小泉純一郎首相は二十日午後、イラク攻撃開始を受けて緊急記者会見を行い、「米国の武力行使開始を理解し、支持する」と米英両国などの対応を全面的に支持することを表明した。政府はこれを受けて安全保障会議や臨時閣議、政府イラク問題対策本部の初会合を開き、(1)イラクとその周辺国における邦人の安全確保(2)国内の警戒態勢強化(3)船舶の航行安全確保(4)世界とわが国の経済システム安定(5)被災民への緊急人道支援−の五項目からなる緊急対処方針を決定した。
会見で首相は「イラクは(湾岸戦争から)この間、国連決議を無視、軽視、愚弄(ぐろう)し、誠意ある対応をしてこなかった」と大量破壊兵器の廃棄をめぐるイラクの対応を厳しく批判した。
そのうえで、首相は「大量破壊兵器の脅威は人ごとではない。これが独裁者の手にわたったら大きな危険に直面するとすべての人が感じている」と指摘。「日本もいつ脅威が降りかかるか分からない。米国は『日本への攻撃は米国への攻撃とみなす』というただ一つの国だ」と述べ、国際協調との両立の必要性を強調しながらも、日米同盟を重視する姿勢を鮮明にした。
日米同盟と北朝鮮問題の不可分な関係についても「私はこういう問題についても日米同盟が有効に機能していると思っている」と述べ、初めてイラクへの対応が北朝鮮問題と密接に関連していることを明言した。
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