4. 九州地方交通審議会の動向
(1)概要
○機関
九州運輸局の付属機関
○設置時期
昭和59年7月1日
(昭和45年5月20日に福岡陸運局の付属機関として設置された福岡地方陸上交通審議会が、運輸省の組織改編により陸運局及び海運局が統合されたことに伴い、九州運輸局の付属機関に移行したものである。)
○所掌事務
九州運輸局長の諮問に応じて、九州運輸局の所掌事務に関する重要事項を調査審議する。
調査審議の対象とする主な事項例は次の通りである。
(1)九州ブロック交通・観光計画の策定
(2)地域交通計画の策定
(3)交通施設の整備(基本計画、整備推進策)
(4)輸送対策(通勤、通学輸送その他大規模な輸送需要等の対策)
(5)運輸企業対策(再編成、体質改善等の基本方針に基づく具体的施策)
(6)観光振興施策等運輸行政に係る地域振興対策
(7)貨物流通対策
○構成員
委員は、学識経験のある者のうちから国土交通大臣が任命する。
また、臨時委員は、学識経験のある者、関係行政機関の職員又は関係地方公共団体の長若しくはその職員のうちから、国土交通大臣が任命する。
以上の他、専門の事項を調査するため必要があるときは、学識経験のある者のうちから専門委員を運輸局長が任命する。
○組織
審議会は、その定めるところにより、部会を設置し部会の決議をもって審議会の決議とすることができることとされており、これまでは各県毎の部会を設けて各県単位の地域交通計画の策定等を行ってきたが、平成14年度よりは、新たにテーマ別の部会を設置し、同部会で調査審議を行い、本審議会で最終答申を得ることとなった。
○地域交通計画等の策定
第85国会(昭和53年10月18日)の衆議院運輸委員会決議において、「地方陸上公共交通事業の経営が悪化し、その維持が困難となっている現状にかんがみ、地域住民の輸送需要に適応した地方陸上公共交通の維持整備を図るため、政府は、安定的な財源の確保をはじめとする総合的な施策を確立し、速やかに所要の立法行財政措置を講ずべきである。」とされたことを契機として、各県における公共交通機関の維持整備に関する計画(地域交通計画)を策定してきた。
今日までの諮問及び答申の状況は、次の通りである。
(1)鹿児島県における公共交通機関の維持整備に関する計画について
○諮問昭和55年11月25日 ○答申第3号昭和57年3月30日
(2)熊本県における公共交通機関の維持整備に関する計画について
○諮問昭和56年10月27日 ○答申第4号昭和58年3月30日
(3)長崎県における公共交通機関の維持整備に関する計画について
○諮問昭和57年10月18日 ○答申第5号昭和59年4月24日
(4)佐賀県における公共交通機関の維持整備に関する計画について
○諮問昭和58年11月17日 ○答申第1号昭和60年3月27日
(5)大分県における公共交通機関の維持整備に関する計画について
○諮問昭和59年11月9日 ○答申第2号昭和61年12月17日
(6)宮崎県における公共交通機関の維持整備に関する計画について
○諮問昭和60年12月23日 ○答申第3号昭和63年10月28日
(7)福岡県における公共交通機関の維持整備に関する計画について
○諮問昭和62年8月3日 ○答申第4号平成元年10月16日
以上の他、次のような地区について交通計画を策定してきた。
(1)地方中核都市における都市交通のあり方(熊本市圏における都市交通方策)について
○諮問昭和47年6月15日 ○答申第1号昭和48年3月9日
(2)今後の福岡都市圏の都市交通のあり方について
○諮問昭和50年3月28日 ○答申第2号昭和56年4月1日
しかし、これらの計画は、概ね10年を目標年次としているため、計画を早期に策定した地域にあっては、既に目標年次を経過していることから、平成5年度より計画の改定を次の通り行っている。
(1)熊本県における公共交通機関の維持整備に関する計画の改定について
○諮問平成5年7月21日 ○答申第5号平成8年8月23日
(2)鹿児島県における公共交通機関の維持整備に関する計画の改定について
○諮問平成6年8月2日 ○答申第6号平成8年8月23日
(3)長崎県における公共交通機関の維持整備に関する計画の改定について
○諮問平成8年8月23日 ○答申第7号平成10年3月20日
(4)佐賀県における公共交通機関の維持整備に関する計画の改定について
○諮問平成10年11月13日 ○答申第8号平成12年3月29日
(5)大分県における公共交通機関の維持整備に関する計画の改定について
○諮問平成13年1月23日 ○答申第9号平成14年3月26日
○常設部会の開催
地域の意向を的確に把握し、これを行政に十分反映させることにより、地域の実情に即した地域交通行政を一層推進するため、昭和60年度より各県単位の部会を常設して来たが、14年6月末をもって、各県単位の部会は廃止となった。
これまでの各県別部会の開催状況は、次のとおりである。
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○九州ブロック交通・観光計画の策定
九州各県における地域交通計画については、平成13年度末までに概ね同計画の策定及び改定が完了するに至った。しかしながら、その後の交通事業を取り巻く環境の変化として、平成14年2月までに全てのモードの公共交通に係る事業において需給調整規制が撤廃されたほか、我が国は、少子高齢化、環境問題の深刻化、地方の過疎化、情報技術の飛躍的発展等さまざまな経済社会の変化に直面している状況等を踏まえ、九州ブロック一体として、今後の交通・観光政策のあり方について一定の方向性を指し示すための審議を行うこととなった。
九州ブロックにおける今後の交通・観光政策のあり方について
○諮問平成15年3月10日
(3)委員及び特別委員名簿(50音順) 平成15年3月現在
委員 |
阿部 好 |
福岡市消費者協議会会長 |
〃 |
片岡 力 |
長崎国際大学人間社会学部教授 |
〃 |
田尻英幹 |
九州商工会議所連合会会長 |
〃 |
玉川孝道 |
西日本新聞社常務取締役営業本部長 |
〃 |
樗木 武 |
九州大学名誉教授 |
〃 |
佃 亮二 |
九州・山口経済連合会副会長 |
〃 |
吉田信夫 |
福岡大学工学部教授 |
臨時委員 |
赤崎義則 |
九州市長会会長(鹿児島市長) |
〃 |
明石博義 |
九州鉄道協会会長 |
〃 |
麻生 渡 |
福岡県知事 |
〃 |
荒木 敦 |
九州地方港運協会会長 |
〃 |
井本 勇 |
佐賀県知事 |
〃 |
岡 陽一 |
九州バス協会理事 |
〃 |
金子原二郎 |
長崎県知事 |
〃 |
川添一巳 |
九州乗用自動車協会会長 |
〃 |
小堀 豊 |
九州管区警察局長 |
〃 |
潮谷義子 |
熊本県知事 |
〃 |
末吉興一 |
北九州市長 |
〃 |
須賀龍郎 |
鹿児島県知事 |
〃 |
妹尾隆一郎 |
九州地方倉庫業連合会会長 |
〃 |
田中浩二 |
九州旅客鉄道株式会社会長 |
〃 |
出口 保 |
九州地方海運組合連合会会長 |
〃 |
平松守彦 |
九州地方知事会会長(大分県知事) |
〃 |
藤元昭二郎 |
九州トラック協会会長 |
〃 |
松形祐堯 |
宮崎県知事 |
〃 |
村木文郎 |
九州旅客船協会連合会会長 |
〃 |
安井俊幸 |
九州地方交通運輸産業労働組合協議会議長 |
〃 |
山崎広太郎 |
福岡市長 |
〃 |
山下寛彦 |
九州地方観光連盟等連絡協議会会長 |
〃 |
山本文男 |
九州地区町村会長会会長(添田町長) |
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(1)策定方法
毎年度の策定対象案件ごとに九州運輸局が、関係自治体、交通事業者、地元経済界、観光事業者等をメンバーとする「プログラム策定委員会」を発足させ、この委員会の場で現状認識、各種データの集計・収集、課題解決のための選択肢をめぐる比較検討等を進めたうえで、参加者全員のコンセンサスの下で課題解決の具体的方策について結論を得ることとしています。
・活性化の対象とする公共交通機関・サービスの現状
・活性化のための具体的方策
・具体的方策に係る事業計画・収支計画・資金計画
・方策の実施に際して想定される課題と対策
・観光振興等の分野における公共交通の活性化を支えるための地域の取り組みに関する行動計画
案件名 |
九州新幹線鹿児島ルートの開通に伴う旅客流動の変化に対応した地域の公共交通・観光の充実 |
地域 |
九州全域 |
概要 |
九州新幹線開通後の九州における公共交通活性化策及び観光振興策のあり方を探るため、圏域構造、旅客流動の変化等についての調査を実施する。 |
案件名 |
平成筑豊鉄道の経営のあり方と沿線地域の振興 |
地域 |
福岡県筑豊地域 |
概要 |
昨今の輸送量減少に伴い経営赤字を出すに至った平成筑豊鉄道につき、駅の乗り継ぎ改善等の利用促進施策を視野に入れた経営改善策を検討する。 |
案件名 |
北九州市多モード乗り継ぎ利便対策 |
地域 |
北九州市 |
概要 |
北九州市における鉄道・モノレール・バス・タクシー等の公共交通機関の利用抵抗の一因となっている乗り継ぎ時の煩雑な券購入を省略するため、共通カードシステムの導入等による乗り継ぎ利便の向上策を検討する。 |
案件名 |
玄海町の過疎化防止に向けた地域の活性化と交通体系の整備 |
地域 |
福岡県玄海町 |
概要 |
公共交通機関の利便性が低いために町として一体的な機能を発揮できない玄海町につき、バス路線の再編等、地域の活性化に資する交通体系のあり方を検討する。 |
案件名 |
松浦鉄道の活性化と地域交通体系の整備 |
地域 |
長崎県北部・佐賀県西部地域 |
概要 |
黒字経営を維持しているものの利用者数が伸び悩み、車両更新時期の到来等の課題に直面している松浦鉄道について、路線バスとの関係等地域における公共交通サービスとしての位置付けを再検討し、今後の維持活性化方策を検討する。 |
案件名 |
長崎域内観光スポットヘの路線バス案内システムの整備 |
地域 |
長崎市内及び野母崎等周辺観光地 |
概要 |
長崎市・長崎半島ブロックの公共交通機関を利用した観光地めぐりを促進するため、観光マップの作成、観光スポットヘの路線バス案内システムの導入等について検討する。 |
案件名 |
鹿児島県の離島における物流の効率化方策 |
地域 |
鹿児島県奄美諸島 |
概要 |
本土・離島間の物流コスト削減方策について関係者の間で課題を抽出するとともに、貨物の共同化等の方策のうち実現可能なものから順次具体化につなげていく。 |
案件名 |
十島村及び三島村離島航路の活性化と地域振興 |
地域 |
鹿児島県十島村・三島村 |
概要 |
鹿児島〜十島〜名瀬航路(十島村)、鹿児島〜三島路(三島村)の維持・改善のため、利用者の増加を図りつつ、経費削減を行う等、輸送サービスの維持・強化を図るとともに、地域の観光振興策と連携した活性化策を検討する。 |
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