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2003/04/13 読売新聞朝刊
[社説]イラク戦後復興支援 「いま何をすべきか」で判断せよ
 
 イラク戦争が急速に終結に向かう中で、国際社会の関心は戦後復興に移っている。しかし開戦前に生じた米欧間の亀裂はなかなか埋まりそうにもない。
 川口外相が、英独仏三か国の各外相と会談し、戦後復興へ国連の十分な関与が必要との認識では一致した。だが、復興に関する国連決議では各国の思惑が異なり、当面、採択は困難なことを改めて確認する形となった。
 外相訪欧の狙いは、米欧の関係修復と復興支援の国連決議の可能性を探ることだったが、その狙いは外れた。
 一方、独仏露三か国首脳会談も、戦後復興について、暫定行政機構の設立を含め、国連が中心的役割を担う形で進めるべきだとの立場を再確認した。会談後の共同会見では、三首脳が米国主導で復興を進める構えの米国を牽制(けんせい)するなど、溝の深さをあらわにした。
 日本は、こうした主要国の足並みの乱れを踏まえた上で、復興支援にあらゆるレベルで参加していくという観点から、その在り方を考えていく必要がある。
 イラクの戦後復興では、米軍による軍政、イラク人による暫定行政機構、選挙を経た本格政権という三段階のシナリオが想定されている。
 米軍による軍政では、米国防総省の下に発足した「復興人道支援庁」(ORHA)が民生部門を担当する方向だ。
 民生部門への要員派遣をめぐっては、政府部内にいろいろな議論があるが、日本は、要請があれば応じるべきだ。
 この問題については、福田官房長官の発言が「文民なら派遣は可能」とした後で訂正されるなど、二転三転した。
 「ORHAの復旧活動が、米軍の治安維持と一体化すれば、武力行使を禁じる憲法に抵触しかねない」という慎重論が政府部内に出たことが背景にある。
 世界と日本はいま、憲法が想定したことのない状況に直面している。伝統的な“神学的”憲法解釈手法で、「何ができないか」ばかりを論じる時ではない。憲法も、日本がなすべきことは何か、何ができるかという観点から、前向きに解釈すべきである。
 軍政から、暫定行政機構発足という段階に進めば、日本は自衛隊の派遣を含む本格的参加で、イラクの復興に積極的に協力していく必要が出てこよう。
 国連平和維持活動(PKO)協力法では自衛隊の派遣は難しい。自衛隊も活用できる復興協力のための法制整備を急がねばならない。
 イラク復興支援にできるだけの協力をするのは、米英の軍事力行使を支持した日本政府の責任でもある。
 
 
 
 
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