(4)道路交通について
(1)道路整備の概要
熊本県の道路網は、全国の高速交通ネットワークを構成する九州縦貫自動車道を基幹に、国土交通省直轄管理の県内を南北に走る一般国道3号、東西に走る一般国道57号及び一般国道208号をはじめとし、県管理の一般国道、一般県道及び市町村が管理する市町村道によって構成されている。
2車線以上の改良率は、平成12年4月現在で52%と、全国平均(54%)や九州平均(56%)と比較して低い水準にある。
(a)熊本と九州各県を結ぶ高速ネットワークの整備
本県は、地理的に九州の中央に位置し、これを活かして各県との交流・連携を深め、そのことで県勢の活力ある発展を遂げ、さらには九州全体の発展に資するためには、本県のみならず、各県の連携による九州全体の高速交通網の完成が不可欠である。このため、本県においては、本県の主要施策である熊本都市圏と九州各県主要都市との間を一日行動圏で結ぶ「150分構想」を推進している。
これに関係する九州横断自動車道延岡線は、熊本県御船町と宮崎県延岡市を結ぶ延長約95kmの道路で、うち嘉島JCTから矢部までの区間約23kmは、整備計画区間に指定され、平成10年に事業化、現在着工に向けた調査等が行われている。
また、一般国道3号の自動車専用道路として、熊本県八代市と鹿児島市を結ぶ延長約140kmの南九州西回り自動車道は、熊本県側延長約50kmのうち、これまで八代JCT〜日奈久IC間12kmが開通しており、現在、残りの区間において、精力的に事業が進められている。
既に開通している九州縦貫自動車道においては、人吉IC〜えびのIC間の4車線化工事が進められており、平成13年4月にえびのPA〜えびのIC間、平成14年7月に人吉IC〜加久藤トンネル北側坑口間がそれぞれ完成している。
(b)県内各地域を結ぶ交通ネットワークの整備
都市と地方の円滑な交流を促進し、相互の持つ機能を享受することで、地域の発展を目指すため、本県においては、本県の重要な施策として熊本都市圏及び熊本空港と県内主要都市とを半日行動圏とする「90分構想」を推進している。
特に、天草地域は、陸上交通の中では熊本都市圏から最も遠い地域となっており、「90分構想」の達成を図るため、熊本天草幹線道路の整備を進めており、うち、松島道路(L=3.3km)については有料道路として平成14年5月に開通した。現在事業中の松島有明道路(L=5.4km)及び有明道路(L=4.6km)についても、平成17年度開通を目標に鋭意整備を進めている。
また、観光シーズンなどにおける阿蘇〜熊本市間の交通混雑に対応するため、主要地方道熊本高森線において、平成15年末開通を目標に橋梁やトンネルによるバイパスエ事を進めている。
(2)熊本県の路線バス
熊本県内の路線バスの輸送人員はマイカーの普及、過疎化の進行、少子高齢化の影響もあり、最盛期であった昭和44年以来、徐々に減少している。
当県としては、路線バスが高齢者、学童等のいわゆる交通弱者の生活交通として重要な役割を担っている現状を重要視し、その維持、利用促進に取り組んでいる。
特に地方部においては、平成14年2月に改正された道路運送法の施行に伴う路線バスの規制緩和により、路線からの撤退等の影響が懸念されるところであるが、国、県、市町村による支援もあり、これまでは、大きな影響は出ていない。
一方、都市部においては、平成11年の各社共通のバスカードシステム導入に続き、平成12年12月には熊本市がオムニバスタウンの指定を受け、バス事業者などと連携して、バス専用レーン、バス優先信号の整備、バス停の改善、都心循環バスの運行等バスの利便性向上による利用促進策を実施しているところである。
県としても、地域住民に密着した公共交通機関である路線バスの効率的な維持・振興に今後とも努めていくこととしている。
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