日本財団 図書館


附属書F. 整備基準等(GMDSS航海用具関係)
7. ナブテックス受信機整備基準
7.1 適用
 この基準は、ナブテックス受信機について、整備を行う場合に適用する。
7.2 整備の方法
 ナブテックス受信機の整備は、これを備え付けている船舶の定期検査又は中間検査の時期に行い、電波法に基づく無線局の免許状を有する場合にはその搭載船舶及び免許人の氏名又は名称が免許状に記載されるとおりであること並びに次の事項について確認する。
7.2.1 外観点検
−1. 構成品等の点検
 本体、プリンタ、予備品等の構成品、操作説明書及び保守のための資料が完全な状態で揃っているかを点検する。
−2. 表示の点検
 ナブテックス受信機の本体の(i)名称、型式、型式承認番号、製造年月、製造番号、製造者名、検定印又は証印、(ii)操だ室に装備する機器にあっては磁気コンパスに対する最小安全距離の表示が適切なものであり、かつ、見易い箇所になされ、かすれて見えにくくなっていないかを点検する。
−3. 空中線の取付状況に異常がないことを確認する。
−4. 主要部のコネクタの取付状況、ねじ類の締付状況、アースの状態に異常のないことを確認する。
−5. 表示灯の断線、操作のつまみの欠落等のないことを確認する。
7.2.2 電源装置の効力試験
−1. 主電源から受電可能であること及び電源電圧が規定値以内であることを確認する。
−2. 代替電源からも給電されている場合は、電源電圧が規定値以内であること及び代替電源への切換が素早くできることを確認する。
7.2.3 受信装置の効力試験
 メッセージを受信できることを確認する。ただし、受信不可能な場合は直近の受信記録等の確認をもってこれに代えることができる。
7.2.4 信号処理装置・制御部の性能試験
−1. メッセージIDの記憶試験
 同じメッセージIDを持つメッセージは2度目からは印字されないことを直近の受信記録(4時間以上)等により確認する。
−2. メッセージIDの設定試験
(1)受信からはずす海岸局及びメッセージカテゴリーの設定を行った後、これらの内容設定されていることを確認する。
(2)電源を短時間(1分間程度)断にした後、電源を入れ、設定された内容(例えば受信からはずした海岸局及びメッセージカテゴリー)が消去されていないことを確認する。
−3. プリンタ部の効力試験
 直近の受信記録等により、以下の確認を行う。
(1)プリンタに打ち出される1行の文字数が32文字(日本語ナブテックス受信機にあっては30文字)以上であることを確認する。
(2)紙切れと同じ状態を強制的に作り、紙切れの警報の出ることを確認する。
(3)行の最後で自動的に復帰改行すること、自動復帰改行により単語が分断される場合はその表示があること、メッセージの印字完了又は中断後自動的に復帰改行することを確認する。
7.2.5 保護装置
 AC/DC50V以上の導電部には保護カバーが付けられていることを確認する。
7.2.6 自己診断試験
 機器に内蔵された自己診断機能を用いて、無線受信機、シグナルプロセッサ及びプリンタの作動が正しく行われることを有効に試験できることを確認する。
7.3 整備記録の作成等
 整備者は、別紙様式のナブテックス受信機整備記録(「GMDSS設備等整備記録総括表」を含む。)を作成し、管海官庁及び船舶所有者に各1部送付するとともに、1部をサービス・ステーションに保管する。
(注)「GMDSS設備等整備記録総括表」は、本附属書7〜16に掲げる設備の整備記録の総括表として共用して差し支えない。
 
8. 高機能グループ呼出受信機整備基準
8.1 適用
 この基準は、高機能グループ呼出受信機について、整備を行う場合に適用する。
8.2 整備の方法
 高機能グループ呼出受信機の整備は、これを備え付けている船舶の定期検査又は中間検査の時期に行い、電波法に基づく無線局の免許状を有する場合にはその搭載船舶及び免許人の氏名又は名称が免許状に記載されるとおりであること並びに次の事項について確認する。
8.2.1 外観点検
−1. 構成品等の点検
 本体、プリンタ、予備品等の構成品、操作説明書及び保守のための資料が完全な状態で揃っているかを点検する。
−2. 表示の点検
 高機能グループ呼出受信機の本体の(i)名称、型式、型式承認番号、製造年月、製造番号、製造者名、検定印又は証印、(ii)操だ室に装備する機器にあっては磁気コンパスに対する最小安全距離の表示が適切なものであり、かつ、見易い箇所になされ、かすれて見えにくくなっていないかを点検する。
−3. 空中線の取付状況に異常がないこと及びシャドーセクターの原因となる障害物のないことを確認する。
−4. 主要部のコネクタの取付状況、ねじ類の締付状況、アースの状態に異常のないことを確認する。
−5. 表示灯の断線、操作つまみの欠落等のないことを確認する。
8.2.2 電源装置の効力試験
−1. 主電源及び代替電源から受電可能であること及び電源電圧が規定値以内であることを確認する。
−2. 代替電源への切換が素早くできることを確認する。
8.2.3 受信装置の効力試験
−1. メッセージを受信できることを確認する。ただし、メッセージが送信されていない場合は、直近の受信記録等の確認をもってこれに代えることができる。
8.2.4 信号処理装置等の性能試験
−1. メッセージIDの記憶試験
 同じメッセージIDを持つメッセージは2度目からは印字されないことを直近の受信記録(4時間以上)等により確認する。
−2. メッセージIDの設定試験
(1)受信からはずす海岸局及びメッセージカテゴリーの設定を行った後、これらの内容が設定されていることを確認する。
(2)電源を短時間(1分間程度)断にした後、電源を入れ、設定された内容(例えば受信からはずした海岸局及びメッセージカテゴリー)が消去されていないことを確認する。
−3. プリンタ部の効力試験
 直近の受信記録等により以下の確認を行う。
(1)プリンタに打ち出される1行の文字数が40文字以上であることを確認する。
(2)紙切れと同じ状態を強制的に作り、紙切れの警報の出ることを確認する。
(3)行の最後で自動的に復帰改行すること、自動復帰改行により単語が分断される場合はその表示があること、メッセージの印字完了又は中断後自動的に復帰改行することを確認する。
−4. 自船位置情報の入力試験
(1)自船位置情報(経度、緯度)及び海域コードを手動で入力できることを確認する。
(2)自船位置情報(経度、緯度)を外部の航海計器から入力できる機器にあっては、当該計器からの出力又は模擬信号等を入力し、自船位置情報が正しく入力されていることを確認する。
(3)入力された自船位置情報(経度、緯度)を自動的に海域コードに変換できる機器にあっては、当該機器からの出力又は模擬信号等を入力し、自船位置情報及びそれに対応する海域コードが正しく入力されていることを確認する。
8.2.5 保護装置
 AC/DC50V以上の導電部には保護カバーがつけられていることを確認する。
8.2.6 自己診断試験
 機器に内蔵された自己診断機能を用いて、シグナルプロセッサ及びプリンタの作動が正しく行われることを有効に試験できることを確認する。
8.3 整備記録の作成等
 整備者は、別紙様式の高機能グループ呼出受信機整備記録(「GMDSS設備等整備記録総括表」を含む。)を作成し、管海官庁及び船舶所有者に1部送付するとともに、1部をサービス・ステーションに保管する。
 
9. VHFデジタル選択呼出装置整備基準
9.1 適用
 この基準は、VHFデジタル選択呼出装置について、整備を行う場合に適用する。
9.2 整備の方法
 VHFデジタル選択呼出装置の整備は、これを備え付けている船舶の定期検査又は中間検査の時期に行い、電波法に基づく無線局の免許状を有する場合にはその搭載船舶及び免許人の氏名又は名称が免許状に記載されるとおりであること並びに次の事項について確認する。
9.2.1 外観点検
−1. 構成品等の点検
 本体、ケーブル、予備品等の構成品、操作説明書及び保守のための資料が完全な状態で揃っているかを点検する。
−2. 表示の点検
 VHFデジタル選択呼出装置の本体の(i)名称、型式、型式承認番号、製造年月、製造番号、製造者名、DSCのクラス、検定印又は証印(ii)操だ室に装備する機器にあっては磁気コンパスに対する最小安全距離の表示が適切なものであり、かつ、見易い箇所になされ、かすれて見えにくくなっていないかを点検する。
−3. 空中線の取付状況に異常がないことを確認する。
−4. 主要部のコネクタの取付状況、ねじ類の締付状況、アースの状態に異常のないことを確認する。
−5. 表示灯の断線、操作つまみの欠落等のないことを確認する。
−6. 遭難呼出しの送信開始のために、ITU−Tデジタル入力パネル又はISOキーボードのキー以外の明確に認識できる専用ボタンを有することを確認する。
9.2.2 電源装置の効力試験
−1. 主電源及び代替電源から受電可能であること及び電源電圧が規定値以内であることを確認する。
−2. 代替電源への切換が素早くできることを確認する。
9.2.3 制御部の性能試験
−1. 機能試験
 機器全体の入/切スイッチを投入した後、機器の制御盤上のつまみ等を操作し表示等により以下の確認を行う。
(1)1以上の周波数で通信できるチャンネル(チャンネル70は必ず含まれること)を有すること。
(2)機器は、遭難呼出しの送信状態と通常の搬送波の送信状態とが明確に区別できる可視の表示がされること。
(3)選択されているチャンネル番号が外部照明のいかなる状況でも判別できるよう表示されること。
(4)チャンネル70は、他のチャンネルと区別できること。
−2. チャンネル切換の確認
(1)他のチャンネルへの切換が5秒以内で行われることを確認する。
(2)チャンネルを切換えている間は送信できないことを確認する。
−3. 送信、受信切換の確認
 送信状態から受信状態に、受信状態から送信状態に切換え、いずれの場合も0.3秒以内で切換えられることを確認する。
−4. 制御部の操作の確認
 制御部を操作し、これが不要電波の発射の原因とならないことを確認する。
9.2.4 送信装置の効力試験
−1. 空中線電力及び周波数偏差の測定
(1)空中線電力を電力計により測定し、規定値(6W以上、25W以下)以内であることを確認する。
(2)周波数偏差を周波数測定器により測定し、10×10−6以内であることを確認する。
−2. チャンネル70による送信試験
 通信士立会いのもとに、チャンネル70において通信範囲内にある海岸局又は船舶局へDSCメッセージを送信できることを確認する。
9.2.5 受信装置の効力試験
 チャンネル70において通信範囲内にある海岸局又は船舶局から送信されるDSCメッセージを受信できることを確認する。
9.2.6 DSC機能の効力試験
−1. 遭難メッセージの作成
 遭難メッセージの作成に関し以下の確認を行う。
(1)自船の位置、時刻が手動で遭難メッセージに入力できること。
(2)メッセージの出力前に、校正のために作成したメッセージを表示できること。
−2. 遭難呼出し送出手段の確認
 以下の遭難呼出し送出手段を有することの確認を行う。
(1)独立した2以上の操作で、送出を開始できる手段。
(2)常時手動で送出を中断したり、機器をリセットすることができる手段。
−3. 一般呼出しの受信試験
 一般呼出しの受信があった場合に、呼出しを知らせる可視・可聴の表示をすること。
−4. 外部電源供給停止時の記憶試験
 遭難呼出しを作成した後電源(主電源と代替電源)を短時間(1分間程度)断にし、再び電源を入れ、遭難呼出しの内容が消去されていないことを確認する。
9.2.7 保護装置
−1. 遭難呼出しの送信を開始する専用のボタンには、不用意な操作から保護された処置がされていることを確認する。
−2. AC/DC 50V以上の導電部には保護カバーが付けられていることを確認する。
9.2.8 自己診断試験
 機器に内蔵された自己診断機能を用いて電波を発射することなく日常の点検ができることを確認する。
9.3 整備記録の作成等
 整備者は、別紙様式のVHFデジタル選択呼出装置整備記録(「GMDSS設備等整備記録総括表」を含む。)を作成し、管海官庁及び船舶所有者に1部送付するとともに、1部をサービス・ステーションに保管する。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION