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2003/04/01 読売新聞朝刊
対イラク「連合」66か国に 20か国増加、対応に違いも
 
 【ワシントン=伊藤俊行】ラムズフェルド米国防長官は三十日のFOXテレビで、イラク戦争を支持する国が、国名未公表分も含めて六十六か国に達したと述べた。米政府は連日、「連合(coalition)」が増えていると訴えており、開戦当初の四十五か国からは二十か国以上増えた計算だ。支持国拡大により戦争の正当性を印象付けようとの米国の戦略だが、湾岸諸国で表だって賛同したのは依然クウェートのみにとどまるなど、「連合」の実態には疑問符も付く。
 国務省が開戦直前の十八日に「連合」を発表した際は、日本、英国、豪州など三十か国と、国名を明かさない十五か国の計四十五か国が構成国とされた。その後、国名公表に同意する国が増え、二十五日の時点で米国自身を含め四十八か国、さらにトンガが加わり、二十七日現在、四十九か国がホワイトハウスの発表した一覧に列記されている。
 ライス米大統領補佐官は二十六日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し、「(名前を公表した)五十近くの国の人口は約十二億三千万人、国内総生産は計約二十二兆ドル、地球のあらゆる大陸から主要人種、宗教、民族を代表している」と強調。英、豪州など派兵国以外についても「オランダの潜水艦はイラクの諜報(ちょうほう)活動や早期警戒に貢献している」などと具体的貢献内容を紹介、「どんなに小さな支援でも戦争の勝利を助け、それぞれに価値がある」とした。
 ブッシュ政権は昨年、新たな安全保障政策の中で、案件ごとに「連合」を作り替える方針を示した。今回の「連合」はその試金石とも言えるが、一覧に載ったソロモン諸島が「あずかり知らない話なので外して」と要望する一幕もあったほか、米軍地上部隊の駐留を拒否して作戦に大きな支障を与えたトルコも名を連ねたままなど、「連合」の性格はあいまいな部分が多い。
 このため、ブッシュ政権の言う「連合」は、一国主義の隠れみのだとの見方も根強いが、一方で、戦争中も地道に“仲間”を増やす努力を続ける米国の姿に、新たな国際秩序づくりへの強い意欲を読みとる向きもある。
 
<イラク戦争支持を新たに表明した国及び国名公表に同意した国>
【欧州】ブルガリア、ポルトガル、ウクライナ
【中南米】コスタリカ、ドミニカ共和国、ホンジュラス、パナマ
【中東・アフリカ】アンゴラ、クウェート、ルワンダ、ウガンダ
【アジア・オセアニア】マーシャル諸島、ミクロネシア、モンゴル、パラオ、シンガポール、ソロモン諸島、トンガ
 
 
 
 
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