許と文書の権限下における過失および違法行為(すなわち、船舶のmain engine sumpを適切な量に維持することを怠った、第二主機関の潤滑油ポンプを自動的に作動するように正しく設定することを怠った、そしてMarine Boardに虚偽の宣誓供述を行った)に対し、免許停止および取消に関する調査を行うべきである。
 
14. リベリア共和国は、Bright Field号の前機関長Liu Qing Zhuに対し、Bright Field号の主機関を良好な状態に維持するための保守を怠り、main engine sumpに十分な量の潤滑油を維持することを怠ったことに対し、免許停止および/または取消に関する調査を行うべきである。

措置
:勧告13および14に賛同する。報告書のコピー1部を資料として、また適切と考える対策を立てるために、リベリア共和国に提供する。
 
15. 「定期的に無人となる機関室(EO)および機械装置集中制御(ECO)」に関するDNV(ノルウェー船級協会)規則は、オートメーション検査と併せて、オートメーション・システムの自動停止および減速機能に情報を送るすべての温度センサーと圧力センサーの適切なcalibrationの確認を義務付けるべきである。他の船級協会も同じ目的のために、規則を改正するための措置を講じるべきである。
 
16. 「定期的に無人となる機関室(EO)および機械装置集中制御(ECO)」に関するDNV(ノルウェー船級協会)規則は、船上で同協会承認の検査プログラムを整備し、それをオートメーション・システムの体系的な保守や機能検査のための計画として利用することを義務付けるべきである。他の船級協会も同じ目的のために、規則を改正するための措置を講じるべきである。
 
17. DNV(ノルウェー船級協会)規則は、直ちに報告しなければならない重要な船舶システムに具体的に対応するため、機器の損傷について報告することを船主や船会社に義務付けるよう規則を改正すべきである。

措置:勧告15、16、17に賛同する。報告書のコピー1部を資料として、また適切と考える対策を立てるために、DNV(ノルウェー船級協会)および国際船級協会連合(IACS)に提供する。
 
18. COSCO(中国遠洋運輸総公司 China Ocean Shipping Company Bright Field運航者)は、Bright Field号の推進力喪失などの緊急事態に対応する際に、主機関のオートメーション・システムのオーバーライド機能を使用するための標準業務手順書を公表すべきである。

措置
:この勧告に賛同する。報告書のコピー1部を資料として、また適切と考える対策を立てるために、COSCO(中国遠洋運輸総公司 China Ocean Shipping Company)に提供する。
 
19. 定期的に無人となる機関室のためのオートメーション設備を備えた船舶の船主や運航者は、自動停止および自動減速が大惨事につながる可能性のある規制航海水域を航行する場合の、重要な補助機器の標準操作手順を確立すベきである。第一システムを稼動し、第二システムを待機状態にして潤滑油、燃料油、冷却水用のポンプなどの重要な補助機器を作動させるのではなく、安全ではない状況を生み出さければ、両システムを同時に作動させることを特に配慮するべきである。
 
20. 定期的に無人となる機関室のためのオートメーション設備を備えた船舶の船主や運航者で、第33連邦規則集(33 Code of Federal Regulations)164.13(b)によって機関室に人を配置することが義務付けられていないところは、規制航海水域を航行中は機関室に人を適切に配置することが海洋上で従うべき良き慣習であると認識すべきである。
 
21. すべての船舶の船主や運航者は、汽笛信号が鳴っている間において、船橋乗組員が船首の見張りおよび/または錨担当と効果的に連絡を取ることが確実にできるようにして、適切な指示や助言を伝えることができるようにすべきである。
 
22. すべての船舶の船主や運航者は、規制航海水域を航行中は船首の見張りおよび/または錨担当を置くことが、海洋上で従うべき良き慣習であると認識すべきである。

措置
:勧告19から22に賛同する。これらの勧告は、いずれも標準操作手順の確立と海洋上で従うべき良き慣習の遵守に関わるものである。標準操作手順および海洋上で従うべき良き慣習の遵守は、船舶の安全な運行に欠かすことのできない要素である。国際安全管理コード(ISMコード)では船内における組織・管理、積荷および給油手順、船舶の航海準備、航行中の運行を含む船舶の安全性と汚染防止に関し、主要な船舶運航のための計画書や説明書を作成することが義務づけられている。ISMコードに基づいて、船主や船舶運航者が船舶運航の安全性確保や効果的な安全管理システムの確立に向けた努力を行う中で、これらの勧告を考慮する必要がある。また、勧告4、6、7に対して措置で示したように、航行安全規則を検討する中でこれらの勧告を考慮する。
 
23. 各港長は、乗客を乗せたまま埠頭に係留されている船舶に、妥当な場合、適切な船橋当直を配置を義務づけるために、担当水域で操業中の収容能力の大きい客船への衝突が提起するリスクを評価すべきである。

措置:この勧告の意図に賛同する。1997年1月、長官(海上安全保護局:G−M)が作成した出版物「リスクに基づく意思決定ガイドラインと海上安全保護事業計画目標(Risk Based Decision Making Guidelines & G-M Business Plan Goals)」が各港長(captain of the port:COTP)に送達された。このガイドラインの第8節には、港湾のリスク評価の実施に向けた方法論が掲載されている。加えて沿岸警備隊は、定期客船協会と協力して客船運行会社向けのリスク評価のガイドライン作りも行っている。
 
24. ニューオーリンズMarine Safety Office(海事安全事務所)は、ニューオーリンズ港内で乗組員を乗せたまま係留されているすべての一般船舶に対し、地元の海上交通チャンネルであるVHF−FMの67チャンネルを積極的に聞いて実況の船橋監視を保持し、潜在的な危険に備えて自己船舶のレーダーを監視する人員の乗船義務について考慮すべきである。当直担当は、緊急船舶退避指示などの必要な措置を講じる権限と能力を有しているべきである。

措置:沿岸警備隊管区司令官は規制航海水域の規制を発布する権限がある。かねてより、当該勧告を沿岸警備隊第八管区司令官に委ね、適切な対策を講じるよう求めている。沿岸警備隊第八管区司令官は、1997年10月30日にミシシッピ川下流の規制航海水域に対し、同様の規制を発布した。







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