第3章 属性情報の付加
3.1 属性情報の内容検討
収集したデータより最終的にはデータベースを構築し、平成16年度にはこれらを利用した日本海海洋データ情報検索システムを構築する予定である。このため、本年度は、最終的なシステムのイメージをある程度念頭に置きながらデータベースの基本設計を行う必要がある。
そこで、図3.1にデータベース構築からシステム作成までの流れを示した。
図3.1 システム構築までの概要
図3.1に示した全体イメージに基づいて属性情報のデータベースを作成するにあたっては、以下の2種類の型式を作成することとした。
(1)観測インベントリー情報
(2)観測プロジェクトのインフォメーションに関する情報
なお、上記の2項目に対しては、(1)の中に「観測プロジェクト」の項目を設けることにより関連性を持たせるものとする。
(1)観測インベントリー情報
(1)のインベントリー情報の具体的な項目については、CSR(航海概要報告)に主要な観測情報項目が整理されているので、原則としてこの項目に準ずるものとした。図3.2にCSRの一例を示す。なお、CSRに記載されている「係留、海底設置機器および漂流システムの概要」「測定とサンプル採取の概要」のうち、主調査者及び記事に関しての項目は詳細な記述となるので除外した。
更に、これに加え以下の情報を付加した。
・インベントリー情報の情報源
・測点図の有無
・係留、海底設置機器および漂流システムの観測(投入)地点の緯度、経度
・データ保管機関の情報又はデータ所有機関の情報
・観測を行った国
この結果、属性情報として付加する項目は、表3.1に示すとおりとした。
また、CSRのうち「測定とサンプル採取の概要」に記載されている情報については、CSRのデータタイプ別(表3.2参照)にデータ数を記載した。なお、情報源によっては、データタイプのコードに分類できない場合や観測数が不明な場合も存在する。従って、以下に示すような手法を取ることとした。
(1) |
データ項目は明確であるが、その観測数が不明または計数不可能な場合にはそのデータ項目に「X」を入力する。 |
(2) |
データ項目を明確に分離できない、または、不明な場合には、以下の分野毎に区分したコードを新たに設定し、その欄に「X」のデータを入力する。 |
・海洋物理分野の観測 (H)
・海洋力学分野の観測 (D)
・海洋化学分野の観測 (C)
・海洋汚染分野の観測 (P)
・海洋生物分野の観測 (B)
(拡大画面:303KB) |
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図3.2(1)CSR(航海概要報告)の一例
(拡大画面:288KB) |
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図3.2(2)CSR(航海概要報告)の一例
(拡大画面:277KB) |
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図3.2(3)CRS(航海概要報告)の一例
項目 |
内容 |
共通項目 |
CSRの記載項目 |
照会番号 |
CSR情報のJODCにおける照会番号 |
船名 |
データを収集した船舶のフルネーム |
船種 |
データを収集した船舶の種類 |
航海番号 |
航海の固有番号、名称または略称 |
航海期間 |
出港日と入港日 |
出港地 |
出港した港の名称 |
帰港地 |
帰港した港の名称 |
担当機関 |
航海の観測計画を作成した調査機関の名称 |
観測責任者 |
航海中観測を担当した者(観測班長)の名前と所属機関 |
調査海域 |
航海中にデータを収集した海洋または海域の名称 |
特定海域 |
調査が或る海域の特定区域に集中した場合、その区域のローカルな海域名、海底地名、または地理座標 |
調査範囲 |
MSQの海域番号図による |
交換制限 |
データ交換に制限がある(Yes)か、否(No)か条件付き(In Part)かを示す |
プロジェクト名称 |
航海が共同プロジェクト(または調査、計画)の一部であるならば、その名称 |
調整機関名 |
上記プロジェクトの調整機関名 |
航海の目的と簡単な報告内容 |
収集されたデータを有効利用に供するための、航海の目的と性格についての情報 |
(データ項目) |
データタイプ |
データリストのコード(表3.2参照) |
データ数 |
収集されたデータの量、または推定量 |
追加項目 |
情報源 |
インベントリー情報の情報源 |
測点図の有無 |
情報源における測点図の有無 |
観測位置 |
係留、海底設置機器および漂流システム等の観測(投入)地点の経緯度 |
データ所在情報 |
データ保管機関またはデータ所有者(機関)の情報 |
観測国 |
観測機関が所属する国名 |
|
CSRの記載事項は、「海洋調査報告一覧」(2001)より引用
表3.2(1)データタイプのコードリスト(CRS)
海洋物理 |
H |
01 |
連続水温記録(表面) |
H |
02 |
連続塩分記録(表面) |
H |
03 |
不連続水温記録(表面) |
H |
04 |
不連続塩分記録(表面) |
H |
09 |
各層観測 |
H |
10 |
STD/CTD |
H |
11 |
航行中表面下測定 |
H |
12 |
MBT |
H |
13 |
XBT |
H |
14 |
音速観測測定 |
H |
15 |
音響観測測点 |
H |
16 |
透明度 |
H |
17 |
光学 |
H |
18 |
拡散 |
H |
19 |
DBT |
H |
71 |
航行中表層測定 |
H |
72 |
サーミスタチェーン |
H |
73 |
地球化学的トレーサー |
|
|
|
海洋力学 |
D |
01 |
流速計による観測 |
D |
02 |
上記観測時間(日) |
D |
03 |
船の偏流による海流測定 |
D |
04 |
GEK |
D |
05 |
ドリフティングブイ |
D |
06 |
中立ブイ |
D |
07 |
海流カード |
D |
08 |
海流ビン |
D |
09 |
海面高測定(新コード) |
D |
09 |
潮汐観測(旧コード) |
D |
10 |
測器による風波・うねり |
D |
71 |
カレントプロファイラー |
D |
72 |
機器による波浪観測 |
D |
73 |
その他 |
|
|
|
海洋生物 |
B |
01 |
基礎生産力 |
B |
02 |
植物プランクトン色素 |
B |
03 |
成形浮漂物 |
B |
04 |
懸濁態有機炭素 |
B |
05 |
懸濁態有機窒素 |
B |
06 |
溶存有機物 |
B |
07 |
浮遊バクテリア・浮遊微生物 |
B |
08 |
植物プランクトン |
B |
09 |
動物プランクトン |
B |
10 |
水表生物 |
B |
11 |
遊泳動物(脊椎動物) |
B |
12 |
遊泳動物(無脊椎動物) |
B |
13 |
浮遊卵稚仔 |
B |
14 |
浮魚 |
B |
15 |
両生類 |
B |
16 |
底生バクテリア・微生物 |
B |
17 |
底生植物 |
B |
18 |
底生動物 |
B |
19 |
有用底魚 |
B |
20 |
有用底生軟体動物 |
B |
21 |
有用底生甲殻類 |
B |
22 |
付着植物と藻類 |
B |
23 |
潮間帯生物 |
B |
24 |
せん孔生物と汚損生物 |
B |
25 |
鳥類 |
B |
26 |
哺乳類と爬虫類 |
B |
27 |
深海散乱層 |
B |
28 |
海生生物による音響反射 |
B |
29 |
生物音 |
B |
30 |
生物発光 |
B |
31 |
ビタミン濃度 |
B |
32 |
アミノ酸量 |
B |
33 |
炭化水素濃度 |
B |
34 |
肥質量 |
B |
35 |
ATP-ADP-AMP量 |
B |
36 |
DNA-RNA量 |
B |
37 |
標識漂流 |
B |
64 |
漁具測定 |
B |
65 |
試験漁業 |
B |
71 |
粒子状有機物 |
B |
72 |
生化学観測(脂質、アミノ酸) |
B |
73 |
セジメントトラップ |
B |
90 |
その他生物学/漁業観測 |
|
各コードは、「海洋調査報告一覧」(1975−2001)より引用
表3.2(2)データタイプのコードリスト(CRS)
海洋化学 |
H |
21 |
溶存酸素 |
H |
22 |
酸塩 |
H |
23 |
全リン |
H |
24 |
硝酸塩 |
H |
25 |
亜硝酸塩 |
H |
26 |
ケイ酸塩 |
H |
27 |
アルカリ度 |
H |
28 |
ph |
H |
29 |
塩素量 |
H |
30 |
微量元素 |
H |
31 |
放射能 |
H |
32 |
同位元素 |
H |
33 |
溶存ガス |
H |
74 |
二酸化炭素 |
H |
75 |
全チッ素 |
H |
76 |
アンモニア |
H |
90 |
その他 |
|
|
|
海洋汚染 |
P |
1 |
粒状懸濁物 |
P |
2 |
重金属 |
P |
3 |
石油残 |
P |
4 |
塩素化炭化水素 |
P |
5 |
その他の溶存物質 |
P |
6 |
熱汚染 |
P |
7 |
生化学的酸素要求量 |
P |
8 |
硝酸塩 |
P |
9 |
微生物 |
P |
10 |
排水:その他 |
P |
11 |
変色水 |
P |
12 |
海底沈殿物 |
P |
13 |
汚染生物 |
P |
90 |
その他 |
|
各コードは、「海洋調査報告一覧」(1975−2001)より引用
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