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19. 自動衝突予防援助装置整備基準
(注)本項において、平成9年1月1日現在、既に船舶に備え付けられている自動衝突予防援助装置については、〔 〕内に読み替え、下線部は適用しない。
19.1 適用
 この基準は、自動衝突予防援助装置について、整備を行う場合に適用する。
19.2 整備の方法
 自動衝突予防援助装置の整備は、これを備え付けている船舶の定期検査又は中間検査の時期に行い、次の事項について確認する。
19.2.1 外観点検
−1. 構成品の点検
 表示器の構成品及び予備品、操作説明書並びに保守のための資料が完全な状態で揃っているかを点検する。
−2. 表示等の点検
 自動衡突予防援助装置の(i)名称、型式、型式承認番号、製造年月、製造番号、製造者名、検定印又は証印、(ii)操だ室に装備する機器にあっては磁気コンパスに対する最小安全距離の表示が適切なものであり、かつ、見やすい箇所になされ、かすれて見えにくくなっていないかを点検する。
 なお、磁気コンパスに対する最小安全距離が保たれていないときは、自動衝突予防援助装置の電源スイッチをオン又はオフにすることにより、当該磁気コンパスに与える影響が軽微(航海用レーダー及び自動操だ装置の電源スイッチのオン又はオフのいずれの状況においても、これらのすべての装置の合計誤差が0.5度以内であること)であることを確認する。
−3. ジャイロコンパス、船速距離計との接続状態に異常がないことを確認する。
−4. 設置場所が適切で操作に支障がないことを確認する。
19.2.2 電源装置の効力試験
 主電源及び代替電源から受電可能であり、電源の切替えが素早くできること及び電源電圧が規定値以内であることを確認する。
19.2.3 レーダー機能の効力試験
−1. 各レンジについて、固定及び可変電子距離環、船首輝線、電子カーソル、レーダーエコー並びに相対及び真方位が、接続された航海用レーダーと同様に表示され、かつ、相対及び真方位精度、距離精度が確保されていること。
−2. オフセンター機能及びレーダー干渉除去機能に異常がないこと。
−3. 無線機器、レーダーその他重要設備に障害を与えていないこと。
19.2.4 捕捉及び追尾機能の効力試験
−1. 20以上の物標を捕捉でき、かつ、すべてが自動追尾できること。〔手動捕捉による場合は10以上の物標を捕捉でき、かつ、すべてが自動追尾できること。〕
−2. 自動的に物標を捕捉するものにあっては、手動操作によっても捕捉できること。
−3. 連続した10回の走査において、5回以上表示される物標を継続して追尾できること。
−4. 捕捉した物標に対する追尾機能が解除できること。
−5. 自動的に物標の捕捉を行うものにあっては、捕捉範囲が限定でき、その範囲が表示できること。
−6. 自動捕捉機能を持つものについては、捕捉制限区域が設定でき、かつ、当該区域においては、物標が捕捉されないこと。
19.2.5 表示器の機能試験
−1. 距離レンジ、表示方式の切替え後、1回目〔4回目〕の走査で、航海用レーダーで得られるレーダーエコー及びARPA情報(物標に係る距離、真方位、最接近地点における距離(CPA)、最接近地点に至る時間(TCPA)、真針路、真速力(対水及び対地))が表示されること。
−2. 使用中の表示方式が明示されていること。
−3. 真針路及び真速力、又は真ベクトルを表示をする場合には、対水速力又は対地速力のいずれであるかが表示されていること。
−4. 追尾物標の運動の予測がベクトル又は図形で表示され、その大きさは、時間調整機能付きのものについては、その大きさが時間に比例すること。
−5. 追尾中の物標を他の物標と識別できること。また、追尾中の物標を選択した場合、他の物標と識別表示されること。
−6. 3海里レンジでは2分、6海里レンジでは4分、12海里レンジでは8分以上〔いずれのレンジにおいても8分以上〕追尾中の物標に、4以上の等時間ごとの過去の位置が表示されること。
−7. 追尾中の物標を選択した場合、ARPA情報が同時に数字又は文字で表示されること。なお、複数の物標を選択した場合は、それぞれについて、距離と真方位、CPAとTCPA、あるいは真針路と真速力の組合わせのいずれかが表示されること。
−8. 追尾中の物標の移動予測に用いる時間が調整でき、かつ、その時間が数字で表示されること。〔時間調整ができるものについては、その時間が数字で表示されること。〕
−9. 衝突予防情報とレーダーエコーの輝度はそれぞれ独立に調整でき、かつ、衝突予防情報の表示は、3秒以内に消去することができること。
−10. 追尾中の物標が消失した場合に、その消失物標の消失位置が明示されること。
−11. 追尾中の物標に係るベクトル及びARPA情報の表示の更新が3分以内であること。
−12. 真方位及び進路方位による表示ができ、かつ、それぞれの機能に異常がないことを確認する。
19.2.6 警報機能の効力試験
 警報装置には、作動試験のための回路があること、及び、次の場合に可視可聴の警報が速やかに発されることを確認する。
−1. 追尾中の物標が消失したとき。
−2. 設定されたガードリングに物標が到達したとき。
−3. 最接近地点における距離(CPA)、最接近地点に至る時間(TCPA)が設定値以下となったとき。
−4. 連動する航海用レーダー、ジャイロコンパス又は船速距離計からの信号が停止したとき。
−5. −1.〜−3.の警報を一時的に停止したときでも他の警報の発生が妨げられないこと。
19.2.7 その他機能の効力試験
−1. 連動する航海用レーダー、ジャイロコンパス又は船速距離計からの信号が伝達されていることが表示されていることを確認する。
−2. 模擬操船の機能が適正であり、かつ、模擬操船中であることが明確に表示されること及び模擬操船中であっても物標の捕捉及び追尾が中断されないことを確認する。
−3. 自動機能試験装置の試験プログラム等による機能試験及びシステムの故障に対する警報等の試験を行い、異常のないことを確認する。
−4. 自動機能試験装置で点検中であることが表示されることを確認する。
−5. その他の付加装置について、機能に異常がないことを確認する。
19.3 整備記録の作成等
 整備者は、別紙様式の自動衝突予防援助装置(ARPA)点検整備記録表/レーダー設備試験成績表(2)(「GMDSS設備等整備記録総括表」を含む。)を作成し、管海官庁及び船舶所有者に各1部送付するとともに、1部を事業場に保管する。
 なお、平成8年11月19日運輸省令第59号による設備規程の改正前の規定による自動衝突予防援助装置にあっては、昭和60年6月19日付け海検第56号による「自動衡突予防援助装置(ARPA)点検整備記録表/レーダー設備試験成績表(2)」の様式を使用してもよい。







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