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[ヒューマンファクター調査研究委員会検討作業部会議事要旨(第1回〜6回)]
ヒューマンファクター調査研究委員会第1回検討作業部会
(議事概要)
1. 日時 平成14年7月2日(火) 午後3時から同5時10分
2. 場所 高等海難審判庁 審判業務室
3. 出席者 全部会メンバー
加藤委員長、堀野委員、黒田委員、厚味委員
4. 議題
(1)(議事テーマ)他の分野におけるヒューマンファクター概念による事故調査・分析手法の現状と海難調査(その1)
5. 資料
(1)議事次第
(2)座席表
(3)講演用レジュメ
6. 議事概要
(1) 講演 「他の分野におけるヒューマンファクター概念による事故調査・分析手法の現状と海難調査」
  講演者 堀野定雄委員 神奈川大学工学部 人間工学
  講演目次 プロドライバーによる重大事故多発「安全運転の基本に戻れ」
    大型車横転3人死亡
    日本:死亡事故(2001)
    ERGONOMICS(人間工学)
    Human Factors engineering(人間因子工学)
    (1) 深刻な交通事故の実態
      i) 交通事故(2001)
        課題: なぜ施策効果が現れない?
          効果的対策はあるの?
          交通事故が減らない理由
      ii) 災害発生の構造性
        不注意は災害・事故の原因ではなく結果である
        「安全心理学の公理」狩野広之(1959)
      iii) 災害は複合原因で起こる
        災害事故原因:4M説
    (2) 人間工学応用で科学的接近
      i)人間工学の新しい定義
        新定義の意義
        人間工学
        人間工学の研究範囲
      ii) 人間中心設計
      iii) ヒューマンエラー誘発因子を探す
      iv) ヒューマンエラー防止設計事例
        ヒューマンエラーを誘発する機械設計
         → ヒューマンエラー防止設計
        ヒューマンエラー:機械・道具の設計で簡単に発生する、防止できる
        飛行機コクピットの例
        米空軍一針高度計研究の今日的意義
    (3) 人間工学の応用
      道路標識が原因で事故が起こる
      ドライバ視点のフィールド研究で判った事
    (4) 安全管理の基本
      i) 捜査と調査の峻別
      ii) アクション志向の職場改善
      iii) 災害予防法
        技術システム
        「ハインリッヒの法則」正しい活用
    (5) 自動化の原則(NASA 1988)
      してはならないこと(should not)
      すべきこと(should)
    (6) 事故点検のすすめ
      事故は情報の宝庫: 事故・ニアミス情報の整理
       ⇒ データベース化
      Critical eleven minutes 着陸前8分 離陸後3分
      代表的方法論
        Crew Resource Management 訓練
        LOFT訓練
    (7) まとめ
(2)主な講演内容
 注律違反=事故原因という考え方は、永久に人を罰することによってしか事故がなくならないということを言っているに等しい。
 今日の海難調査・分析でもマネージメントの側面を多分無視はできない。そこにヒューマンファクター、つまり人間工学の知識をフル動員する必要がある。
 海難審判の裁決が指摘したほとんどが、見張り不十分、レーダー活用不十分、他船の動静監視不十分等、つまり受審人等の操船行動の結果を逆に辿ってああだこうだと言っているに過ぎない。つまり、法律違反=原因であるという分析に似ている。
 事故は、Man,Machine,Media,Management,Missionの5つのMが絡みあって起こってくるので、事故原因を分析するときには5つの視点について、できる限り事実を調査すべきである。
 5つのMの調査において、メモを取る際は、一切予断を入れてはいけない。
 人間工学は、あるシステムにおける人間と他要素間の交互作用を理解する科学原理であり、理論、原則、データ、設計方法を応用し、人間の生活充実感とシステムの総合的成果を最適化する専門職域である。
 日本では科学的測定だけを強調する方が多いが、本人に聞くこと、直接観察というのを非常に軽く見る方が多い。
 日本人は本人に聞くとうそをつくというが、うそをつかれるような質問をするのがいけない。うそをつけないような上手な聞き方があるはず。つまりダミー・クエスチョンを入れるなどの方法がある。
 アメリカの航空事故調査の考え方には、斬新的なものがある。ミスしたパイロットを責めていない。最初から再発防止を重視して取り組んでいる。それに心理学と航空機事故とをドッキングさせている点である。
 不注意は災害、事故の原因ではなく結果である。不注意を招く真の原因を研究すべきである。
 ヒューマンエラーが起こったら誘発因子、つまり不注意の真の原因を探すことが重要である。
 5つのM、2者関係等からの交互作用を主軸にして、時系列のイベントフローを書き、それをクロスして、ギャップを意識的に探すことが重要であり、この方法は、船舶の分野でも十分に役立つものである。
(3)講演に対する質疑応答、意見
 5つのMなど、それを突き詰めていけば人間に突き当たるという話と受け止めた。
 事故対応については未来形の対応、未来志向の発想に基づくことが重要と理解する。







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