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協力者の方々の声
「青少年の更生保護問題に参加させて頂いて」
(社)日本中国料理協会 技術顧問
名誉地区本部長 伊藤 理夫
中国料理かっぱ園菜館店主
 お仕事とは言え更生保護事業に関するあらゆるご努力は大変な事と推察申し上げます。私に至ってはまだまだ経験も浅くお話させて頂く程成果があがっていないのですが2・3の例を取り上げさせて頂きます。
 義務教育もそこそこといった14・5才の少年達に自分の将来を如何に過ごすか決めなさいというのは酷な事と思えてなりません。本人と親を前に中国料理と調理場の実態、そしてあこがれだけでは絶対無理という現実等々あらゆる観点からお話させて頂くと、自分の描く夢とのギャップの大きさに親子とも腰がひけている様に見受けられます。そうした親に接していると何としても自分の子供を立派な社会人として復帰させようという信念が私には伝わってこないのが現実です。対話のキャッチボールの乏しい家庭環境が少なからず子供に影響しているのではないでしょうか?
 解決策としては、まず親にご協力して頂き心を鬼にして辛抱する事、他人と共存する事を教えて頂きたいと思います。そして共々に歩む事がクリア出来たら必ず立ち直って行ってくれるものと信じ、私達も少年達の目線にたって努力して参りたいと思います。
 
「結果報告と反省及びこれからの取り組み」
「中国料理北京」店主 高 共泉
 昨年10月中旬に少年(15才)を洋食店に紹介しました。本人も料理を作るのが好きでありました。入店当初は一生懸命に勤務していましたが、年の暮れあたりから体調が悪いなどの理由で休みがちとなり、正月明けより出勤せず協力者の方には多大な迷惑をかけました。
 今思えば、当時の彼に対する私たちの考え方及び接し方にも問題があった様な気もします。
 今後は、彼らにまず心のケアを第一に考え、大人の常識を押しつけずに、本人の得意なことを見いだし、職に就かせるよう協力者と共にコミュニケーションを計り、人生における社会の道徳を悟ってもらいながら社会復帰してもらえればと思っております。
 『彼を更生させるのではなく、彼は今、更生した。』これで良いのではないかと思います。
 
「これまでの取り組みを振り返って」
社団法人日本中国料理協会
九州地区本部長 白石明男
 中国料理調理士養成プログラムの協力者として平成13年度以降、10数人の若者達と接してきました。今日、業界を取り巻く環境は商品の多様化やデフレの進行による価格破壊など厳しい現実に直面しています。人が生きるために必要とする食物、これを作るのが調理人の仕事です。それはだれにでも出来るし、なれます。しかし大きな決め手、ポイントがあります。それはただ1つ。その人の固い決意、意志です。これなくしてはどんなすばらしいお店、職場があったとしてもだめです。石にかじりついてでもやりとげる強い意志、これがすべてを決める。継続は力なり、とにかく続ける事です。これ以外に道はありません。このように厳しい道ではありますが1人でも多くの方が本プログラムの実施に参加され、調理士にチャレンジされることを願います。そこから又新しい道が開けると信じます。







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