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4.調査研究の成果
4−1. 計測結果
 HCFC−22、R−404A各ユニットの加熱除湿運転でのデータと、機器試験データと理論値より計画設計したデータを比較した結果を下表に示す。
 
表4. 計測値・計画値比較表(コンプレッサー冷凍能力における)
加熱除湿運転 HCFC−22 R−404A
計測値 計画値
(カタログ値) 
計測値 計画値
(カタログ値)
data1 data2 data1 data2 data3 data4 data3 data4
圧縮機入口状態(冷媒)                
圧力 絶対圧 MPa 0.35 0.34 0.34 0.33 0.36 0.34 0.35 0.34
(飽和温度) −10.5 −11 −10.5 −11 −15 −16.5 −15 −16.5
計測温度 1 2.8 1.5 1
(過熱度) 11.5 13.8 31.5 32 16.5 17.5 34 34.5
(比容積) m3/kg 0.072 0.075 0.079 0.080 0.059 0.063 0.064 0.068
(冷媒循環重量) kg/h 240.8 231.2 220.3 216.2 293.9 275.2 271.4 256.1
(エンタルピー) kJ/kg 409 410 421 421 374 374 392 392
                   
圧縮機出口状態(冷媒)                
圧力 絶対圧 MPa 1.75 1.77 2.47 2.47
(飽和温度) 45.5 46 53.5 53.5
(計測温度) 109.1 112.1 97.2 101.7
(エンタルピー) kJ/kg 475 475     447 451    
                   
計測圧縮機必要軸入力 W 4284 4177 4441 4459 5963 5890 5038 5008
再熱器入口状態(冷媒)                  
温度 104.2 106.5     94.4 98.2    
                   
再熱器出口(冷媒)                
圧力 絶対圧 MPa 1.74 1.77 2.45 2.46
(飽和温度) 45.3 46 45.3 46 52.5 53 52.5 53
計測温度 38.2 39.4 39.1 38.5
(過冷却度) 7.1 6.6 13.4 14.5
(エンタルピー) kJ/kg 248 250 258 260 259 258 282 283
                   
(実測/計画冷却容量) kJ/h 38774 36992 35958 34875 33798 31928 29850 27944
                   
(再熱器負荷) kJ/h 54188 52021.3 51937 50920.6 55254.4 53120.1 47979.5 45964.7
※( ): カタログデータ、物性値、モリエル線図より算出
 
4−2. 計測データの妥当性の検証
 計測データより除湿機の冷凍サイクルでの冷凍能力をコンプレッサー単体の能力データと比較して、運転状態が妥当であったか検証する。
 HFCユニットでは過熱度約17℃過冷却度約14℃、HCFCユニットでは過熱度約12℃過冷却度約7℃であり、コンプレッサーのカタログに基づく計画値能力と計測値能力には差は出てくるが、計測値における過冷却分のエンタルピーを差し引いて考えれば、実機での能力はコンプレッサーのカタログ値に近い状態での運転が行われたと考えられる。(コンプレッサーのカタログ上での能力は過冷却度:0°F=0°C、吸入ガス温度:65°F=18.3°C)
 
4−3. 同仕様の機器におけるの冷却容量の比較
 計測データは計画値に近い状態で運転している事を確認し、冷却容量を比較する。装置は膨張弁を除いて全て同一のもので構成されており、熱交換器の仕様及び形状も同じであることを考慮し、再熱器での実際の熱負荷(容量)を基準として能力の検証を行う。
 表4の結果より再熱器(凝縮器)熱負荷は圧縮機の軸動力と冷却容量との和で算出される。HCFC−22とR−404Aの計測値を比較すると再熱器熱負荷はR−404Aユニットの値が大きくなっているが、圧縮機軸入力もHCFC22ユニット機の値より大きい為、実際の冷却容量はHCFC22ユニットでの方が大きくなっている。
 これより、同じ容量・能力の装置に異なる冷媒を導入(ドロップイン)した事として検証すると、今回のHCFC22にR−404Aを導入した場合、テスト機システムでの加熱除湿運転においてHCFC22での運転時の冷凍能力に対し、約15%の冷凍能力の低下が見られた。
 冷凍能力の低下する要因は、圧縮機軸入力がR−404Aユニットでは大きく、凝縮負荷が増大し、同じ冷凍能力を確保するため同じ容量の再熱器(凝縮器)を用いた場合、凝縮圧力が高くなる為である。
 本来のHCFC22を用いたシステムの能力に対しての同等の冷凍能力を確保するには、凝縮器ファンの風量を増大し、凝縮器容量を大きくする必要がある。
 また、コスト面では、冷媒、潤滑油及び膨張弁が要因となりR−404A機が割高となる。
 
4−4. 今後の検討課題
 1997年に温室効果ガスの排出削減量及び削減期間を定めた京都議定書により、日本においては二酸化炭素換算での総排出量で2008〜2012年の間に基準本年度(1995年)の少なくとも6%削減を目標に定められた。それにより、オゾン破壊係数がゼロであると共に地球温暖化係数が小さく、空調用のエネルギー効率の高い汎用性が見込まれる冷媒R−407Cを使用した機器への移行が今後の課題として考えられる。
 
注記)
地球温暖化係数(CO2=1)
  HCFC−22=1,700
R−404A=3,300
R−407C=1,500







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