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第10章 電気設備
第1節 通則
(発電設備)
85.0(a)「小型船舶の推進、排水その他の安全性に直接関係のある補助設備」とは、次のような設備に使用するものとすること。
(1)冷却水ポンプ、潤滑油ポンプ、燃料油移送ポンプ、空気圧縮機等推進機関の運転に直接又は間接的に関係のある設備
(2)セルモータ
(3)操だ設備
(4)ビルジポンプ
(5)船灯
(6)揚錨設備
(7)係船設備
(8)無線設備
(b)「必要な電力を十分に供給できる発電設備」とは、次に適合するものとすること。
(1)沿海区域(限定沿海区域を除く。)を航行区域とする小型船舶にあっては、充電装置付の発電機及び航行中に点灯するすべての航海灯に対し16時間以上給電できる蓄電池よりなるもの。ただし、蓄電池の容量は、夜間の航行時間を考慮して適宜減少しても差し支えない。
(2)限定沿海小型船舶又は平水区域を航行区域とする小型船舶にあっては、すべての船舶の推進、排水その他の安全性に直接関係のある電気設備に対して十分な容量の電力を給電できる能力を有するほか、いかなる場合でも航行中に点灯するすべての航海灯に対して6時間の給電能力を有する蓄電池よりなるもの。
(性能及び構造)
88.1(a)「その使用目的に応じた十分な性能を有するもの」とは、それぞれ次に適合するものとすること。なお、以下88.1において使用する用語の定義は、設備規程第174条に定めるところによる。
(1)発電機及び電動機
i)負荷試験を行い、温度上昇が表88.1〈1〉に掲げる値を超えないものであり、かつ、異常な振動、有害な火花の発生(整流不良等による)のないもの
 
表88.1〈1〉発電機及び電動機の温度上昇限度(度)
(基準周囲温度の限度45℃)
  A種絶縁 E種絶縁 B種絶縁 F種絶縁 H種絶縁
電動機又は発電機の部分 温度計法 抵抗法 押込温度計法 温度計法 抵抗法 押込温度計法 温度計法 抵抗法 押込温度計法 温度計法 抵抗法 押込温度計法 温度計法 抵抗法 押込温度計法
固定子巻線 45 55 55 60 70 70 65 75 75 80 95 95 100 120 120
絶縁された回転子巻線 44 55 - 60 70 65 75 80 95 100 120
(注) 温度測定方法はJIS C 4004 の定めるところによる。
 
ii)定格速度の120%の速度で1分間の過速度試験を行い支障なく運転できるもの
iii)絶縁抵抗試験を行い、次の値以上あるもの
絶縁抵抗=(定格電圧×3)/(定格出力(kW又はkVA)+1000)MΩ
(2)変圧器定格出力で負荷試験を行い、温度上昇が表88.1〈2〉の値を超えないもの
 
表88.1〈2〉温度上昇限度(度)
(基準周囲温度の限度45℃)
部分 測定方法 A種絶縁 E種絶縁 B種絶縁 F種絶縁 H種絶縁
巻線 乾式変圧器 抵抗法 55 70 75 95 120
油入変圧器 抵抗法 60
温度計法   45
鉄心表面 温度計法   絶縁物を損傷しない温度
 
88.2(a)「通常の使用に際して、取扱者に危険を与えない構造のもの」とは、居住区に設置する変圧器にあっては乾式自冷式のものとすること。
88.4(a)「爆発若しくは引火しやすい物質が発生し、蓄積し、又は貯蔵される場所」とは、ガソリンタンクを設置している区画、ぺイント類を貯蔵する場所等をいう。
 なお、第24条第6項に規定する十分な能力を有する排気式機械通風装置を備え付けた区画は、本条第4項に規定する場所とみなさなくてよい。
(絶縁抵抗)
89.0(a)「検査機関の適当と認める値」とは、それぞれ次の値を標準とすること。
(1)回転機
絶縁抵抗=(定格電圧×3)/(定格出力(kW又はkVA)+1000)MΩ
(2)電 路 0.1MΩ
(3)配電盤  1MΩ
 
第2節 蓄電池
(蓄電池室及び蓄電池箱)
90.1(a)「適当な換気装置を備え付けた蓄電池室」又は「通風良好な場所」とは、次のものをいう。
(1)当該区画内で充電を行う場合以下のいずれかの条件を満足している場合
i)24.2(a)に適合する場所又は24.6(c)の要件を満足する場所
ii)機関室
iii)常時換気されている旅客室等であって十分な広さの区画(この場合、設置されるバッテリーは小型のもの(12Vに換算した合計容量が5m3の区画で70Ah、10m3の区画で120Ah程度までを標準とする。)に限る。)
iv)発生した水素が発火源と接触する危険のない方法でバッテリーから暴露部に直接、かつ、確実に導かれている蓄電池室
(2)当該区画で充電を行わない場合適当な換気口(1個でも差し支えない。)が設けられていること。
 
第3節 配電盤
(材料及び構造)
92.1(a)「難燃性のもので非吸湿性のもの」とは、エボナイト、鉄板等とすること。なお、難燃処理及び非吸湿性の処理をした合板は、本項に適合しているものとみなして差し支えない。
92.2(a)「回路の過電流を自動的にしゃ断できる装置」とは、ヒューズであっても差し支えないものとすること。
92.3(a)「必要な計器類」とは、表92.3〈1〉に適合するものとすること。
 
表92.3〈1〉
発電機の種別 計器類 備考
直流式発電機 電圧計 充電専用の発電機にあっては、充放電の状態を確認できるものでもよい。
航行中に利用できる計器類が発電機本体等に設置されている場合は当該計器類を省略してよい。
交流式発電機 電圧計
 
(取扱者の保護)
93.0(a)「感電防止のための措置」とは、絶縁マット、手すり等とすること。
 
第4節 電路
(電線)
94.0(a)「ケーブル」とは、JIS C 3410「舶用電線」及びJIS C 3401「制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル(CVV)」に適合するもの又はこれと同等以上の効力を有するものとする。
(b)「キャブタイヤケーブル」とは、JIS C 3312「ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル(VCT)」に適合するもの又はこれと同等以上の効力を有するものとする。
(c)ただし書を適用するものは、定格電圧35ボルト以下の給電路に使用されるJIS C 3406「自動車用低圧電線(AV)」の規格に適合するもの又はこれと同等以上の効力を有するもので、水、油、ビルジ等のはねかえり又は浸水のおそれのない場所、爆発若しくは引火しやすい物質が発生し又は蓄積するおそれのない場所並びに他動的損傷及び熱による傷害をうけるおそれのない場所に布設されるものとすること。
(電路の接続及び固定)
96.0(a)「適当な方法により接続し」とは、定格電圧35ボルト以下の電路に用いられるJIS D 5403(自動車用電線端子)のうち、ギボシ端子(スリーブ等で完全に絶縁されているもの)、差込形プラグで抜けどめ装置を有するもの又はスリーブジョイント式(単線に用いられるもの)で絶縁スリーブ等により完全に絶縁されているものとするか、又はこれと同等以上の効力を有するものとすること。なお、定格電圧が100ボルト以上の電路の接続は、接続箱、分岐箱又は端子箱を用いるか、又はスリーブ等で保護するものとすること。
 
第5節 電気利用設備
(露出金属部の接地)
97.0(a)「検査機関が当該小型船舶の船質等を考慮して差し支えないと認める場合」とは、木及び強化プラスチック等不導体の材料で作られた船体の小型船舶において使用する場合をいう。
(航海灯)
98.2(a)「各灯ごとに独立のもの」とは、航海灯制御盤に各灯ごとに開閉器を設けるか、又はヒューズを設けたものとすること。
(電熱設備)
99.0(a)「通常の使用状態において火災の生ずるおそれのないもの」とは、市販の電熱器を可燃物から離れた場所に固定し、取扱者が支障なく作業できるように保護したものとすること。
 
○附属書[13]法第4条に基づく無線電信等に関する関係規則の解釈等について
 法第4条に基づく無線電信及び無線電話(「無線電信等」という。以下同じ。)については、法第32条の2、船舶安全法第32条の2の船舶の範囲を定める政令、施行規則、設備規程第8編、船舶設備規程第311条の22第1項第3号の無線電信等を定める告示(以下「告示」という。)の定めるところによる。
 施行規則、設備規程等の関連する規定については、以下によること。
1. 施行規則
(無線電信等の施設の免除)
4.1(a)「無線電信等を施設することを要しない船舶」として許可するにあたっては、次によること。
(1)第1号の許可は、個々の船舶について航行しようとする航路における海岸から船舶までの最大距離、航海の長さ等、一般的な航行上の危険の有無その他安全に関する影響を考え、かつ、その免除が当該就航航路付近すべての船舶の安全のための遭難救助業務に対する影響も併せて慎重に行うこと。
(2)第1号の許可の期間は、許可後最初に行われる定期検査又は中間検査のうちいずれか早い時期までとする。ただし、許可を受けた日数と許可を受けようとする日数の合計が1月1日から12月31日までの1年間を通じて3O日を超えないこと。
(3)第2号の許可をするときは、次の条件を満たしていること。
i)当該船舶の運航を行っている事務所(以下「事務所」という。)において、当該船舶の就航する航路全般にわたり、当該船舶の状況を確認できるよう適切な運航管理がなされていること。(出港したあと、到達するまでの時間が遅延したこと等により異常が発見されないような運航形態をとっている場合は、同号により許可することはできない。)
ii)「発航港」と「到達港」は、船舶から事務所に汽笛、信号紅炎等により連絡することができる距離にあること(発航港及び到達港それぞれに事務所があるものにあっては3海里、発航港又は到達港のいずれかにのみ事務所があるものにあっては1.5海里を標準とする。)。なお、本規定により難い場合には、関係書類を添付のうえ、本部まで伺い出ること。
(4)第3号の「母船」とは、漁船特殊規則第5条第3号又は設備規程第169条の22第1項の母船にかかわらず、搭載船を搭載している船舶をいう。また、「母船の周辺のみを航行する搭載船」とは、常に母船と連絡することができる通信設備を備えるものであって航行区域が母船の周辺に限定されているもの又は航行上の条件として航行する範囲が母船の周辺に指定されているものとする。
(5)長さ24m未満の帆船は、第5号の「特殊な構造を有する船舶」に該当するものとして取り扱うこととし、許可に当たっては、小型帆船特殊基準又は多胴型小型帆船特殊基準を満たしていることを条件とする。
(6)第6号の「無線電信等に代わる有効な通信設備」とは、パーソナル無線、トランシーバー等をいい、許可に当たっては、常に陸上との間で連絡を行うことができる範囲内のみを航行することを条件とする。
(b)第1項第2号及び第6号に基づき無線電信等の施設を免除する場合は、無線施設免除申請書に記載された航行しようとする航路に基づき、具体的航路又は水域を指定して当該船舶の航行区域を定めること。
(無線電信等の施設の適用除外)
4−2.0(a)第2号の「試運転」とは、第44条に規定する試運転をいう。
(その他の航行上の条件)
12.1(b)第4条第1項第6号の規定により、無線電信等を施設することを要しないとされた船舶については、次に掲げる事項を航行上の条件として指定すること。
(1)4.1(a)(6)でいう「無線電信等に代わる有効な通信設備」(以下「代替設備」という。)のうち、固定して施設されないものを備える船舶にあっては、航行する際には当該代替設備を備え付けなければならないこと。
(2)代替設備のうち、固定して施設されるものを備える船舶にあっては、当該代替設備を撤去してはならないこと。
(3)アンテナを固定して施設するものにあっては、当該アンテナを移設してはならないこと。
(4)当該代替設備を改造してはならないこと。
(小型遊漁兼用船の施設)
13−2.1(a)「指示」に当たっては、当該船舶が漁ろうを行わない間に航行する水域に応じて無線電信等を備えることとする。なお、当該無線電信等は、漁ろうを行う間、必ずしも常に陸上との間で連絡ができるものである必要はない。
(無線設備の保守等)
6O−5.0(a)小型船舶にあっては、本条の規定は適用しないこととして差し支えない。







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