開戦から四日目となったイラク戦争は、米英の地上軍が首都バグダッドにさらに接近するなど一段と緊迫の度を深めた。この戦争がいつ、どのような形で終わるかによっても変わり得るが、日本としてはイラクの戦後復興にどのように対処していくか、「泥縄」の指弾を浴びぬよう今から十分な方策を練っておくべきだ。
日本政府はイラク問題の武力解決支持という「苦渋の決断」をした以上、まずは英米中心の「有志連合」との連帯を強化する一方、国内での報復テロへの備えを強化するなど、足元を一層固める必要がある。
その上で、日本にとっては出番ともいえるイラクの戦後復興にどのような方策を打ち出せるか、復興に際して予想される新たな国際協調、国際秩序づくりにどう対応するかなど、カネだけでなく、技術、人的援助も含めた総合的な準備が必要となろう。
英国のブレア首相は、イラク攻撃は石油利権狙いだとの批判に対し、戦後復興に際しては、「イラクの石油利益はすべて国連信託基金に預け、イラク国民のために使う」と表明した。
一方、カタールにある米中央軍司令部のフランクス司令官は開戦後初の記者会見で、「われわれは占領軍ではなく解放軍だ」と強調し、ある戦闘現場で勝利した兵士が喜びのあまり星条旗を掲げたが、指揮官が「占領軍ではない」として、直ちに旗を降ろさせたというエピソードなども語った。
イラクの戦後復興に自衛隊を派遣できるようにするための新法「イラク復興支援法」(仮称)などは、全力をあげて早期成立を図る必要があるが、戦争の影響を受けている周辺国への人道・食糧援助などは、新法や終戦を待たずに主体的に取り組むことが可能だ。そうすることが今後の日本の国際的発言力にもつながってくる。
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