5.2 産業廃棄物
(1)農業関係(農業用ビニール・糞尿など)
・農業用ビニールは、長崎県農産園芸課の主導により、各地に協議会を設置し、回収している。
・処理は大村市の業者に輸送して行っているため、島内処理に比べ輸送料負担が大きい。
・畜産は各地区とも小規模なため、自家消費で対応でき、糞尿処理の問題は大きくなっていない。
○対馬地区
・農業用ビニールについては、平成14年に「対馬地区農業用資材適正処理対策協議会」を設立している。農家から回収して大村市の処理業者まで輸送しているが、輸送費と袋代が処理費用の3倍程度かかり、負担が大きい。
・費用は現在全額農家負担。自治体からの負担が欲しい。販売者としての責任が農協にもあるかもしれないが、協議会に民間業者が入っていないので、農協だけが負担することはできない。
○壱岐地区
・「壱岐郡園芸用等廃プラスチック適正処理推進協議会」が設置され、回収している。
・園芸用は町が1/2、農協が1/4、農家が1/4負担している。葉たばこ用は町が1/2、農協が1/2負担している。葉たばこ用については、用具を売る時に処理費を上乗せするようにしている。
○上五島地区
・廃プラスチック処理の協議会は設立されていない。
○下五島地区
・「下五島地域園芸用等廃プラスチック適正処理推進対策協議会」を結成、平成12年から年2回、回収している。
・回収したものは、大村市の業者まで輸送しているが、地元の産廃処理業者が島内処理をしたい意向を持っている。
・処理費用は市町、販売業者、生産者が1/3ずつ負担している。
(2)漁業関係(発砲スチロール、漁網、廃船など)
・廃船の処理システムができておらず、不法係留、放置船等がみられる。
・廃船の処理には、大きな費用がかかる。
・FRP廃船は、民間の廃棄物処理業者が扱う量が増えている。
・木造船の不法処理(焼却)が見られる。
○対馬地区
・廃船の問題は出ている。つなぎ放しになっているケースもあり、処理費用がかかる。
○壱岐地区
・生活破綻者等がエンジンだけ取って、船体はそのまま放置している。
・緊急雇用事業で調査員が放置の状況を調べているが、海でつなぎ放しになっている廃船分は把握できない。
・木造船は野焼きしている。FRP船は民間処理業者が破砕している。
○上五島地区
・石油備蓄基地で毎年蛎殻を落としている。また、養殖用金網に付着したフジツボもあり、いずれも産業廃棄物となっている。これらを魚礁として再利用したい。魚礁だと国費で補助が出る。
○下五島地区
・地元の産廃処理業者が処理する廃船の量は増えている。破砕して埋め立て、あるいは焼却などの処理を行っている。
・漁網は、産廃処理業者を通じて処理される分もあり、利用できるものは原型のまま農業用の害獣よけなどに使われている。
・木造船は、切って薪(五右衛門風呂用)にして利用される分もあるが、不法焼却・不法投棄されているケースも多い。
(3)建設廃材(アスファルト、コンクリート等)
・民間の処理業者が、破砕処理している。
・処分場と比較すると、破砕機は安く導入できるため、民間企業も参入しやすい。
○対馬地区
・民間業者が破砕して再利用している。
・家屋の廃材については、各自が解体したものは、各町の許可があれば、一般廃棄物として広域化後の焼却施設(平成14年12月稼働)でも受け入れている。
○壱岐地区
・アスファルト、コンクリート類は島内で破砕、再利用されている。
・瓦の処理に困っている。ガラス・陶磁くずの処理業者は島内にいないので、島外に搬出している。
○上五島地区
・民間業者が破砕して再利用している。
○下五島地区
・民間業者が破砕して再利用している。
(4)有機系廃棄物(木材など)
・木材は畜産利用のため粉砕処理する業者がある。
・食品系のリサイクルは進んでいない。
・畜産が盛んではないため、大規模な木材くずの再利用が進まない。
○対馬地区
・木材は、現在島内に焼却炉をもつ業者が1社ある。また、壱岐に運びチップ化している分もある。
・島内で木くずを畜産用にリサイクルすることを考えている業者はあるが、畜産が盛んでないため具体化しない。
○壱岐地区
・木材は、中間処理業者が破砕処理しているが、再利用先に困っている業者もある。
・焼酎かすが大量に排出される。農地還元している量は全排出量2,800tのうちの1,300tで、それ以外は海洋投棄している。将来的には海洋投棄ができなくなるので、陸上処分について保健所に相談が来ている。
○上五島地区
・広域市町村圏組合がし尿から肥料の製造をしているが、農家が少ないため、肥料の処理に困っている。
○下五島地区
・木材は民間業者が粉砕し、畜産農家が利用している。
・水産加工業者から出ている内蔵等は、本来産業廃棄物だが現在は一般廃棄物として処理されている。民間産廃業者がこれを堆肥化することを計画している。
・食品系のリサイクルに関する動きは上記のみで、全体としては進んでいない。
(5)使用済み自動車
・島内に処理施設が少なく、最終処分場がないため、島外に搬出する必要がある。
・対馬地区では海運業者が島外へ搬出をしている。
・上五島地区では、廃棄物処理業者が船をチャーターし搬出している。
・下五島地区では、民間業者がシュレッダー機を建設中。
・自家敷地内に使用済み自動車を退蔵するケースも多い。
○対馬地区
・島内では最終処分ができないので、島外搬出の必要がある。
・海運業者が集積ヤードを持ち、原型で輸送している。
・整備業者等が集めた車も、海運業者に集められる。
・「ピカピカつしま廃自動車一掃作戦」を行い、島内の放置自動車の一掃を行ったが、「捨て得」という問題もあることから、当初は3年計画だったが2年で打ち切った。
○壱岐地区
・島内業者が回収。郷ノ浦港までトラックで運び、博多港まで定期貨物船で運搬。博多港には福岡県の処理業者が取りに来る。
・破綻状態の処理業者が、未処理の自動車を200台位抱え放置している。
○上五島地区
・民間業者がプレス処理後、10tトラックで港まで輸送、ガット船で北九州市の業者に輸送している。
○下五島地区
・人目につきにくい場所に不法投棄が見られる。
・プレス処理後島外(県外)に搬出されていたが、引き取り先の業者が長崎県の廃棄物収集運搬免許を持っていなかったため、排出できなくなり、現在は島内の業者にたまっている。
・現在、民間処理業者がシュレッダー機を建設中。しかし、自動車リサイクル法の制定後、家電と同様に使用済み自動車も本土に搬出することが義務づけられることを心配している。
○全般
・使用後、自分の敷地内に放置し、倉庫等として利用するケースが多い。放置者の特定はできても、適正処理させるのは困難である。
・スペースがせまく、生活物資と廃棄物を同じ場所で荷捌きせざるをえない。
・船積みの効率化のために大量の廃棄物を集めたいが、港湾には集積ヤードがない。
・廃棄物の島外搬出を要することから、処理費に占める輸送費の割合が高い。
○対馬地区
・港湾は観光の玄関なので、廃棄物を大量・長期に置くことは避けたい。
・生活物資と廃棄物を同じ場所で荷捌きするのは避けたいが、港湾のスペースが狭く完全に分離できない。
・船積みの効率化のために廃棄物の量を集めておきたいが、港湾には集積ヤードがない。
・運搬船が他の島をまわり一緒に運ぶと、集積する量を少なくすることは可能だが、費用の案分が困難で実現していない。
・島外への搬送が必要なため、処理費用に占める運搬料の割合が高い。
○壱岐地区
・ある廃棄物処理業者が芦辺漁港の一角を占有利用していたが、他社の利用申請もあったため、一社占有をやめ、各社とも利用する時だけ申請を出すことになった。
・複数の処理業者が、印通寺港に仮置きヤードを確保したいと希望しているが、地元の反対などで実現していない。
○上五島地区
・クリーンセンターまでの道路を拡幅中である。現在、10tトラックが入れない。
・内陸部にあるクリーンセンターの集積ヤードが不足している。
○下五島地区
・廃棄物の積み出し作業で、景観上の問題から港湾を長時間利用することができない。
・内陸部にあるリサイクルセンターでは、集積ヤードが不足している。ペットボトルなどは野積みしており、品質が劣化する問題が生じている。
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