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ヒューマンファクター調査研究委員会第6回検討作業部会
(議事概要)
1. 日時 平成15年1月22日(水) 午後2時30分から同4時30分
2. 場所 高等海難審判庁 審判業務室
3. 出席者 村田委員を除く部会メンバー
加藤委員長、堀野委員、黒田委員、冨久尾委員、峰委員、増田委員、吉田委員
4. 議題
(1)ヒューマンファクター概念に基づく事故調査手法の現状と問題点
(1)平成14年度検討作業部会の経緯
(2)船舶分野におけるヒューマンファクター概念に基づく海難調査への取り組み
(3)船舶分野におけるインシデント等の危険情報の報告、活用
(2)その他
5. 資料
(1)議事次第
(2)座席表
(3) 説明資料1  ヒューマンファクター調査研究委員会検討作業部会議事要旨(第1回から第5回)
(4) 説明資料2  船舶分野におけるヒューマンファクター概念に基づく海難調査への取り組み
(5) 説明資料3  船舶分野におけるインシデント等の危険情報船舶分野におけるの報告、活用
6. 議事概要
(1) 事務局から委員の交代について報告があり、喜多(裕)委員と交代した今村委員が紹介された。
(2) 海難審判協会宮内専務より、説明資料1、2、3に基づき説明し、これに対して次の質疑応答、意見等があった。
 法律では勧告という制度があるが、「勧告」の手続きが実行された例は少なく、ほとんどが「要望」という形で処理されている。要望というのは、やや中途半端で実効性に乏しいという認識があり、この点については、もっと明確にした方がよいのではないか。
 要望、勧告については、やや消極的な対応であったという指摘が多い。原因究明も重要であるが、将来的な安全志向という未来型の考え方からすると、ある程度一般的な問題については、要望は出してもいいのではないか。
 要望への対応がない場合には、勧告を出すというような考えがあってもいい。
 要望については、各会社や個人より業界全体にした方がいいという傾向があり、海難防止上、それなりに効果があるのではないかと思われる。
 要望であれ、勧告であれ、全体の流れにどのような影響を及ぼし、その対策を講じるかについて、実際にやられている委員の方々から、何が欲しいのか、どうやったら一番有効に行くのかという意見が出れば大変によい。それらと海難審判庁の対策や工夫を議論する必要があろう。
 部会のまとめ、委員会の中間報告は、これまでの委員会、部会での議論、講演等の中で、ヒューマンファクターに焦点を合わせた論点整理をした方が、貴重な資料となる。
 説明資料については、中間報告の原案ではなく、問題提起と理解している。
 裁決書及び審判庁の調査のあり方については委員会で議論し、いろいろ指摘があるので、こういう問題があるという点は指摘できる。
 単に問題提起だけではなく、いろいろな立場の人から見て満足できる、納得できる、整合性のある、皆で合意できる新しい取り組み方を記載した方がいい。
 行政のスタンスはさておき、委員会、部会においては、いろいろな分野にわたり相当に中身の濃い議論を行った。それぞれの指摘から、ヒューマンファクターというものに焦点を合わせた論点整理をする必要がある。
 関連して、裁決書にどのようなことを書くべきかということについて集めた意見をまとめておく必要がある。
 ヒューマンファクターやインシデント情報の報告について、個人データの取り扱い、守秘義務、懲戒主義等の問題が大きなハードルになっていて、日本のやり方はやや後進的過ぎるのではないかというイメージがあるが。
 アメリカでもヒューマンファクターに基づく分析がうまくいっているのか、よくわからない状況である。海難審判庁の裁決書に比べて、NTSBやUSCGの報告書はボリュームがあり、いろいろな観点から書かれているが、それがどの程度海難防止に役立っているのかわからない状況であり、日本が特に後進的だとは言えない。
 当委員会は、インシデントなりヒューマンファクターの分野において、委員会として何かをまとめて答申する性質のものなのか、それとも審判庁が今やっている成果の中から何かを見つけ出して世間に出すための委員会なのか、委員会の性格が不明瞭である。
 科学的にヒューマンファクターにはどんな問題があって、それを使うことによって、海難を防止するためにはどのような方法があるのか。又は、裁決書にはこんな問題があり、今の審判庁のシステムではできないものがあれば、法律を変えてでもやるべきだというなら、それは国家のため、社会のためになり、非常に意味がある。
 日本においてヒューマンファクターという問題については、後進的な社会情勢の中で、このような問題を取り上げて事故防止のため、将来の安全のために勉強しようという趣旨と理解している。趣旨の手法として問題があるという指摘があり、その点については、論点を整理し、どのような結論を導き出すかについて再度検討すべきであろう。
 まとめ方、さらには委員会そのものが、どれかだけが特別悪くて、どれだけが特別よいというような発想に基づくものであれば問題である。
 海という多様な職場について、公平な立場に立った判断でなければならないという指摘は、大切である。
 海というのは道路であり、畑であり、社会的機能としては畑と道路が混在していることから交通整理が難しく、頻繁に事故が起こるという説明を聞いたことがある。力関係とか、強い弱いとか、政治力とかで処理するのでなく、科学の力を借りれば、今よりもっと問題が解決するということが見えてくる。
 ヒューマンファクターの言葉は流行言葉になっているが、その使い方が間違ってきたという印象がある。大目的は海難をいかに減少させるかであるが、その方法論と目的とが混同されている。
 海難を防止するという大きな目的を達成するため、長い歴史を持っている海難審判という制度があり、今までは後始末としては機能していたが、予防に持っていくためには、世界的な流れもありヒューマンファクターという考え方を取り入れて、防止の方向に使えないかという話が起こっている。裁決をするときに分析をしているヒューマンファクターというのは、起こってしまったものを予防に持っていくフィードバックである。
 それと、海難審判の対象になっていないインシデントの話は全く別のものであるが、海難を防止するためには、それもどうしても必要だということになっている。インシデントはもっと積極的に集めなければならないわけで、それをしてでも海難を防止しようとしているのだということを、どのように整理して、報告書に入れるか大切である。
 また、海難の件数ではなく、海難をいかに防止していくかというリスク・アセスメントが重要で、大きな船が海難を起こした場合のリスクは、非常に大きく、そのリスクを考えれば、インシデント・レポートを出してでも、何とかして防止をしなくてはいけない状態まで来ているということを、報告書に表す必要がある。
 大きな意味で、海難を防止していくためには、どのようにしたらいいのかを論じなければならない。
 海難防止をしたい。海の事故を減らしたい。そのためには何をしたらいいのかということで、裁決書という具体的な行政の道具立ての話と、インシデントというのは全く別枠であるが、ヒューマンファクターズというキーワードを持ってくると、頭の中で、ある具体的な行動としてつながってしまう。この点について、整理ができていれば、この作業部会のしていることは、世間から評価され、十分理解されると思う。
 これからの海難審判をどうするのか、それが本当に生きたものに成果としてなるかということに論点を置くべきではないか。







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