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勧告(Recommendations)
1. 沿岸警備隊長官が、船舶検査の受益者負担という面で船舶が規則を遵守することに対して、特に小型客船の船主を始めとする船主の責任を明確にすることを勧告する。

措置(USCG長官の対応 以下同じ。):この勧告には同意しない。本件の場合、全ての適用規則を遵守する責任および船舶の安全性や船舶が運ぶ乗客の安全を確保する責任を船主が明確に理解していなかった。しかし、船舶検査の受益者負担金の趣旨については「受益者負担金は実費を相殺するために徴収するものであり、サービス向上のために徴収するものではない」と米国官報(60 FR 13563、1995年3月13日)に明記されている。米国官報に記載されているとおり、「このルールの料金は、船舶検査プログラムの要件とサービスを基準としたものである。料金は、沿岸警備隊による船舶検査サービスに伴う費用を回収することを目的として定められている」のである。本書を広く一般に配布すれば、「受益者負担金を支払うことと安全規則を遵守していることとは関係がない」という船主の認識を高めるのに役立つだろう。
 
2. 沿岸警備隊長官が、認定DUKW客船の全ての船主に陸軍省の技術マニュアルを1部持たせるようにすることを勧告する。
 
3. 沿岸警備隊長官が、DUKW客船を認定する全てのOCMIに陸軍省の技術マニュアルを1部持たせるようにすることを勧告する。

勧告2と3に対する措置
:これらの勧告については賛同する。第46連邦規則集(46 Code of Federal Regulations)サブチャプターTのBには、船舶証明を求める場合に船主が提出しなければならないプランや情報が列記されている。陸軍省の技術マニュアルは、求められている一部のプランの代用になる可能性もあるが、現在のDUKWは多くの面が改良されているため、このマニュアルが常に通用するとは限らない。しかし、陸軍省の技術マニュアルは、こうした船舶の船主および沿岸警備隊の船舶検査担当者にとって貴重な情報資源になると考えるため、分かっているDUKWの船主全員にこのマニュアルの入手方法を伝えるとともに、沿岸警備隊の各OCMIにマニュアルを配布する。
 
4. 1年に1度行われる小型客船の検査に乗組員が出席することを沿岸警備隊長官が奨励または義務付けることを勧告する。

措置:この勧告には賛同する。この勧告に準じて措置を講じる権限は、すでに第46連邦規則集(46 Code of Federal Regulations)176.808(g)および第46連邦規則集(46 Code of Federal Regulations)176.810(d)で与えられている。沿岸警備隊は、この勧告について、勧告7でさらに詳しく検討する。
 
5. 特にDUKWその他通常水中にない船舶について、防水性の船体やその付属物の修理が行われたら、船舶に異常がないか否か水中で試験を行うことを沿岸警備隊長官が奨励または義務付けることを勧告する。

措置:この勧告には部分的に賛同する。ドライドックで行われた修理については全てドライドックで試験を行い、その後進水した後に再度試験を行うべきである。しかし、水の外では適切な試験ができない水陸両用船の防水性の船体やその付属物の修理については水中試験を行うべきである。沿岸警備隊は、この勧告について、勧告7でさらに詳しく検討する。
 
6. 沿岸警備隊が3年に1回行う検査(triennial inspection)および年に1回行う再検査(annual reinspection)ごとに、水を使用してbilge pumpを試験することを沿岸警備隊長官が奨励または義務付けることを勧告する。

措置:この勧告には賛同する。これ以上の措置は必要ない。この勧告に準じて措置を講じる権限は、すでに第46連邦規則集(46 Code of Federal Regulations)176.804(h)で与えられている。
 
7. 沿岸警備隊長官が、業界の専門家およびDUKW運航会社で構成される作業グループを設置し、動力伝達系統と船体の完全性に重点を置いたDUKWのベストプラクティス集を作成することを勧告する。ベストプラクティス集は、簡単に手に入るようにする必要がある。

勧告7から10および13に対する措置
:これらの勧告にはDUKWに関する範囲内で賛同する。長官(G−MOC:遵法課)は、DUKWの設計、保守、運行、検査関連の総合的ガイドラインを策定するため、DUKWの船主や運営会社および沿岸警備隊の所定の担当者など、業界や政府の専門家集団を招集する。そして、ガイドラインが完成したら、分かっている全てのDUKWの船主や運営会社、DUKWの監督に関わっている州政府機関、所定の沿岸警備隊の部署に配布する。また、ガイドラインは、沿岸警備隊のインターネットサイトで閲覧できるようにする。
 
8. 沿岸警備隊長官が、DUKWに関する方針書を発布し、OCMIが、動力伝達系統の隙間から浸水する危険に直面した時の船舶のSurvivabilityを再評価(reassess)し、第46連邦規則集(46 Code of Federal Regulations)サブチャプターTの趣旨とするレベルに相当する安全性が確保できるようにすることを勧告する。この方針書は、州の水域で客船として航行しているDUKWを規制する州の機関を含む一般が簡単に手に入るようにする必要がある。

措置:7項参照
 
9. shaft housingやboot sealに重点を置いた、DUKW独自の特徴を検査する方針を沿岸警備隊長官が発布することを勧告する。この方針書は、州の水域で客船として航行しているDUKWを規制する州の機関を含む一般が簡単に手に入るようにする必要がある。

措置
:7項参照
 
10. 第46連邦規則集(46 Code of Federal Regulations)177.500の避難に関する規定を特に考慮し、小型客船における天蓋およびそれに類する構造の使用に関する方針を沿岸警備隊長官が策定することを勧告する。

措置
:7項参照
 
11. ワークリストおよび発見した不具合が全て記載されているMSISなど、MSOが完全な検査ファイルを整備する必要があることを沿岸警備隊長官が改めて強調することを勧告する。

措置:この勧告には賛同する。米国沿岸警備隊海上安全マニュアル第II巻3章には充分な政策ガイダンスが掲載されているが、勧告15で言われているように、本書を1部OCMI全員に配布する。
 
12. 品質保証担当官、G−MO−1にDUKWの検査におけるMSO間の一貫性を評価させ、必要に応じて訓練を行うことを沿岸警備隊長官が検討することを勧告する。

措置:この勧告には賛同する。長官(G−MO−1:品質保証担当)は、上記のガイダンスの策定に参加し、適宜沿岸警備隊船舶検査官の適用の一貫性を評価する。
 
13. 検査対象船舶の乗務員のうち1名が観光ガイドの仕事に従事している場合、乗組員を複数にする必要性についてOCMIが再評価することを沿岸警備隊長官が奨励することを勧告する。これは操舵席が乗客の前方にある船舶については特に言えることである。

措置
:7項参照
 
14. 営利目的の客船に使用され、州法で規定されているDUKWがある全ての州、および州の船舶法関連の行政官全員に本書を1部配布することを勧告する。
 
15. 各OCMIに本書を1部配布することを勧告する。
 
16. 国家安全運輸委員会(NTSB)に本書を1部配布することを勧告する。

勧告14から16に対する措置:これらの勧告には賛同する。長官(G−MO−1)は、勧告に従い本書を配布する。
 
17. 本件の事故調査を終了することを勧告する。

措置
:この勧告には賛同する。本調査は終了する。
 
G. W. ANDERSON
米沿岸警備隊大佐
委員長
 
RICHARD M. KASER
米沿岸警備隊中佐
委員
 
B. G. KNAPP
米沿岸警備隊准将(jg)
委員兼記録







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