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(4)道路の状況について
(1)道路整備の概況
 鹿児島県の道路網は、平成7年に北九州市から鹿児島市までが全線開通した九州縦貫自動車道などの高規格幹線道路を骨格に、一般国道19路線、主要地方道61路線、一般県道244路線、市町村道3万3941路線で構成されている。県内の国・県道における車道幅員5・5m以上の改良率は平成13年4月現在で71.5%であり、全国平均(71.5%)と同じ水準である。
 
(a)高規格幹線道路の整備
 県民の生活行動や社会経済活動が広域化・多様化していくなかで、人や物の交流の活発化を図り広域的な交流・連携を促進するためには、高速交通体系の形成を図ることが必要であり、本県では北部九州や隣県などとの広域的な交流ネットワークを強化する高規格幹線道路の整備を促進している。
 このうち、北九州市から九州東岸域の大分・宮崎県を経由して本県に至る延長約436kmの東九州自動車道では、本県域内の延長約91kmのうち、末吉財部IC〜国分IC間の22.5kmが平成14年3月に開通し、これまでに開通していた国分〜加治木間と合わせて供用延長は34.6km、供用率は38%になった。これに続く志布志〜末吉財部間については、工事着手へ向けた用地買収や調査等が行われている。
 また、南九州西回り自動車道は、熊本県八代市と鹿児島市を結ぶ延長約140kmの一般国道の自動車専用道路で、本県域内の延長約90kmのうち、市来IC〜伊集院IC(11.1km)間が平成14年4月に開通したことにより鹿児島道路(市来IC〜鹿児島IC間:22.2km)が全線開通となり、供用率は25%になった。これに続く隈之城〜市来間の川内道路については、平成10年代後半の開通に向けて全面的に工事が展開されている。
 さらに、九州縦貫自動車道においては、平成13年12月に加治木ジャンクションが完成し、東九州自動車道と一体となった高速道路ネットワークの形成が図られている。
 
(b)県内幹線道路網の整備
 県内各地の都市相互の交流の活発化と都市及び周辺農山漁村との一体的な発展を図るため、県内半日交通圏の拡大など県内各地域・離島等を結ぶ交通基盤の整備を進めている。
 高規格幹線道路を補完する地域高規格道路については、北薩地域と鹿児島空港のアクセス強化を図る「北薩横断道路」(70km)において、平成14年8月に横川町野坂〜薩摩町永野の北薩空港道路(6km)が地域高規格道路として本県で初めて開通し、平成15年3月には高尾野町内の紫尾道路のうち3.4kmが開通する予定である。
 このほか、宮崎県都城市と重要港湾志布志港とを連絡する「都城志布志道路」(県内延長約19km)や、鹿児島市域の渋滞緩和を図る鹿児島東西幹線道路(6km)、半島地域の骨格となる「南薩縦貫道」(40km)や「大隅縦貫道(I期)」(30km)についても、積極的に整備推進を図ることにしている。
 また、大隅半島の県道神之川内之浦線においては、平成14年12月に県内最長となる延長3.3kmの国見トンネルが開通し、高山町〜内之浦町間の交通不能区間の解消が図られたほか、奄美大島の名瀬市から住用村に至る一般国道58号和瀬バイパス(5.8km)が平成13年8月に開通するなど、幹線道路網の整備により地域間交流の促進や地域産業の活性化が期待されている。
 
(2)鹿児島県の路線バス
 鹿児島県は、全国でも高齢化率の高い県であると同時に、多くの離島、2つの大きな半島を有しており、地域における路線バスは、学生や高齢者等のいわゆる交通弱者にとって、通学・通勤・買物などの日常生活に必要不可欠な交通手段となっている。
 しかしながら、県の路線バスの輸送人員は、モータリゼーションの進展などにより、昭和47年をピークに年々減少し、また、平成14年2月から、乗合バス事業の需給調整規制が廃止され、バス路線からの撤退が原則自由となったことなどにより、バス路線の維持・確保が重要な課題となっている。
 このようなことから、県としては、国、市町村等と連携して路線バスの維持・確保に努めているところである。
 また、市町村においては、地域住民サービスとして、バス事業者に補助等を行い、均一料金の市町村内循環バスなどの導入が積極的に行われているところである。
 なお、平成16年春に予定されている九州新幹線鹿児島ルートの西鹿児島・新八代間の開業に合わせて、鹿児島の陸の玄関口となる西鹿児島駅前にバスターミナルを整備することとしている。
 
(5)鉄道について
 鹿児島県内の鉄道は、全国への幹線鉄道網の一翼を担う鹿児島本線・日豊本線と、県内の鹿児島地域と南薩地域間を結ぶ指宿枕崎線、さらには隣接する熊本県、宮崎県との間を結ぶ肥薩線、吉都線、日南線のJR九州6路線で構成されている。
 これまでの主な改善状況として、鹿児島本線については、昭和45年に全線が電化され、昭和55年までに県内の一部複線化、さらには、平成4年の新型特急車両「つばめ」の投入などにより、スピードアップや増便など、利便性の向上が図られたところである。
 日豊本線については、昭和54年に全線が電化され、昭和61年に錦江駅、昭和63年には姶良駅といった新駅の設置、さらには、平成7年の特急車両「きりしま」の投入などにより、利便性の向上が図られたところである。
 指宿枕崎線については、昭和61年から昭和63年にかけて、郡元駅、宇宿駅、慈眼寺駅といった新駅の設置、平成4年の新型快速車両「なのはな」の投入などにより、利便性の向上が図られたところである。
 このほか、肥薩線については、平成8年に人吉・吉松間において、観光列車「いさぶろう・しんぺい号」の運転が開始され、ループ線やスイッチバック、そして霧島連山などの自然を楽しむことができるようになり、また、吉都線や日南線についても、「霧島ぐるっと一周の旅」や「ギャラリー列車」などのイベント活動が展開されており、観光客や鉄道ファンの人気を得ているところである。
 鉄道は、他の交通機関と比較して定時性に優れ、環境にも優しい公共交通機関であり、また、沿線地域の振興及び観光客誘致等を進める上で重要な基盤となる施設である。
 今後、新幹線開業に伴い、観光客の増加が期待されているところであり、鉄道の果たす役割は、更に重要になってくるものと考えていることから、引き続き、スピードアップ、増便などの輸送サービスの改善や複線化、電化をはじめとする鉄道輸送力の増強等を促進していく必要がある。
 
(6)九州新幹線鹿児島ルートについて
(1)概要
 九州新幹線鹿児島ルートは、昭和48年に整備計画が決定された西鹿児島・博多間を結ぶ257kmの路線であり、西鹿児島・八代間が平成3年9月に、船小屋・新八代間が平成10年3月に、いずれもスーパー特急方式により着工された。
 その後、平成13年4月には、フル規格による工事実施計画の認可があり、西鹿児島・新八代間については、平成15年末、博多・新八代間については、認可の日から概ね12年後の工事完了予定とされた。また、この認可により、同年6月には、未着工区間であった博多・船小屋間も着工されたところである。
 新幹線が開業すると、現在、最速の特急「つばめ」で約3時間40分を要する西鹿児島・博多間は、西鹿児島・新八代間の暫定開業により約2時間10分で、また、博多までの全線開業により約1時間20分で結ばれることになり、県民の利便性はもとより、観光や文化、産業活動など様々な面において、大きな効果が期待されるとともに、九州の一体的な浮揚・発展にも大きく貢献することが期待されている。
 
(2)現在の状況及び今後の取り組み
 九州新幹線鹿児島ルートの西鹿児島・新八代間については、平成3年の本格着工以来、トンネルや橋梁、高架、駅舎等の工事が順調に進められてきており、今年秋にも完成する見込みであり、平成16年春には開業する予定である。
 このような中で、新幹線の開業効果を産業活動や観光など様々な面で地域の活性化につなげていくため、本県では、熊本県やJR九州などと連携し、全国規模の開業記念観光キャンペーンを展開するほか、関係機関・団体等と一体となった開業記念イベントを開催することとしている。また、経済団体や市民団体等で構成される「西鹿児島駅駅名改称推進協議会」が中心となって、新幹線開業を契機に、終始発駅となる「西鹿児島駅」を「鹿児島中央駅」に改称するための取り組みが進められた結果、本年二月には、JR九州において、新幹線開業と同時に駅名を改称することが、正式に決定されたところである。
 しかしながら、新幹線の開業効果を最大限に発揮させるためには、鹿児島ルート全線の早期開業が極めて大事であるので、今後とも、関係県等と力を合わせて、その実現に向けて最大限の努力をしていくこととしている。
 
(3)川内・八代間の並行在来線の状況及び今後の取り組み
 九州新幹線鹿児島ルート西鹿児島・新八代間の開業に伴い、JR九州から経営分離される並行在来線川内・八代間については、この区間を運営する第三セクター「肥薩おれんじ鉄道株式会社」が、昨年10月31日、鹿児島・熊本両県及び沿線市町の出資により設立されたところであり、現在、車両製作や鉄道事業許可申請などの具体的な開業準備が進められているところである。
 
肥薩おれんじ鉄道の会社ロゴマーク
 
 また、同社においては、去る1月31日、会社ロゴマークとイベント兼用型車両(2両)・一般車両(17両)の外装デザイン、一般車両の内装デザインを決定されたところであり、開業後の利用促進につながるものと期待されている。







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