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(3)海上交通について
 
(1)港湾の概況
 佐賀県の海岸線は、延長約350kmに及び、県北部の玄界灘に面するリアス式海岸の松浦沿岸約250kmと、干満差が大きく干潟の広がる県南部の有明海沿岸約100kmに分かれている。
 佐賀県には、重要港湾2港、地方港湾7港があり、すべて佐賀県が港湾管理者である。
 
ア. 唐津港
 県の北の玄関口、重要港湾唐津港は、古くから「唐の津」と称され、大陸との交易の要衝として、また、水産基地として、さらに明治以降は、石炭の積出港として栄えたが、現在は、公共ふ頭や妙見工業団地、臨港道路等が整備され、多くの水産加工関連企業が進出するなど、県北部の物流、水産拠点として重要な役割を担っている。
 また、玄海国定公園の一部をなす港の東部には、西ノ浜を復元する海岸環境整備やヨットハーバーの整備が行われるなど、海洋性レクリエーション基地としても重要性が高まっている。
 今後は、より高い物流・生産・レクリエーション機能を有する総合的な港湾の整備を進める計画であり、この中で、長崎県壱岐とのフェリーのふ頭建設(平成14〜17年度計画)や、東港地区に運河を核としたアメニティの高い水辺空間を創出する「唐津港ウォーターフロント整備」(全体面積6ha、一期工事分平成19年度暫定供用開始目標)を推進するとともに、県、市、民間団体で構成する佐賀県唐津港利用促進協議会(平成13年度設立)を中心に、官民一体となって積極的な唐津港ポートセールスを展開していくことにしている。
 
 
イ. 伊万里港
 重要港湾伊万里港は、江戸時代には「古伊万里」と称された陶磁器が、遠くはヨーロッパにまで積み出されていたが、昭和に入ると石炭の積出港として栄えた。
 その後、県の工業開発の拠点として、臨港地区に工業用地の造成や公共ふ頭が整備され、造船、食品等の企業が立地している。その後、原木、石炭、砂利等多くの貨物が輸入され、国際貿易港として発展してきた。
 平成9年に韓国・釜山港との間にコンテナ定期航路が開設され、コンテナ貨物取扱量は順調に伸びている。
 しかしながら、伊万里港は、湾を挟んで東西に港湾機能が分断されていることから、港湾機能の向上を図るために、国により伊万里港の両岸を結ぶ全長651mの伊万里湾大橋(仮称)の建設が進められており、平成14年度に、暫定2車線での供用を目指している。
 このように、臨港道路を含めた交通アクセスの整備も着実に行われている。
 これからは、今後益々高まる伊万里港の機能と利便性並びにアジアに最も近いというポテンシャルを活かして、既存工業団地への企業誘致を推進するとともに、県、市、民間関係団体で構成する佐賀県伊万里港振興会(平成11年度設立)を中心に、官民一体となって積極的なポートセールスを展開していくこととしている。
 
 
(2)旅客輸送
 本県は、玄界灘と有明海という対照的な二つの海域に面しており、それぞれに独自の自然風土と文化が形成されている。
 玄海諸島の7つの有人離島には9航路が、また長崎県の離島と本県との間に3航路が就航しており、平成13年3月末現在の旅客人員は94万人を数える。
 これらの航路のうち印通寺(壱岐)航路が25万人と最も多く、続いて高島航路が16万人となっている。
 ここ数年、過疎化や少子化の進行に伴い、旅客数は頭打ちの状況が続いているが、いずれの航路も島と本土とを結ぶ重要な公共交通機関であり、「海の道路」として、住民生活に不可欠なものとなっている。
 また、玄海諸島は国定公園に指定されるなど、恵まれた自然・文化資源を有しており、宝くじの宝当神社で知られる高島をはじめ、石割豆腐の神集島、イカまつりの小川島といった各地で展開されている島おこし活動と併せて、海上交通の一層の利便性の向上を通じ、観光客の誘致や、交流人口の増大が期待されているところである。
 







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