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2・6 決議A.824(XIX)船速距離計の性能基準
(1995年11月23日採択)
 
 「船速距離計の性能基準に関する勧告」の採択に際し、各国政府に対し次の勧告が行われた。
(a)1997年1月1日以降に設置された装置は、この決議の附属書に規定した性能基準に劣らない性能基準に適合すること。
(b)1997年1月1日以前に設置された装置は、少なくとも決議A.478(XII)に収めた性能基準に適合すること。
 
附属書
船速距離計の性能基準に関する勧告
 
1. 序文
1.1. 船速距離計は、一般的航海上の用途及び操船上の用途に適することを目的とするものである。最低の要求としては、航走距離及び船の対水又は対地前進速力についての情報を供給することであるが、その他に、船舶の前進方向に追加して、船舶の運動についての情報を供給するとしても差し支えない。この装置は、船舶の最高速力までの前進速力において、またそのキール下 3メートルを超す水深において、その性能基準に完全に適合しなければならない。
2. 表示方法
2.1. 船速の情報は、アナログ形式又はデジタル形式いずれにでも表示することができる。デジタル表示が用いられる場合、その段階的増減は、0.1ノット以下としなければならない。アナログ表示は、少なくとも0.5ノットごとの目盛りとし、かつ、少なくとも5ノットごとに数字を用いて明示しなければならない。表示が、船舶の前進方向以外の方向において船速を表示し得るときは運動の方向は明確に表示するものでなければならない。
2.2 航走距離の情報は、デジタル形式にて表示しなければならない。表示は 0海里から9,999.9海里以上の範囲にわたるものとし、その段階的増減は、0.1海里を超えてはならない。実行可能なときは、読取りをゼロにリセットする機構が備えられていなければならない。
2.3 表示は、日夜を問わず容易に読み取れるものでなければならない。
2.4 航走距離の情報を船内設置のほかの機器に供給する手段を備えていなければならない。
2.4.1 コンタクト・クロージャを用いる時は、前進速力のみを表示しなければならない。当該情報は、各0.005海里航走ごとに1のコンタクト・クロージャの形式(またはこれと同等のもの)にて行わなければならない。
2.4.2 逐次デジタル・インターフェイスが設けられるときは、方向を含むすべての速力及び距離の諸元の情報は、海上機器の用のデジタル・インターフェイスに係る国際文書*1に適合するデジタル情報の逐次ストリームの形式で出されなければならない。
2.5 機器が、対水速力または対地速力いずれのモードにおいても使用することができるときは、モード選択及びモード表示の機能が備わっていなければならない。
2.6 機器が、単一の船首尾線以外の方向の速力を表示する機能を備えているときは、船首方向及び横方向の対水速度を出す機能を備えなければならず、また、前方向及び横方向の対地速度を出す機能は、任意選択事項として追加することができる。これに代わる任意選択のものとして、合成した速力及び針路の情報を出すこととしてもよい。係る情報は、すべて、表示情報の方向、モード及び良否の状況を明示しなければならない。
3. 測定精度
3.1 船舶が浅水、風、海流及び潮流による影響を受けずに航行しているときは、表示される船速の誤差は、船速の2%又は0.2ノットのいずれか大きい方の速力を超えてはならない。
3.2 船舶が浅水、風、海流及び潮流の影響を受けずに航行しているときは、表示される航走距離の誤差は、1時間において船舶の航走距離の2%又は毎時0.2ノットのいずれが大きい方の距離を超えてはならない。
3.3 船速距離計の精度が、ある状態(例:海象及びその影響、水温、塩度、水中の音速、キール下の水深、船舶の横傾斜及び縦傾斜)により影響を受ける可能性のあるときは、その影響について詳細を、装置の手引き書中に収録しなければならない。
4. 横揺れ及び縦揺れ
 装置の性能は、船舶が横揺れ±10度までと、縦揺れ±5度までの状態にあるとき、この基準の要件に適合するものでなければならない。
5. 構造及び設置
5.1 この装置は、船舶への装置各部の取付方法も、船殻を貫通する装置のいかなる部分に損傷が生じても、船舶への水の浸入を生ずることとならないよう設計したものでなければならない。
5.2 この施設のいかなる部分も船体から突き出たり、引っ込めたりの操作が行われるよう設計される場合、当該設計は、船舶の最高速力までのあらゆる船速において、当該部分が突き出したり、通常の作動をしたり、引っ込んだりすることが確実にできるようにするものでなければならない。その突き出したり、引っ込んだりしている現在位置は、表示場所に明示されなければならない。
 

*1:1994年IEC1162参照







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