日本財団 図書館


特集 佐賀県の運輸と観光
佐賀県空港交通課・観光課・道路課・港湾課
[1] はじめに
 佐賀県は、朝鮮半島に近いという地理的条件により、古くから大陸との交流の窓口の役割を果たしてきている。この地理的に優れた特性をさらに活用して、アジアをはじめとした海外との産業活動や観光等での交流が今後さらに盛んになることが期待される。
 また、有田焼をはじめとした焼き物や、吉野ヶ里遺跡などの観光・歴史資源、また有明海や玄界灘という二つの海や脊振山系など豊かな自然にも恵まれており、県を挙げて観光さがの推進に取り組んでいる。
 平成12年12月に策定した佐賀県総合計画の基本構想においては、「有明佐賀空港を活かした広域的な有明海沿岸地域の人、モノの交流拠点の形成」や「道路、鉄道、バスなどの交通網の整備充実等による県土の一体的発展」を図ることとしており、広域高速交通網をはじめとした多様な交通ネットワークの総合的な整備に取り組んでいる。
 
[2] 佐賀県の運輸について
(1)旅客・貨物流動の現状について
 
 本県における旅客流動量は、平成11年度で約10億人に達しており、県内移動が大部分を占めている。
 県外では、福岡県、長崎県、大分県との間で旅客移動が多く、特に福岡県との間の旅客流動量は県外旅客流動量の約75%を占めており、同県との密接な関係が窺える。
 
佐賀発着旅客流動量
(輸送機関別)
(平成11年度旅客地域流動調査:国土交通省情報管理部)
 
 輸送機関別に見ると、県内旅客流動量のほとんどが自家用車であり、県外は自家用車、鉄道、乗合バス、旅客船、航空の順となっている。
 本県の一世帯当たりの車両数は、平成12年3月末現在で2.09両と全国12位の普及率となっており、自家用車の利用の高さが窺える。
 また、貨物流動量については、平成11年度が約9千4百万トンで、そのうち県内貨物流動量が約30%を占めている。県外においては福岡県が最も多く、長崎県、熊本県が続いている。
 また、輸送機関別に見ると、県内貨物流動量はそのほとんどをトラックが占め、県外貨物流動量においても90%近くを占めている。
 以下、佐賀県の交通体系に係る各分野の状況について述べてみたい。
 
佐賀発着貨物流動量
(輸送機関別)
(平成11年度貨物地域流動調査:国土交通省情報管理部)
 
(2)航空について
 
◆有明佐賀空港の概況
 有明佐賀空港は、昭和44年の空港建設構想の表明以来、約30年の歳月を経て、平成10年7月、佐賀県南部の有明海に面する干拓地に、佐賀県が設置管理する第3種空港(滑走路2000m)として開港した。
 有明佐賀空港の特長としては、空港周辺二十キロメートル以内には航空機の運航に支障となるような山などはなく、気流も安定し、付近に民家もなく騒音問題なども少ないといった理想的な立地条件がある。
 また、北部九州の中央部に位置し、九州の中枢都市・福岡市にも近く、さらに、周辺には広大な土地が広がり拡張も容易であるなど、将来、大きな発展が期待される空港である。
 現在の定期路線及び便数は、東京、大阪、名古屋の3路線、8便(東京2往復・大阪1往復・名古屋1往復)が運航され、開港から平成14年2月末までの定期便の乗降客数は、約125万人を数える。
 また、国際チャーター便も同じく開港以来、中国、台湾、韓国などへ156便が運航され、2万1千人を超える方が利用している。
 特に、本年2月には、近隣の空港からの路線のないベトナムヘの国際チャーター便が運航されたところである。
 県では、有明佐賀空港をさらに利便性の高い空港とするため、東京路線については、平成12年7月から有明佐賀空港での夜間駐機を実施したことなどにより、佐賀・東京双方からの日帰りが可能となった。
 また、平成13年7月には、運用時間をこれまでの11.5時間から14時間に延長したことにより、より柔軟な航空ダイヤの編成が可能となっている。
 
◆福岡空港等との機能分担の推進
 北部九州の航空需要は、福岡空港を中心に増加を続ける一方、福岡空港は、年間の離着陸回数が14万回を超え容量限界に近づいていると言われている。
 
 
有明佐賀空港、福岡空港、新北九州空港の位置
(拡大画面:61KB)
 
有明佐賀空港の概要 主な諸元
設置者及び管理者 佐賀県(第3種空港)
位置 佐賀県佐賀郡川副町
標高 +1.7m
空港敷地面積 約110.7ha
基本施設 滑走路 長さ 2,000m×幅 45m
着陸帯 長さ 2,120m×幅 300m
誘導路 長さ 230m×幅 30m
エプロン 4バース
〃(小型機用) 4バース
保安施設 無線 計器着陸装置、距離測定装置、VHF全方向式無線標識
航空灯火 進入灯、進入角指示灯、滑走路灯など
駐車場(無料) 普通車 706台
身障者用12台
バス9台
タクシー30台
 
 このような中、佐賀県では、有明佐賀空港と福岡空港、さらに建設中の新北九州空港を加えた3空港が機能分担し、増大する北部九州の航空需要に対処することが、当面、最も現実的かつ合理的な方策であると考えている。
 このため、平成14年1月、この機能分担の推進を目的に、県をはじめ、佐賀県及び福岡県南西部の市町村、民間団体など、官民が一体となった「有明佐賀空港機能強化推進期成会」が発足した。
 今後は、平成15年度から始まると想定される国の次期空港整備計画において、この機能分担の明確な位置付けや、福岡都市圏、福岡県南西部とのアクセス道路の整備促進、有明佐賀空港の滑走路の2500mへの拡張などが盛り込まれるよう、国等への提案活動、広報活動などを行うこととしており、官民を挙げて、機能分担への取り組みを強化していく。県では、この機能分担を推進し、路線・便数の充実を図りながら、有明佐賀空港の将来発展につなげていくこととしている。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION