[3] 鹿児島県の観光について
(1)概況
鹿児島県は、南北600kmに及ぶ広大な県域に、錦江湾に浮かぶ世界的に有名な活火山「桜島」や、NHK連続テレビ小説「まんてん」のロケ地にもなった世界自然遺産の島「屋久島」及び宇宙開発の島「種子島」、我が国最初の国立公園として指定され、温泉やトレッキング、世界レベルの音楽や現代アートを体験できる「霧島」、太古の森を思わせる原生林の中に稀少動物が生息し東洋のガラパゴスとも言われている「奄美群島」など、多彩な自然や様々な歴史・文化資源を有している。
また、我が国唯一の天然砂むし温泉で有名な「指宿」をはじめ、県内の至る所で多種多様な温泉を満喫できるほか、鹿児島黒豚・黒牛、薩摩地鶏、薩摩揚げや芋焼酎など、素晴らしい食の魅力が揃っている。
さらに、来る平成16年春には、九州新幹線鹿児島ルート西鹿児島・新八代間が開業し、「かごしま」がより身近なものになる予定である。
(2)観光客の誘致状況
当県の平成13年の観光客数は、鹿児島ロケ映画「ホタル」の全国的なヒットや、平成13年9月の奄美パーク・田中一村記念美術館のオープン、9月に発生した米国同時多発テロの影響による国内旅行へのシフト等により、宿泊観光客、日帰り観光客ともに増加し、合計で対前年比103.7%の4624万9千人となった。
特に、県外宿泊観光客数については、761万5千人となり、平成8年以来5年ぶりに前年を上回った。
また、外国人観光客数については、米国同時多発テロの影響で、世界的に海外旅行の手控え等が相次いだことなどにより、対前年比93.0%の7万8973人となった。これを発地別に見ると、香港、韓国、台湾の順に多く、アジア地域で全体の約8割を占めている。
観光まごころワッペン
(3)鹿児島県における観光PRの取組みと今後の展開
鹿児島県では、豊富な観光資源を生かし、魅力的で特色のある「観光かごしま」を創造するため、平成14年3月、21世紀初頭における本県観光の指針となる「かごしま新観光戦略21」を策定した。
この計画では、「人と自然と地域のふれあいがおりなす『新観光かごしま』をめざして」を基本理念として、本県の優れた自然、多彩な歴史、文化、人情豊かな県民性とふれあいながら、かごしまの旅を満喫し、再び訪れたいと思うような観光かごしまづくりを目指すこととしている。
そのため、まず、本年2月、本県の新たな観光キャッチフレーズとして「いっきに南へ!ぐるっと鹿児島」を決定したところである。これは、平成16年春の開業予定の九州新幹線鹿児島ルートや飛行機を使っていっきに南国鹿児島へ行けるというイメージや、南北600kmに広がる県内各地の様々な観光地を、ゆっくり、のんびりと周遊するというイメージを膨らませ、幅広い年代層の方々に鹿児島への旅心を募らせていただくことを目的として選定したものである。
また、鹿児島県では、行政と関係団体・業界が連携を図りながら、本県観光の魅力を広く国内外に広報宣伝することを目的として、平成7年から「観光かごしま大キャンペーン」を推進している。
平成14年度においては、「桜島」、「指宿」、「霧島」、「奄美群島」、「屋久島」、「種子島」そして多彩な食の魅力と匠たちの技など、本県の代表的な観光資源の外、特に、本県を舞台として、昨年9月末から放送されたNHK連続テレビ小説「まんてん」や、国内最古・最大級の定住化集落遺跡を保存活用し、昨年10月にオープンした「上野原縄文の森」など、本県の新たな観光資源を生かし、様々なメディアを活用した集中宣伝や、旅行エージェント、航空会社等とタイアップした多彩な広報宣伝を展開しているほか、観光客のニーズに対応した魅力ある観光ルートづくり等にも努めている。
さらに、鹿児島県を訪れた観光客に、2度、3度と訪ねていただくためには、何より、観光関係業者と県民が一体となって観光客を温かく親切に迎え、良質のサービスを提供することが重要である。そのため、「観光まごころ県民運動」を県民総ぐるみの運動として幅広く展開することとし、その一環として、先般、運動のシンボルとなる「観光まごころワッペン」を作成し、観光関連事業者等が着用することにより、観光客を温かく迎える意識の醸成に努めているところである。
また、海外からの観光客誘致については、アジア諸国に近接しているという鹿児島の地理的優位性とともに、鹿児島・上海間及び鹿児島・ソウル間の国際定期航空路線などを最大限に生かしながら、中国をはじめ、香港、韓国、台湾など、アジアを中心とする海外からの誘客促進を図ることとしている。そのため、アジア各国・地域へのミッションの派遣や、海外旅行博への出展・参加、海外旅行エージェント・マスコミ等の招待、海外旅行エージェント等との連携による新規旅行商品の企画化促進など、各国・地域ごとの旅行動向に応じたきめ細かな誘客対策を推進することとしている。
さらに、「i」システム等の外国入向け観光案内所の充実など、海外観光客を温かく迎え、もてなすための受入体制づくりについても推進していくこととしている。
このように、いま、かごしまの観光は変わりつつあり、特に、平成16年春に予定される九州新幹線鹿児島ルートの開業等により、美しく魅力的な観光地かごしまが、より身近なものになることから、平成15年度においては、熊本県やJR九州等と共同で「九州新幹線開業記念観光キャンペーン」を展開し、本県観光の魅力を広く全国に向けて情報発信することとしている。
今後とも、人・自然・地域とのふれあいによる「ゆっくり・悠・遊やすらぎ空間かごしま」づくりになお一層努めてまいりたい。
|