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I. 強電関係
1. 電気装備工事技術者の資格について
(1)資格の種類とその対象業務
 社団法人日本船舶電装協会(以下「当協会」という。)が制定している電気装備工事技術者の資格(強電)の種類及びその対象業務は、次のとおりです。
 
資格の種類 対象業務
(1)船舶電装士 500V未満の装備工事(無線に関する装備工事を除く。以下同じ。)のうち工事及び試験に関する作業技術の業務
(2)主任船舶電装士 500V未満の装備工事に関する作業技術の主任業務
(3)船舶電装管理者 電圧に制限なく装備工事に関する技術全般の総括業務
 
 このうち、(1)の船舶電装士は、主として現場における装備工事(工事及び試験等に限る。)に携わり、その工事を行う作業員を直接監督する技術者に対する資格であり、(2)の主任船舶電装士は、(1)に掲げる業務のほかに設計や検査の監督に携わる技術者に対する資格です。また、(3)の船舶電装管理者は、大型船、高圧電気設備等特別な技量、管理を必要とする船舶を含むものの諸作業、自主検査等の装備工事全般に亘り、総括的管理責任を有する技術者に与えられる最高の資格です。
 
(2)資格の取得方法
 上記の各資格を取得するためには、当協会で実施する所定の講習を修了し、検定試験に合格する必要があります。なお、各資格の検定試験には、表1.1にあるように受験資格が定められています。また検定試験の対象者は当協会の会員事業場に所属する従業員に限られています。
 これを以下に分かり易く説明します。
(1)船舶電装士の受験資格について
 中学校卒以上の学歴があり、更に学歴に応じて定められている所定の船舶電気装備工事の経験年数があれば、初級講習を受講修了することにより、船舶電装士の受験資格ができます。
 学歴に応じて定められている所定の船舶電気装備工事経験年数とは次のようなものです。なお、経験年数は当該試験実施年度の4月1日現在の年数としています。主任船舶電装士及び船舶電装管理者についても同じです。
(イ)中学校卒:3ヶ年以上
(ロ)普通高校卒:2ヶ年以上
(ハ)工業高校電気専門課程卒:1ヶ年以上
(注)(1) (ロ)の普通高校の範囲には、工業高校電気専門課程以外のすべての高校、学科が含まれます。また、大学及び工業高等専門学校の電気専門課程以外のすべての学科も含まれます。
(2) (ハ)の工業高校電気専門課程の範囲には、専修学校の電気工事科及び職業訓練校の電気機器科、電気工事科、発変電科又は送配電科が含まれます。また大学、短大、工業高等専門学校のそれぞれ電気専門課程も含みますが、これらの卒業者は、船舶電装士の資格がなくても、主任船舶電装士を受験することができます。
 なお、陸上の電気工事士資格を有している者については、船舶電気装備工事経験年数を軽減する規定があり、学歴のいかんを問わず、1年以上の経験があればよいこととなっております。
(2)主任船舶電装士の受験資格について
 主任船舶電装士は、船舶電装士を取得してから所定の船舶電気装備工事経験年数を経た人及び大学、又は工業高等専門学校のそれぞれ電気専門課程を卒業して所定の船舶電気装備工事経験年数を経た人が受験できるもので、船舶電装士の場合と同様に、中級講習を受講し修了することが必要です。
 ここでいう所定の船舶電気装備工事経験年数は次のとおりです。
(イ)船舶電装士の資格保有者:船舶電装士を取得してから2ヶ年以上(船舶電気装備工事の通算経験年数が10年以上の者は1ヶ年以上)
(ロ)大学・電気専門課程卒:1ヶ年以上
(ハ)工業高等専門学校(短期大学:2ヶ年以上を含む)・電気専門課程卒
(注)(1) ここでいう工業高等専門学校とは、修業年限5年以上のものに限られています。
(2) (ハ)の工業高等専門学校の電気専門課程の範囲には専修学校の電気工学科及び職業訓練短大の電気科も含まれます。
 なお、装備陸上電気関係の国家資格(電気主任技術者)を有している者については船舶電気装備工事経験年数を軽減する規定があり、第3種電気主任技術者の資格を持っていれば、船舶電装士取得後1年以上の経験年数で、工業高等専門学校の電気専門課程卒の者は1年以上の経験年数で受験資格が与えられます。
(3)船舶電装管理者の受験資格について
 船舶電装管理者は、主任船舶電装士を取得した人の中から、所定の船舶電気装備工事監督業務経験を経た人だけが受験できる資格で他の資格と同様に、上級講習を受講し修了することが必要です。
 所定の船舶電気装備工事監督業務経験とは、「船舶電気装備に関する設計、工事(整備、修理を含む。)及び自主検査に従事する人員を直接監督する者のうちから当該業務に対して責任を有するものとして選任された者で、少なくとも課長又はそれと同等以上の職責を有し、かつ、その職務に主任船舶電装士取得後4年以上就いていること。」となっています。
 なお、陸上電気関係の国家資格(電気主任技術者)を有している者については、経験年数を軽減する規定があり、第3種電気主任技術者の資格を持っていれば、主任船舶電装士取得後3ヶ年以上、第2種電気主任技術者又は第1種電気主任技術者の資格を持っていれば、主任船舶電装士取得後2ヶ年以上でよいことになっています。
 以上に説明した受験資格を、表1.1「船舶電気装備工事技術者の資格標準」とその「別記1」及び「別記2」に示します。また、表1.1を分かり易く図表で表したものが表1.2です。
 
表1.1 船舶電気装備工事技術者の資格標準
  資格 対象業務 受検資格 備考
学歴及び資格 経験年数 講習
1 船舶電装士 電気装備技術《装備工事(無線設備に関する装備工事を除く。以下この表において同じ。)のうち工事及び試験に関する作業技術の業務》 500V未満 工業高校卒 1ヶ年以上 初級講習 1. 学歴欄の大学(工)工業高等専門学校、工業高校は、それぞれ電機関係の専門課程卒業又はこれに準ずると認められる者のことである。 (以下、別記1において同じ。)

2. 電機工事士又は電気主任技術者の資格を有する者及び船舶電機装備工事の経験を通算10年以上有する船舶電装士の資格保有者に対しては、最低経験年数を別記1によることができる。

3. 経験年数のうち監督業務の内容については別記2のとおりとする。
普通高校卒 2ヶ年以上
中学校卒 3ヶ年以上
2 主任船舶電装士 電気装備技術主任(装備工事に関する作業技術の主任業務) 500V未満 大学(工)卒 1ヶ年以上 中級講習
工業高等専門学校卒 2ヶ年以上
船舶電装士の資格を有する者 2ヶ年以上
3 船舶電装管理者 電気装備技術統括(装備工事に関する技術全般の統括業務) 制限なし 主任船舶電装士の資格を有する者 4ヶ年以上船舶電気整備工事の監督業務に従事していること 上級講習
(注)(1) 専修学校の電気工事科卒及び職業訓練校の電気機器科、電気工事科、発変電科又は送配電科卒業の者は工業高校電気専門課程卒に準ずる者と認められている。
(2) 専修学校の電気工学科及び職業訓練短大の電気科卒の者は工業高等専門学校電気専門課程卒業に準ずる者と認められている。
 
別記1
 (表1.1)の備考2の経験年数は、次のとおりとする。
受検しようとする資格 所有している陸上関係の資格
又は通算経験年数
学歴又は資格 最低経験年数(年)
船舶電装士 電機工事士   1
主任船舶電装士 第3種電気主任技術者
第2種 〃
第1種 〃
船舶電装士
工業高等専門学校
1
船舶電気装備工事の通算経験年数10年以上 船舶電装士 1
船舶電装管理者 第3種電気主任技術者 主任船舶電装士 3
第2種 〃
第1種 〃
同上 2
 
別記2
 (表1.1)の備考3の監督業務の内容は、船舶電気装備に関する業務(設計、工事(整備及び修理を含む。)及び自主検査等をいう。)に従事する人員を直接監督する者のうちから当該業務に対して責任を有するものとして選任された者であって、少なくとも課長又はそれと同等程度以上の職責を有する者とする。
 
表1.2 船舶電気装備工事技術者の資格標準
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