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(3)海上交通について
(1)港湾の概況
 熊本県は、天草諸島を有しているため、熊本港、八代港、三角港の3つの重要港湾と、水俣港を始めとした15の県管理地方港湾、36の市町管理港湾、合計54港の港湾があり、その数の多さでは全国で5番目になる。
 
(2)旅客輸送
 県内ではフェリーや旅客船が、有明海・八代海を中心に運航されている。
 有明海では、県北・県央・天草地域と長崎県の島原地域・長崎市とを結ぶフェリーが中心で、フェリーだけで1日計71便が運航されている。また、熊本港と本渡港とを結ぶ高速旅客船も1日8便運航されている。平成9年に就航した高速旅客船は熊本港〜本渡港間を約1時間で結んでいる。
 八代海では、八代・水俣・芦北地域と天草地域や御所浦町とを結ぶフェリー・旅客船があり、牛深港〜鹿児島県蔵之元港を含め、フェリーが1日36便運航されている。
 離島航路については、天草郡大矢野町の湯島(人口約480人)、天草郡御所浦町(人口約4200人)の御所浦島、横浦島、牧島を中心に20の航路、また、鹿児島県の獅子島と熊本県を結ぶ2つの航路があり、うち6区間については、海上運送法による指定区間となっている。これら離島航路は、いずれの航路も島と本土とを結ぶ重要な公共交通機関として、住民の生活を支えている。
 県内の港湾における乗降数は、平成13年で車輌台数で年間延べ114万台、旅客人数では年間延べ372万人に達しており、今後も旅客船・観光ネットワーク等の充実が求められている。
 
船舶乗降人員・自動車航送台数
港湾統計 国土交通省情報管理部
 
(3)熊本県の港湾ビジョンの策定
 熊本県においては、本年度9月に「熊本県の港湾ビジョン〜新世紀を拓き支えるくまもとの港湾〜」を策定した。
 
◆ビジョン策定の主旨
 財政状況の厳しい中、財政健全化に取り組んでいる本県においては、これまで以上に重点的・効率的な港湾整備が強く求められている。このため、港湾の有する多面的な機能(分野)ごとにその長期的な整備方針を明らかにし、その方針のもとに今後の港湾整備を図るため「熊本県の港湾ビジョン」を策定した。
 
◆熊本県の港湾が目指す方向
 県内の港湾が今後担うべき役割及びそれぞれの役割についての整備方針は以下のとおりである。
 
(1)東アジアを中心に広がる国際コンテナ輸送への対応
 熊本県に大きな影響を与える東・東南アジアとの国際コンテナ貨物、需要へ対応するため、熊本港、八代港において、既存航路の利用拡大、新規航路の誘致及び必要な施設の整備を図る。
(2)原材料など輸入貨物の経済的輸送の確保
 船舶の大型化への対応や効率的な輸送体系を確立するため、八代港において外貿バルク貨物を対象にした大型岸壁の整備を図る。
(3)国内海上輸送ネットワークの形成
 砂・砂利、セメント、石油類といった海上輸送に適した貨物を効率的に取り扱うため、八代港、三角港を始め、熊本港、水俣港、鬼池港などにおいて必要な施設の整備を図る。
(4)静脈物流への対応
 循環型経済社会実現に寄与するため、水俣エコタウン事業と連携して水俣港を静脈物流拠点港として機能整備を図る。
(5)旅客船・観光ネットワークの充実
 旅客船・観光ネットワークの充実を図るため、熊本港、本渡港などにおいて、港へのアクセスや陸上輸送事業者との連携も視野に入れた施設整備を図る。
(6)防災拠点の整備、高潮対策の推進
 災害発生時などにおいて、被災者の避難地や救援・復旧に必要なスペースを確保するため、熊本港、八代港、天草地域の港湾において、耐震岸壁、多目的スペースなど防災拠点港としての施設整備を図る。
 また、高潮対策を推進するとともに、被災想定地区への速やかな情報伝達を可能にするため、気象・海象データ伝達システムの構築を図る。
(7)浚渫土砂処分場の整備及び埋立後の有効活用
 県内港湾浚渫土砂受け入れのため、八代港において浚渫土砂の処分場整備を推進する。また熊本港において新規の埋立てを抑制できるよう既存の浚渫土砂処分場の容量拡大を図る。
(8)その他小型船の係留場所の確保、これまで以上に海域環境に配慮した港湾整備、許認可手続きの電子化を行う。
 
八代港コンテナ埠頭
 
熊本港
 
◆ビジョン実現に向けて
 ビジョン実現に向けては、「熊本県港湾ビジョン」で明確にした、県内の各港湾が担うべき役割、その役割分野ごとの整備方針に基づき、既存施設の有効活用を図るなど、より効率的・効果的な整備の推進を図るため、ソフト・ハード一体となった取組みを進めながらより一層の港湾事業の重点化を図る。







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