(2)航空について
(1)熊本空港の概況
熊本空港は、昭和35年4月に熊本市健軍町の旧陸軍飛行場跡地の一部に1200mの滑走路を有する第二種空港として供用開始。その後、航空旅客需要の増加に対応するため、滑走路を2000mに延長する計画がなされたが、用地買収の困難や騒音問題への憂慮から、移転が計画され、調査が実施された結果、熊本市中心部から東へ20km、阿蘇外輪山高遊原台地の現在の位置へ移転、昭和46年4月に開港した。
開港時2500mの滑走路は、昭和55年4月には、3000mに延長された。しかしながら、当空港は、標高193mの高台にあるため霧が発生しやすく、長年にわたり低い就航率に悩まされてきたことから、平成7年9月に我が国初となる、低視程時でも滑走路までの誘導が可能なCAT―IIIによる運航が始まった。これにより就航率、定時性等は従来に比べ飛躍的に向上した。
また、空港の運用時間については、平成12年4月20日から14時間(7時30分〜21時30分)運用となっている。
(2)国内路線概況
現在、国内定期航空路線及び便数は、東京、名古屋、大阪、関西、沖縄、天草の6路線、28便(東京12往復、名古屋4往復、大阪8往復、関西2往復、沖縄、天草各1往復)が運航されている。
平成13年度の国内定期路線の乗降客数は、約278万人を数えており、対前年比103.5%と順調に伸びている。特に東京線は、旅客数160万人を超え、路線別国内線旅客数で全国9位となっている。
旅客数の推移
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国内定期便就航状況
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(3)国際線概況
熊本空港の国際定期航空路線は、昭和54年9月に熊本〜ソウル線が開設され、週4便(日本航空2便、大韓航空2便)が運航された。しかしながら、平成6年4月から日本航空、平成9年6月から大韓航空が運休している。
しかしながら、熊本県民の海外旅行需要は高く、出入国管理統計年報によると、平成12年の出国者数は16万人を超え、そのうち、韓国には約4万2千人が訪問しており、現在、チャーター便により需要に対応している。
平成13年度の熊本空港発着の国際チャーター便は、9月に米国で発生した同時多発テロの影響により、計画されていたチャーター便がキャンセルされる等の影響があったが、ソウルヘの7便のチャーター便をはじめ、中国、オーストラリア、ヨーロッパ等へ30便(片道べース)が運航された。
平成14年度は、40便を超えるチャーター便が計画されており、うち、インバウンドチャーターがソウルから3便、台湾から3便(初めてエバー航空が熊本空港に乗り入れ)が運航され、約1150名が利用し、本県観光の国際化等の進展に貢献している。
(4)天草空港の概況
天草地域は、天草上島下島を中心として120以上の島が点在し、2市13町から構成されている。以前は、離島振興法の適用を受けていたが、昭和41年の天草五橋の開通により九州本土と陸路で結ばれることとなった。その後、管内の道路網も整備されたが、本渡市から熊本都市圏までは道路距離で約100kmで、県内でも最も遠隔の地であり、県内唯一の高速交通体系空白地域であった。また、盆正月や観光シーズン等混雑期の交通渋滞が著しく、さらに天草から熊本空港、福岡空港までに長時間を要し、他の地域への移動に相当の不便さを伴うなど、住民生活は大きなハンディを負っていた。このような背景から、昭和57年に天草空港構想が正式に表明された後、約20年の歳月を経て、平成12年3月、天草空港は熊本県が設置管理する「その他飛行場」として開港した。
同空港は、本渡市と五和町境の丘陵地に位置し、横風の影響を受けにくいなど立地条件、天草地域の温暖な気候もあり、開港以来97.9%と高い就航率が維持されている。また、空港へのアクセスも、本渡市中心部から車で約10分と近く、利便性にも優れた空港である。
天草空港
〔天草飛行場の諸元〕
基本事項 |
名称 |
天草飛行場 |
所在地 |
熊本県天草郡五和町・本渡市 |
設置管理者 |
熊本県天草空港管理事務所 |
供用開始時期 |
2003年3月23日 |
標高 |
103.5m |
標点位置 |
N32°28′44″・E130°9′40″ |
基本施設 |
飛行場敷地面積 |
約30.6ha |
滑走路(番号) |
1,000m/×30m/W (12/31) |
着陸帯 |
1,120m/L×120m/W |
誘導路 |
73m/L×18m/W |
エプロン(バース数) |
3,600m2 (2バース) |
航空保安施設 |
無線通信施設 |
VOR/DOM |
旅客取扱施設 |
旅客ターミナルビル |
(延床面積 1040.49m2) |
運用時間 |
- |
8:00〜19:00 |
アクセス |
交通機関 |
本渡市内から車:10分、シャトルバス:15分 |
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なお、開港後は、県及び地元市町等で構成する「天草空港利用促進協議会」により、天草空港のPR、キャンペーン活動等、天草空港の利用促進が図られているところである。
(5)天草エアラインの概況
天草空港への乗り入れ航空会社については、当初民間航空会社の方向で調整が進められたが、最終的には、主に県及び地元2市13町出資による第3セクター会社「天草エアライン(株)」を設立(平成10年10月)し、航空機材「ダッシュエイト(39人乗り)」1機により、平成12年3月の天草空港開港と同時に、天草〜熊本、天草〜福岡の2路線に就航している。
天草エアラインでは、福岡路線4往復、熊本路線1往復を運航しており、福岡路線については、就航による時短効果が特に高いこともあり、ビジネス需要が比較的高く、就航以来、堅調な利用状況で推移している。
(6)航空貨物について
平成13年度の熊本空港の貨物取扱量(国内線、積・卸)は年間22,597トンで、全国第9位の取扱量となっている(乗降客数順位(国内線)は年間2,786千人で全国第13位)。
また、本県の代表輸送機関別年間出荷量(産業業種別)は、合計3515万7134トンで、九火内では4位であるが、特徴として航空貨物の割合が高く、福岡県に次いで2位であり、九州全体の約16.5%を占める(2000年全国貨物純流動調査による)。
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