日本財団 図書館


4. 調査研究の成果
4.1 まとめ
(1)設計値の妥当性
 モデル機の試験結果と比較し、設計時に考慮した以下の項目についての妥当性を検証した。
・電機子反作用について
 負荷時の励磁電流が設計値に対し下記のように非常に近いことより、考慮した係数が正しいとする。
設計値・・・54.0A
実測値・・・53.5A
・漏洩磁束について
 
無負荷飽和曲線
 
 上記無負荷飽和曲線からもわかるように、設計値に対して実測値がほぼ重なった形となったことより、主磁束の漏洩、等価的な磁路長さ、各部の磁束密度等が設計値にほぼ等しいことが判断できる。よって、漏洩係数に付いても正しいと判断する。
・高効率
 円筒型回転子から突極型回転子へと構造を変更し、又ファン径を下げる等で以下のような効率となった。
突極型モデル機 実測値・・・93.0%(設計値92.8%)
円筒型 実測値・・・91.1%
(資料−3参照)
 同容量の円筒型回転子の発電機に比べ2%ほどの効率UPとなった。
・AVRの比較試験
 アナログAVRとデジタルAVRで比較試験を行なった所、制御上特に遜色ない結果を得ることができた為、調整が容易で且つ高性能なデジタルAVRを採用することとした。
(2)低コスト化
・工数の削減
 円筒型回転子の巻線作業は、電線を予め所定の長さのループに巻いてコイル状にしておき、このコイルを回転子の磁極部周りの間隙に手作業で挿入しつつ、コイルを磁極部に装着するほぼ人員による手作業となっている。また、コイルの挿入にはハンマーや金のヘラ等を使用するため熟練作業者でないと電線に傷が入り、絶縁不良の原因にもなり兼ねない。
 今回、新規に制定した突極型回転子には、昨年当社と巻線機メーカで共同開発した自動巻線装置を用いて製作することで、円筒型回転子に比べ回転子巻線工数が1/3になることに成功した。
 この自動巻線装置は、電線ドラムより直接、突極部に電線を装着させるもので、円筒型回転子のように電線を予めコイル状にすることも、手作業で挿入することも省かれる。また手作業が自動化となったことで作業者によるバラツキや不慮の傷が大幅に減少され、より品質の安定度が増し、また製品の均一性が達せられた。
(資料−1参照)
 
4.2 今後の課題
 今回の研究開発の目的である高効率及び低コスト化ということに関し、先にも述べたように巻線作業の自動化等によって回転子巻線工数を1/3に成功し、また2%近い高効率となった。しかし、材料費の占める割合がまだまだ大きく、材料の選定に問題を残す形となった。故に、今後の更なるコストダウンには部品材料の見直しや材質の変更に着目して行きたいと考える。また高効率に関しては冷却効率向上等がその要因となる為、今回出来なかったファン形状の解析や通風面積と圧力損失の関係等更に踏み込んだ解析及び確認試験を行い、高効率を目指して行く所存である。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION