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5. 関係者の意向
5.1 一般廃棄物
(1)燃えるごみ、不燃物、粗大ごみ等
・ダイオキシン対策に伴い、各市町とも焼却場を新設している。
・対馬・上五島地区では広域処理を開始している。
・焼却場新設などに伴い自治体の廃棄物処理能力が向上、産業廃棄物受け入れを検討中である。
・焼却灰を島内で埋立処理すると、処分場の残余年数が短くなる。
 
○対馬地区
・従来、島内6町のうち、厳原町と美津島町は単独処理、豊玉町と峰町が「対馬中部組合環境管理センター」で、上県町と上対馬町が「対馬北部組合清掃センター」で、それぞれ個別に処理をしていた。最終処分場は、対馬中部組合のみが保有し、他町は焼却灰等を県外の最終処分場に搬送していた。
・平成14年12月から全島での広域処理を開始。管理型最終処分場も併設される。焼却灰も埋立処理が可能だが、埋め立てると残余年数が短くなる。
・広域処理後も、島が広いため中継所を設置する必要がある。
 
○壱岐地区
・管理型最終処分場を持たない町もあり、焼却灰は県外の民間業者により島外で最終処分されている。
・現在は、島内4町全てが焼却処分場を持つ。平成20年から広域化の予定である。
 
○上五島地区
・平成14年12月から上五島地区5町で広域処理を開始した。焼却場と最終処分場が新設された。
・平成25年以降は、宇久町、小値賀町も含めた7町での広域化計画がある。
・宇久町、小値賀町は、佐世保市との市町合併計画もある。
 
○下五島地区
・現在は、福江市、富江町、三井楽町、奈留町に焼却場がある。岐宿町は富江町、三井楽町、福江市で1/3ずつ処理、玉之浦町は全量を福江市で処理していた。
・平成14年12月から福江市の新焼却場が稼働。稼働後は岐宿町分も全量を福江市で処理するようになる。
・平成30年度から下五島地域(1市5町)で広域化される計画がある。その前に、平成16年8月1日を目標として、下五島地域の市町合併計画がある。
・福江市の最終処分場は平成12年から稼働している。当初、15年間持つ計画だったが、現在の状況だと13年しか持たないと予測されている。岐宿、玉之浦両町の分も増えると、10年程度になる可能性もある。
・従来、プラスチック類は不燃ごみ扱いだったが、新焼却場稼働後は可燃ごみに分別している。
 
(2)資源ごみ(古紙・びん類・かん類・ペットボトル)
・各自治体とも、分別収集後に中間処理をしている。
・リサイクル施設の整備に伴い、各地区とも分別品目を拡大している。
・古紙やかん類は、入札で引取業者を選定している。
・びん類、ペットボトルは日本容器包装リサイクル協会の利用も考えられる。
 
○対馬地区
・自治体は入札で処理業者を決定している。厳原町分は、今年度は地元海運業者が落札している。
・アルミかんは有償、スチールかんは無償、輸送費込みで両方合わせて無償処理している。ペットボトルは逆有償で、セメント会社に輸送後リサイクル処理している。
・古紙は、船一隻分をためて輸送すればコストが安くつく。壱岐と対馬の分をまとめて一隻の船で運べば各島でストックする量は少なくて済むが、経費の案分がうまくいかない。
・平成14年12月の広域処理移行後は、処理場にリサイクルプラザを併設している。分別を13分類に拡大した。
 
○壱岐地区
・古紙は、協同組合長崎県リサイクルにより、全島での一括回収が行われている。
・現在、びん類、かん類、ペットボトルは各町ごとに処理。平成15年4月からはびん類、ペットボトル、トレー類の一括処理が行われる予定であり、現在中間処理施設を建設中である。
 
○上五島地区
・上五島5町分を上五島広域クリーンセンターで選別している。平成14年4月から稼働開始している。
・地元業者が処理しているが、まだ稼働開始後時間が経っていないので、量は集まっていない。
 
○下五島地区
・福江市は、現在の処理施設(福江市リサイクルセンター)完成に伴い、一般ごみを8分別にした。
・福江市の場合、ペットボトルとびんは日本容器包装リサイクル協会が選定した業者に輸送を委託している。かんと古紙は入札で処理業者を選定している。入札に参加する業者は市内に2社あるが、今年度は島外業者が落札した。発砲スチロールは、減容したものを減容器メーカーが有償で引き取っている。
・福江市は、資源ごみに関しては産業廃棄物も一般廃棄物と同じ条件で引き取っている。
・輸送は、コンテナなどを利用して定期フェリーで運ぶケースが多い。
・自治体、民間とも、ストックヤードが不足していると感じている。自治体は、ストックヤードを自前で用意する財政的余裕はないが、民間企業には、港湾用地を購入できれば自社で用意したいと考える事業者もある。
 
○財団法人 日本容器包装リサイクル協会
・財団法人 日本容器包装リサイクル協会では、ガラスびん、ペットボトル、紙製容器包装、プラスチック製容器包装の再商品化事業を行っている。
・どの自治体に対しても一定の料金で再商品化を請け負っている。そのため、離島など輸送コストがかかる自治体にとっては、同協会に委託した方が低コストになるのではないか。
 
(3)廃家電
・対馬地区では海運業者が貨物船で海上輸送をしている。
・壱岐地区では廃棄物運搬業者が貨物フェリーを利用してトラックで輸送している。
・五島地区では宅配業者の取扱量が多い。宅配業者は定期フェリーを利用している。
・家電小売店が回収したものについても、各地区とも上記ルートヘ輸送を依頼している。
・指定引取場所がなく、島外まで搬出するため、高い輸送コストを負担せざるをえない。
 
○対馬地区
・地元海運業者が福岡の指定引取場所まで輸送している。海運業者自身も消費者から回収している。また、家電小売店が回収したものも、家電小売店が海運業者に輸送を委託している。
・指定引取場所がないため、島外に搬出する必要があり、コストがかかる。
 
○壱岐地区
・家電小売店、家電量販店が回収したものを、単一の廃棄物運搬業者が収集の後、トラックに積み、貨物フェリーを利用して福岡の指定引き取り場所へ搬送。
・自治体、関係業者が一体となり、協力して低コストで回収できる仕組み(週1回の搬出、フェリーの低運賃時間帯利用等)により、低額での回収が実現している。
 
○上五島地区
・宅配便業者が本土に輸送。家電小売店が回収したものを、宅配業者に依頼している。
 
○下五島地区
・海運業者と宅配業者が長崎の指定引取場所まで輸送。廃棄物処理業者も取り扱いはしているが、料金を高くし、できるだけ集まらないようにしている。
・消費者が直接宅配業者に輸送を依頼することも可能で、家電小売店に処理を依頼するより安くできるが、リサイクル料金を自分で郵便局に振り込む必要があるなど手間がかかるため、家電小売店に集まる量が多い。
・家電小売店および廃棄物処理業者が回収したものは、海運業者か宅配業者に出される。
・わざわざ本土に原型のまま送らなくても、島内で処理したほうがコストも安くすむので、リサイクル率さえ守れば島内業者が処理してもいいのではないか、という処理業者の意見がある。
 
○経済産業省
・廃家電の指定引取場所については、家電リサイクル法上の指定基準はなく、メーカーが決定している。メーカーは採算ベースに乗るように設定していると思われ、おおよそ人口30万人に1カ所という割合で設置されているといわれている。離島の中で人口が最も多い佐渡島でも約7万2千人(資料:平成12年国勢調査)であるため、指定引取場所を設置することは難しいのではないか。
 
(4)漂着物
・外国語表記の漂着物も多い。
・原則として、一般廃棄物扱いになり市町村が処理している。
・経費がかかるため、県・国への処理費用負担補助を求める要望が多い。
 
○対馬地区
・過酸化水素水のポリ容器などが多い。海外からの漂着物と思われる。
・一般廃棄物として処理している。燃やせるものは各自治体が焼却処分。燃やせないものは島外搬出。費用は各町が負担している。
 
○壱岐地区
・海岸は観光業者が自主的に清掃をしており、町の直接的な関与はない。
・町は、県の補助事業(1/2補助)による海岸清掃事業は行っている。
 
○上五島地区
・流木等が原因の漁船事故が、平成9年から13年にかけて46件、被害額970万円に上る。
・アンモニア入りの50kg缶など、危険物が漂着することもある。
 
○下五島地区
・海の日に漁協が海岸清掃を行っている。
・漁網やフロート、あなごかごなどが多い。
・韓国の漁業関係者が漂着物の現況を視察しており、韓国にも状況が伝わっていると思われる。
 
○全般
・長崎県生活環境部で、不法投棄の処理費用の半額を負担する事業(長崎県不法投棄物等撤去事業)を行っているが、市町村から見ると、半額でも持ち出しがあるのはつらい。実際に、持ち出しがあるために事業に乗らない町もある。







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